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2020.03.14

なにがスゴい?知っているようで知らない「今治タオル」の歴史

kencom公式ライター:春川ゆかり

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自宅用はもちろん、プレゼントや引き出物など、多方面から絶大な人気を誇る「今治タオル」。
タオルはメーカーも種類も様々ありますが、今治タオルはどこか品があり、やさしい手触りから虜になる方も少なくありません。

今回は、今治タオルの奥深い歴史について今治タオル オフィシャルショップの統括店長であり、タオルソムリエの遠藤久美子さんに詳しく伺いました。

そもそも「今治タオル」ってなんだろう?

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圧倒的な知名度を誇る今治タオルの発祥地は、愛媛県今治市。「今治タオル」とは、今治タオル工業組合の組合員のタオルメーカーで作られた製品を言います。

今治市には、金属イオンが少なくタオル作りに適した水質の良い蒼社川(そうじゃがわ)という川が流れており、その伏流水を使ってふっくらとした今治タオルに仕上げられています。糸の染色や織りなどの工程を今治市で作業しています。

一つではない!?実は2種類ある今治タオル

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一言で「今治タオル」と言っても、厳密には「今治タオル」と「今治タオルブランド」の2種類があり、以下のような違いがあります。

・今治タオル:今治タオル工業組合の組合員のタオルメーカーで作られたタオル
・今治タオルブランド:今治タオル工業組合の組合員のタオルメーカーで作られ、今治タオル工業組合で設けられた12項目の独自の品質基準をクリアしたタオル

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一般の方が触っただけで違いがわかるものではありませんが、「今治タオルブランド」のタオルの場合、写真のような「ブランドマーク&ロゴ」がついています。

なお、今治タオルブランドがついていなくてもメーカー独自の品質基準を設けるなど、高い品質を持つ商品はたくさんあります。

窮地からの脱却。奥深い今治タオルの歴史

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今治タオルの誕生は1894年。今ほどの人気が当時からあったわけではなく、爆発的に売れ出したのは1960年頃からです。

また、1990年前半のバブル崩壊後にはタオルの国内需要減や安価な輸入品の横行により、壊滅的な打撃を受けた過去があります。それは、かつてかつて500社あったタオルメーカー業者が2006年には145社まで激減するほどでした。

今治タオル“ブランド”の始まりは2006年

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さまざまな市場変化を受け窮地に追い詰められた四国タオル工業組合(現、今治タオル工業組合)は、2006年にクリエイティブディレクター 佐藤可士和さんを招き、「今治タオル再生プロジェクト」を開始します。
そこでは、今治タオルという1つのマスターブランド確立のために「品質保証マーク」となるブランドマーク&ロゴを制作し、生産地のブランド化を進めていきました。

今治タオルらしさとして、一枚のタオルが完成するまでの主工程を今治タオル産地で行っていること、吸水性の“5秒ルール”など新たな品質基準を制定し、対外的に「安心・安全・高品質」をアピールしていくようになりました。

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タオル職人にとってはどれも当たり前のことであっても、他者から見れば決して当たり前の作業ではありません。それまでスポットが当たらなかった「工程」に着目し発信していくことで、ゆっくりではありながらも着実に認知が広がっていきました。

日本から世界へ。今治タオルの今後の展望

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今治タオル産地の認知度は日本国内では80%を超えるほど。

加えて、昨今では海外旅行客からも高い人気を誇っています。外国製のタオルは糸が太かったり、硬水で仕上げているためタオルの質感が硬くなりやすかったりするため、今治タオルの柔らかい質感に驚かれる方が少なくありません。

魅力をアピール。「タオルソムリエ」の役割

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今回お話を伺った遠藤さんの持つ認定資格「タオルソムリエ」も、今治タオル再生プロジェクトの一環として誕生しました。

普段何気なく使っているタオルですが、実際に手に取ってみると一枚一枚糸も織り方も手触りも違います。このように一見、同じように見えるタオルの細やかな違いを見極め、私たちが本当に欲しいタオルに出会える環境づくりをしてくれるプロが、タオルソムリエです。

タオルソムリエは、TPOや贈りたい相手・使用用途などに合わせて最適なタオル選びを手伝ってくれます。目的に合わせて、質感や使いやすさなどをプロの視点でアドバイスをしてくれますよ。

今治タオルで、毎日に癒しを

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認知度の高い今治タオルですが、単なるタオル生産地ということではなく歴史の深いブランドです。

デザイン性の高さに意識が向きますが、綿糸などの素材をはじめ、織り方や染色法などさまざまな工夫が凝らされており、タオルができ上がるまでの主工程を今治市で行っていることも他にはない特徴です。

毎日触れるアイテムだからこそ、上質なものを使うことでいつものひとときに癒しをプラスしましょう。

遠藤 久美子(えんどう・くみこ)

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東京都出⾝。横浜にてイタリアのファッションブランドの店⻑を13年あまり務める。
2012年の「今治タオル 南⻘山店」オープニングから店⻑を務め、2015年より「今治タオル」オフィシャルショップの統括店長に就任。
自宅用や贈り物など、ニーズに合ったタオルを選ぶだけでなく、最近ではインバウンドのほか、海外旅行客からのオーダーにも幅広く応える。

▼遠藤さんのタオルに関する記事はこちら

著者プロフィール

■春川ゆかり(はるかわ・ゆかり)

フリーライター・編集者。大手IT企業にてウェブメディアの広告やマーケティング業に携わる。その後フリーランスのライターとして独立し、住まい・子育て・ヘルスケアなどのジャンルで執筆。

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