メニュー

2020.02.20

マスクは感染予防にどの程度有効なのか?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

記事画像

新型コロナウイルスの影響で、街中ではマスクが入手困難となっています。
実際、マスクにはどれくらい感染予防に効果があるものなのでしょうか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2011年のInfluenza and Other Respiratory Viruses 誌に掲載された、マスクの感染予防効果についてのレビューです。

▼石原先生のブログはこちら

マスクは感染予防に役立つか?

記事画像

新型コロナウイルス肺炎の流行で、医療機関でも医療用のマスクが手に入りにくい状態となっていることは、先日のブログ記事でもご紹介しました。

マスクの有効性は、実際に飛沫感染するような病気に感染していて、咳などの症状が有る場合に、その患者さんが着けることにおいては、明確に実証されています。

無防備にしていれば、周辺のかなりの範囲に、咳の度にウイルスを含む飛沫が飛び散ることになりますが、その患者さんがマスクをしていれば、その飛沫の多くは飛び散らないで済むからです。

ただ、病気に感染していない人が、マスクをすることによって、感染している人と接近しても、その感染を予防出来るかどうかについては、そこまで明確な有効性が実証されている訳ではありません。

欧米では病気になっていない人が、感染症の患者さんに対応する医療やケアのスタッフでもないのに、予防のためにマスクを着ける、というような習慣はあまりなく、むしろ病気のサインのように思われて忌避される傾向がある、とされています。

マスク着用で、一定の感染予防効果はあるようだが…

記事画像

従って、マスクの感染予防効果を検証したような研究は欧米ではあまりなく、上記のレビューには、これまでの8つの介入試験が紹介されていますが、そのうちの3つは中国のもので、1つは日本のもの、アメリカが2つで、オーストラリアとカナダのものが1つずつです。

そのうち5つの臨床試験においては、マスクのインフルエンザ感染に対する予防効果は、明確には確認をされていません。

残りの3つの臨床試験においては、一定のマスクの有効性が認められていますが、例数が少なかったり、グループ分けが適切でないなど、その結果の信頼性はあまり高いものではありません。以上は全てインフルエンザ感染についての検証です。

SARSの感染に対しては介入試験はなく、観察研究が殆どですが、マスク装着に一定の感染予防効果が認められています。
ただ、研究デザインにおける信頼性は、それほど高いものではなく、サージカルマスクと感染防御効果のより高いN95マスクとの比較では、あまり明確な差は見られていません。

未だ効果ははっきりと証明されてはいない

記事画像

このように、マスク装着により一定の感染予防効果が想定はされるのですが、その有効性は、臨床研究のレベルではそれほど明確に証明はされておらず、こうした場合のマスクの機能による効果の差も明確ではありません。

従って、マスクの必要性は個別に判断することが大切で「マスクをしているから安心」という考えにも「マスクは無駄だ」という考えにも、あまり科学的根拠はない、と言う点は確認しておく必要があると思います。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36