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2020.03.22

コロナウイルスは付着してから何日感染力を持ち続けるのか?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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新型コロナウイルスへの感染予防を徹底するために、人が触れた箇所の除菌をしているという方は多いはず。では、新型コロナウイルスはどれくらいの期間、ドアノブなどの物に付着して感染力を持ち続けるのでしょうか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2020年のJournal of Hospital Infection誌に掲載された、コロナウイルスのガラスやプラスチックなどの上での、生存期間についてのレビューです。
生存というと語弊があるかも知れません。これは感染を起こす可能性のある期間、という意味でご理解下さい。

▼石原先生のブログはこちら

新型コロナウイルスはどれくらいの期間感染力を持っているのか?

新型コロナウイルスによる感染症において、問題になる点の1つは感染経路です。

感染は主に咳などによる飛沫感染と、ウイルスが付着した物を触ることによる接触感染と考えられています。

接触感染で問題となる事項の1つは、飛沫により机の上やドアのノブなどに付着したウイルスが、どのくらいの期間感染力を持っているのか、ということです。

実際今回の新型コロナウイルスが、物の上でどのくらいの期間感染力を持つか、という点についてのデータはまだ殆どありません。

SARS、MERS等、様々なコロナウイルスの感染可能期間を調査

今回の研究では、これまでのSARS、MERS、そしてそれ以外の風邪の原因となるコロナウイルスの、同種の物体上での感染可能期間のデータをまとめて解析することで、この問題において、これまで分かっていることを整理しています。

その結果、金属、ガラス、プラスチックなどの上での、コロナウイルスの感染可能期間は、2時間から9日の間に分布していました。

MERSコロナウイルスは、最も感染可能期間は短く、概ね48時間という報告が殆どです。

SARSコロナウイルスは、24時間という短い報告もあるのですが、4から5日というものが多く、中には9日に及ぶというものもあります。

風邪のコロナウイルスでは、2時間というものから9日まで、かなりばらつきがあり一定していません。

消毒については、62から71%のエタノール、0.5%の過酸化水素、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムの使用により、1分以内にウイルスは不活化されます。

新型コロナウイルスの性質を推測する材料に

以上は敢くまで、今回の新型コロナウイルスの知見ではない、と言う点に注意が必要ですが、現状ではこうした知見を元に、その性質を推測して対応しているのが実際なのです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36