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2020.03.24

ノロ・インフルエンザの重症化も「冬のかくれ脱水」に要注意!【冬の脱水症・前半】

kencom公式ライター:森下千佳

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「かくれ脱水」という言葉をご存知ですか?
かくれ脱水とは脱水症の一歩手前のこと。そのまま対処をせずに放置したままで下痢や嘔吐、発熱などの脱水を引き起こす要因が加わってしまうと、容易に脱水症に進行してしまう状態です。感染症が流行るこの季節、「かくれ脱水」を早期に見つけ、どう対策すべきかを脱水症の専門家・谷口英喜先生に解説いただきました

谷口英喜(たにぐち・ひでき)先生

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済生会横浜市東部病院 患者支援センター長
専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、体液管理、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。日本麻酔学会指導医、日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医、TNT-Dメディカルアドバイザー。1991年、福島県立医科大学医学部卒業。

脱水症とはどんな病気?まずは、基本を知ろう

脱水症は、単なる身体の水不足ではない。重篤な病気を引き起こす恐れも

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脱水症とは、身体にとって不可欠な「体液」が失われること。よく誤解されるのですが、脱水症は単なる身体の水不足ではありません。

体液は、血液、リンパ液、唾液、粘液、汗など人体の機能を維持するために必要な液体のことで、水と、電解質(塩分)でできています。私たちの身体のほとんどは、この体液で満たされていて、子供では体重の70〜80%、大人では60%、お年寄りでは50%にもなります。

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「脱水症」、すなわち「身体の機能を正常に動かす体液が足りない状態」になると必要な栄養素や酸素を取り込めなくなったり、不要になった老廃物を排出できなくなったり、体温コントロールに支障を来したりします。

脱水症の症状は?

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脱水症の症状はその程度により様々ですが、一般的には身体の中でも体液の多い部分に影響がでやすい傾向があります。例えば85%以上が水分の脳は最も影響を受けやすい部位で、脳への血流が減ることにより認知機能障害や記憶力、集中力の低下のほか、めまい、立ちくらみなども起こしやすくなります。
また、脱水になると胃腸の消化液も減少し、食欲不振や嘔吐、下痢、便秘になりやすくなります。血液もドロドロの状態になるので脳梗塞、心筋梗塞にもつながることも。また、高度の脱水症になってしまうと臓器不全など重篤な症状を引きおこし、最悪の場合死に至ることもある病気です。

脱水症を招く「かくれ脱水」とは?

かくれ脱水は自覚症状がない

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「かくれ脱水」とは脱水症の一歩手前で、見た目にはわからないうちに体液量が減少している状態を指します。自覚症状が少ないため放置される事が多く、下痢や嘔吐、発熱などの脱水を引き起こす要因が加わった時に一気に脱水症が進み、重篤な病気へと進行してしまうケースが多いのです。
そのため、最近ではこの段階で早期発見し、予防することが重要視されてきています。

「かくれ脱水」では特徴のある症状はありませんが、だるさや二日酔いのようなつかみどころのない体調不良があらわるので、セルフチェック方法を知っておくことが大切です。

かくれ脱水が多いのは「冬」

「脱水症」というと夏のイメージがあるかもしれません。しかし、冬にも非常に多いのです。冬に脱水が生じる原因を身体の周りの環境(外的環境)と身体の内側の環境(内的環境)に分けて見ていきましょう。

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○外的環境による脱水

外的環境としては、まず空気の乾燥があげられます。外気が乾燥する上に、エアコンなどの暖房機器の使用により湿度が下がりがちです。また、乾燥した環境では、皮膚や粘膜などから水分が失われる「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」が増えるため、知らず知らずのうちに身体から水分が失われていきます。

○内的環境による脱水

内的環境としては、冬は体感温度が低く、喉の渇きを感じにくくなっているため、夏場に比べ飲料の摂取量が減りがちです。また、「寒いからトイレに行きたくない」「身体を冷やしたくない」などの理由で飲料の摂取を控える傾向にあります。

○冬場は感染症による影響も

さらに、冬に流行するさまざまな感染症も脱水症を発症する原因のひとつになります。ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎を発症すると、発熱、下痢、嘔吐などで水と電解質が失われてしまいます。外的環境、内的環境に感染症と冬には脱水症になりやすい環境が揃っているのです。

脱水状態にならないことは、健康への近道

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あまり認知されていない事ですが、新型肺炎やインフルエンザなど感染症による死亡の背景には「脱水症」が関係しています。
ウイルスに感染して発熱して嘔吐や下痢をすると身体が脱水状態になります。脱水状態を放置しておくと、肝臓や心臓などの臓器に水分が行き渡らなくなり、最悪の場合は臓器不全を起こして命を落とすことがあります。

インフルエンザなどで病院に行くと、重症の場合は点滴などをされますよね?
これは、脱水状態を改善して、臓器を正常に動かすお手伝いをしているのです。

中国などの諸外国で、新型肺炎による死者が出ていますが、これは肺炎に伴う高熱で脱水を引き起こしている患者さんが適切な処置を行われないために、臓器不全を起こして死亡しているケースが多く見受けられます。
脱水を早く見つけて対処すれば、感染症が命に関わるほど酷くなることは減らすことができます。

脱水症対策の基本は、早期発見、早期治療。後編でさっそくチェック!

たかが脱水と思うべからず!
命にも関わる脱水症。では、どうやって脱水を早く見つければ良いのでしょうか?
次の記事では、早期発見できる「かくれ脱水」のセルフチェックと、脱水を防ぐ正しい予防方法を詳しくお伝えします。

■後編の記事はこちらからどうぞ!

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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