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2020.05.16

「おたふく風邪」は予防が大事?1分で読める医師Q&A

kencom 公式ライター:森下千佳

4年に1度の周期で流行が起きていて、多い年では年間100万人がかかると言われているおたふく風邪。名前はよく知られているものの、怖い合併症を引き起こす病気である事など、知られていない点もたくさんあります。おたふく風邪にまつわる疑問を、感染症の専門家である東京都立小児総合医療センターの福岡かほる先生に聞きました。

おたふく風邪に関する4つの質問

Q.子供がおたふく風邪になりました。親の私は小さい頃におたふく風邪に感染していますが、うつることもありますか?うつらないようにする方法はありますか?

A.おたふく風邪に一度かかると、多くの場合は生涯続く免疫ができるため、リスクはかなり低いと思って良いと思います。お子さんからうつって発症するリスクも減っていますし、重症化するリスクも減っています。

お子さんが小さいと難しい面もありますが、出来るだけくしゃみや咳などの飛まつを浴びない距離(1〜2m)を保ち、食器類、タオルなど唾液に触れるようなものの共有を避けるようにしましょう。こまめに手を洗う、換気をする、感染者がマスクをつけるなども有効です。

Q.妊婦ですが、おたふく風邪になりました。お腹の赤ちゃんに影響はありますか?

A.妊婦さんのおたふく風邪の罹患と、胎児の先天性奇形とは関係ないとされています。流産に関しては、妊娠初期に感染すると、自然流産が増加するという報告がある一方、流産や早産率は変わらないという報告もあります。まだ、十分に検証され尽くしておらず結論は出ていないので、過度に心配しすぎないようにしましょう。

おたふく風邪に対して免疫がある妊婦さんは7割強という調査結果があり、2割以上の妊婦さんはおたふく風邪に罹患する可能性があります。妊娠前に予防接種を受けられるのであれば、打っておくのに越したことはないと思います。

Q.子供がおたふく風邪の予防接種の年齢を過ぎてしまいました。それでも、接種してもよいですか?

A.もちろんです。以前におたふく風邪にかかったことがないのであれば、早めに予防接種しましょう。日本では、おたふくかぜが定期接種になっていないため、4、5年ごとに流行を繰り返しています。一生治らない難聴や、脳炎といった合併症が怖いので、合併症の予防として接種することをお勧めします。

おたふく風邪ワクチンは、2回接種が推奨されています。接種するワクチンの種類や環境によって異なりますが、1回接種で約7割以上、2回接種では約9割前後、おたふくかぜに対する免疫を獲得すると報告されています。

Q.幼稚園児の子を持つ30代です。おたふく風邪にかかった事があるか?予防接種を打ったかどうか?などがわかりません。大人はおたふく風邪にかかりにくいと聞きましたが、どうしたら良いですか?

日本人の大人7割強の方が、おたふく風邪への免疫があると言われていますが、過去におたふく風邪にかかったかどうか分からない、予防接種を打ったかどうか分からない場合は、接種しておくことをおすすめします。

幼稚園〜小学生の感染者が一番多いおたふく風邪ですが、2番目に多いのは、子供から二次感染をする子育て世代です。大人は感染すると子供よりも重症化しやすく、難聴などの合併症を引き起こす方もいらっしゃるので注意が必要です。

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福岡 かほる(ふくおか・かほる)先生

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東京都立小児総合医療センター 感染症科・免疫科

【プロフィール】
小児科医。2010年徳島大学医学部卒。香川小児病院にて初期研修、熊本赤十字病院小児科・熊本市立熊本市民病院 新生児内科にて後期研修を経て、2015年より現職。 2018年より感染症科医員、2019年より診療科責任者を務める。 専門は小児感染症・感染制御。小児科専門医・日本小児感染症学会認定暫定指導医。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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