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2020.05.20

「かゆみ」に関する疑問を解決!1分で読める医師Q&A

kencom公式ライター:森下千佳

かゆくて辛い!仕事に集中できない!大きくQOL(生活の質)を下げる皮膚のかゆみは、ひょっとしたら間違った生活習慣や肌ケアが原因なのかも?かゆみにまつわる疑問を、国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 皮膚科診療科長 玉木 毅先生に伺いました。

皮膚のかゆみに関する4つの疑問

Q.昼間汗をかいたところが、夜になってかゆくなります。 肌のためには、汗はかかないほうが良いのでしょうか?

A.運動をして適度に汗をかく事自体は、肌に良い事です。しかし、汗をかいたまま放置してしまうと、トラブルに繋がる場合があります。

汗をかくと、ナトリウムやカリウムなどの塩分が汗と一緒に出てきます。その状態で放置していると、水分が蒸発して濃い濃度の塩分が肌に長時間放置される事になり、肌への刺激になってしまいます。汗をかいたら、早めにシャワーを浴びて汗を流し、保湿剤を塗るようにしましょう。

Q.頭皮がかゆくなり悩んでいます。ヘッドスパなどで解消されますか?

A.頭皮がかゆくなる原因は多岐にわたります。頭の皮脂が多すぎてかゆい場合には、ヘッドスパなどで頭皮を洗うと解消されるかもしれませんが、皮脂が少なすぎて痒くなってしまう場合は、洗いすぎると、逆にかゆみが悪化してしまいます。原因によって対処法は様々なので、まずはかゆみの原因究明が先決です。皮膚科医に相談してみましょう。

Q.「タオルに石鹸をつけて洗うと、皮脂が落ちてかえってかゆくなるので石鹸を使わないように」と皮膚科の先生に言われました。石鹸を使わないと気持ちが悪いし、匂いも気になってしまいます。

A.皮脂の分泌量が多い方や、公園で泥だらけになるような子供、職業柄ものすごく汚れが付着する方などは、石鹸でしっかり身体を洗っても構いませんが、目立った汚れがない方は洗いすぎに注意しましょう。特にナイロンタオルやあかすり、ブラシなどを使って、肌をゴシゴシこするのは絶対にやめてください。大切な皮膚表面のバリアが削げ落ちてしまいます。

洗い方のポイントは、石鹸やボディソープを、手やネットを使ってクリーム状になるまでよく泡立てて、泡だけをすくい取り、手で洗うこと。こすらなくても、汚れや余分な脂分は十分落ちます。特にご高齢の方は、皮脂の分泌が多いわけではないので、毎日洗う必要はありません。ぬるま湯に浸かるだけでも汚れは落ちるので、週に数回汚れがたまってきたと感じる日に洗う程度で良いでしょう。

身体の匂いは水に溶けるので、お風呂に浸かる事で落ちます。洗えなかったとしても、過剰に気にする必要はないですよ。

Q.ボディソープと石鹸、どちらが肌に良いですか?

A.どちらを使っても構いません。洗い終わった後に、かゆくなる、赤くなる、つっぱるなどの刺激を感じるものでなければ、自分の好きなもの、皮膚に合うものを選びましょう。自然派石鹸、無添加だから肌に良いというわけではありません。大切なのは、洗い終わった後にしっかりとすすぐ事。石鹸のすすぎ残しは、刺激になります。特に、ボディソープはすすぎ残しがおきやすいので、十分にすすぐ事を心がけましょう。

▼玉木先生のかゆみケアに関する記事はこちら

玉木 毅(たまき・たけし)先生

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国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 皮膚科診療科長 

【プロフィール】
1987年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部皮膚科教室入局。米国サウスカロライナ州立医科大学研究員、東京大学医学部附属病院皮膚科医局長、同分院皮膚科講師などを経て現職。医学博士、日本皮膚科学会東京支部運営委員、東京都皮膚科医会副会長、東京大学非常勤講師。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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