メニュー

2020.06.01

現在の走力をチェックしよう【初めてのラントレ#5】

kencom公式ライター:黒田 創

ランニング初心者のユリさんと未経験のトモさんがチャレンジする【初めてのラントレ】。今回からはランニングの実践編です。走る時のフォームのイメージ作りは前回、西谷コーチに教えてもらいましたので、それを踏まえていざ、ランニング開始!

実際に走ってフォームやスタミナをチェック

記事画像

西谷さん「基本のフォームはまずおへその下あたりに意識を集中し、軽く力を入れます。そうすることで、上半身と下半身の動きが連動しやすくなります。左右の肩甲骨を寄せるイメージで胸を張り、肩の力を抜いてリラックスし、卵を持つイメージで手を優しく握る。この形で走ってみましょう」

この日のコースは東京・代々木公園内の一周約1キロのランニングコース。最初はフォームを意識しながらゆっくり走ります。

西谷さん「最初はフォームが意識できていても、疲れてくるとだんだん崩れてきてしまう。なので、疲れてもこれだけは頭の片隅に置いておいてください。それは、常に頭の上から紐で吊るされているイメージで頭の位置を高くキープし、顎を引いて走ること、腰の位置が落ちないよう意識することです」

やがて、コースを1周してきたユリさんとトモさん、西谷さんの3人。

記事画像

西谷さん「今は1キロあたり7~7分半分のペースで走りました。皆さんも最初はそのくらいの、隣の人と会話できるようなゆっくりペースで走ってください。“そんなにゆっくりでいいの?”と思われるかもしれませんが、いきなりそれ以上のペースで走っても続きませんし、膝や足首を痛める原因にもなってしまう。1人ランの場合はいつの間にかペースが速くなりがちなので、ランニングウォッチなどを使ってペースをキープしましょう」

2人のフォームの課題は?

西谷さんから見て、トモさんの走りはどうでしたか?

西谷さん「トモさんは走っているうちに重心が後ろに倒れがちになるのが気になりました。最初に言ったポイントを意識して、顎を引き、常に3メートル先を見ながら前傾姿勢で走ることを意識してください。腹筋の力が抜けがちなので、体幹を意識したトレーニングを取り入れましょう」

記事画像

トモさん「走るとすぐ脛や膝が痛くなるんですけど、なぜでしょうか?」

西谷さん「下半身の筋力がない分、必要以上にふくらはぎで地面を蹴りながら走ってしまう。それが脛や膝の関節に負荷をかけ、痛みにつながってしまうように思えます。お尻や太腿の筋力があればそのパワーで走れますから。下半身の筋力アップは関節への負担を減らす意味でも必要ですね」

ユリさんの走りで気が付いた点は?

西谷さん「クセが少なくきれいなフォームですが、トモさんと同じで下半身の筋力不足で、膝から下を強く蹴って走っていますね。下半身はもちろんですが、腹筋や背筋もバランスよく鍛えることで膝から下に頼らず全身の筋肉を使って長い距離が走れるようになるはずです」

記事画像

ユリさん「確かに、今1km走っただけで下半身が結構疲れちゃって、重く感じるんです」

西谷さん「では、2周目に行く前にストレッチをしましょう。ベンチに座って足を組み、膝の角度を90度に。そのまま息を吐きながら上半身を前に10秒間倒してください。お尻と太腿の後ろ側が“痛気持ちいい”ぐらいになるのが目安です。足を組み替えて反対側でもやってみましょう」

2人へのアドバイス&走った後のストレッチ

西谷さん「初心者ランナーは、あまり続けて長く走る必要はありません。まずは1回30分動き続けることを目標に、最初にウォーキングを5分、それから10分間、1km7分ペースで走り、また5分ウォーキングを挟んで10分ラン。それぐらいのペースで大丈夫です。そのうち走ることに身体が慣れてきますので、徐々に15分、20分と走る時間を伸ばしていきましょう。始めは距離ではなく時間とゆっくりペースを意識してください」

少しホッとした表情のトモさんとユリさん。ランニングと聞くと辛い思いをして長い距離を走らないといけないと思い込んでいる人も多いと思いますが、最初は自分のペースで、短時間だけでも全然いいんです。もちろん、走る前後のストレッチも忘れずに。

記事画像

西谷さん「走った後は使った筋肉が緊張していますから、それを和らげる意味でストレッチを行います。まずはまっすぐ立って足を交差させ、腰を曲げて身体を20秒間前屈してください。お尻や太腿、ふくらはぎなどが気持ちよく伸ばされます。そのまま身体を右に左に回すとさらに効果的。足を入れ替えて同じようにやってみましょう。その後、両足を広げて腰を落として、股関節のストレッチを行いましょう」

記事画像

次は足を大きく前後に開き、上半身を前傾させるストレッチ。これでお尻や太腿の裏側の筋肉をしっかり伸ばします。左右各10秒ずつやってみましょう。

記事画像

最後は1周目と2周目の合間に行った「足組みストレッチ」を地面に座って行います。ついでに、上になった側のふくらはぎを膝頭に当ててユルユルと動かすのもおすすめ。ふくらはぎのセルフマッサージになります。

走る前後には必ずストレッチを。そうすることで足の痛みは最小限にとどめることができ、ランニングが長続きするはず。ただ走るだけがランニングではないということ、お分かりいただけたでしょうか?

next▶︎ランニングの練習する場所をチェック

次回は座学編。走るのに適した場所や時間など、知っておきたいポイントについて説明します。

※2020年2月〜3月に撮影・取材を実施
※ランニングの際はソーシャルディスタンスに気をつけて、周囲の人と10mほどの間隔をあけて走りましょう

監修者プロフィール

記事画像

◾️西谷 綾子(にしたに・あやこ)さん
〈Body & Soul Running Club〉を主宰し、フルマラソンのベストタイムは3時間1分。初心者ランナーへの指導経験も豊富な西谷さん。ジュニア・アスリートフードマイスター、睡眠改善インストラクターの資格も持つ。

著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆中。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。

この記事に関連するキーワード