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2020.02.12

ソフトドリンクの飲み過ぎが喘息リスクに【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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甘いジュースが健康に悪い…ということはなんとなくわかっていても、ジュースが喘息のリスクを上げると聞くと驚く方もいるのでは?

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2019年のBMJ Openに掲載された、ソフトドリンクの摂取と喘息リスクとの関連についての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

ジュースを飲み過ぎると喘息になる?

気管支喘息の発症や増悪には、ストレスや大気汚染、花粉症など、環境要因が大きな影響を与えることが知られています。

その中で最近時々指摘されることがあるのが、ソフトドリンクの摂取習慣と喘息リスクとの関係です。

砂糖などの糖質を含むジュースなどの甘い飲み物が、血糖値を上昇させて肥満の原因となり、糖尿病や心血管疾患のリスクとなって、生命予後にも悪い影響を与えることは、これまでにも複数の疫学データで指摘をされていて、そうした健康リスクを背景に、イギリスでは砂糖税が導入されていることは、これまでにも話題にしたことがあります。

ソフトドリンクの多飲による肥満は、呼吸機能を低下させて喘息のリスクを高める可能性があり、ソフトドリンクに含まれる糖質は、炎症を惹起して、これも喘息の発症に、結び付く可能性があります。

しかし、これまでの疫学データの内容は、あまり精度の高いものではありませんでした。

ソフトドリンクを飲む習慣があると喘息の有病率が増加

今回の研究はこれまでの臨床データをまとめて解析する、システマティックレビューとメタ解析ですが、トータルで468636名の対象者の、5万例を超える喘息事例を検証したところ、ソフトドリンクを殆ど飲まない人と比較して、最も多く飲む人は、大人で37%(95%CI: 1.23から1.52)、子供でも14%(95%CI: 1.06から1.21)それそれ有意に増加していました。

このように今回の検証でも、ソフトドリンクを多く飲むことは、その後の喘息の発症と結びついていました。

ただ、精度の高い研究は実際には少なく、この問題は今後より厳密な方法で、検証される必要がありそうです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36