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2020.04.13

新型コロナウイルスに対する血清療法の効果【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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新型コロナウイルスに効果がある治療を求めて日々研究が進んでいますが、決定的な治療法はまだ見つかっていません。抗ウイルス剤等以外に、どのような治療法があるのでしょうか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2020年3月27日のJAMA誌にウェブ掲載された、新型コロナウイルス感染症の血清療法についての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

新型コロナウイルスに血清療法は効くのか

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新型コロナウイルス感染症に対しては、HIV治療薬やインフルエンザ治療薬などの抗ウイルス剤、吸入ステロイド剤を含むステロイド剤、セリンプロテアーゼ阻害剤など、多くの治療が試みられてはいますが、現時点で決め手となるものは見付かっていません。

治療薬のない感染症に対して、昔から試みられている方法が、その感染症から回復した患者の血液成分を、重症の患者に投与するという方法です。

これを血清療法と言います。

2009年に「感染列島」という映画がありましたが、この映画でも結局は血清療法で解決されていました。

回復期の血清には、その感染症に対抗して作られた抗体が含まれているので、それが患者の治療の有効な可能性がある訳です。

ただ、これは血液製剤の使用ですから、当然リスクがありますし、どの成分が治療に有効であるのかの根拠も、現時点では明らかではありません。

重症の患者に血清を投与して回復したケースも

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今回の論文では、深圳第三人民病院という中国の単独施設において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染して入院し、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)という重症の呼吸不全で人工呼吸器を装着、抗ウイルス剤などの治療を行っても症状の改善が見られない、トータル5名の患者に対して、入院から10から22日の間に回復期の血清投与し、その後の経過を観察しています。
使用された血清に充分量の抗体が含まれていることは確認されています。

その結果、血清使用後12日の時点で、4名の患者はARDSの状態から回復し、2週間以内に3名の患者は人工呼吸器管理から離脱しています。
血清使用後37日の時点で、5名中3名は病院を退院し、残りの2名も安定した状態にあると記載されています。

リスクもあるが一定の有効性は認められる

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今回の結果は5名のみのデータで、対象群も設定されていないので、あくまで試験的な結果であると思います。

血清療法は敢くまで応急避難的な治療ですが、これまでと同様今回の新型コロナウイルス感染症に対しても、勿論リスクはあるものの、一定の有効性は認められるものであるようです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36