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2019.11.21

仕事でのチャットに煩わしさを感じた時はアウトライナーを使ってみよう【定時帰りのライフハック#4】

kencom公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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最近は仕事上でチャットサービスを導入している企業が増えています。
メールに比べて反応が早いですし、立ち話に比べてどんな会話が行われたかが残るので便利なようです。ただ、別の話題が進行しやすかったり、ついつい時間をチャットばかりに使って肝心の仕事に手がつかないということもあるようです。
そこで代替案を今回は提案してみたいと思います。

仕事に集中しつつ情報を共有する方法を考える

便利なチャットも使い方次第

最近は、外部の方や、会社内でも小規模のチームで仕事をするケースが増えています。そんな時に便利なサービスとしてよく使われるのが下記のようなものです。

・ChatWork
・Slacks
・Facebookメッセンジャー

これらはもともとオンラインチャットをベースにした、タスクやファイル共有もついているサービスと言えます。
要するにメールでのやりとりがわずらわしいので、もっと容易にグループを組めるチャット形式をコミュニケーションのために用意しようというところから生まれたものです。ファイル共有やタスクを別枠で扱えるなどは、付随の機能といっていいでしょう。

非常に簡単な話で、何も困ることなどないようですが、実はそうでもないのが興味深いところになります。
たとえば、グループで共同作業中に自分とは直接関係のない話題がどんどん進行するということがよく起こります。
スルーしておけばいいわけですが、スルーしているうちに、膨大なメッセージが流れていきます。そうこうするうちに、自分が問題にしていたテーマが置き去りにされ、どこに行ったか分からなくなったりするのです。

それもわずか数日前の話題なのに、スレッドではもう遙かな過去のように見えたりします。
もちろんそういう事態も想定されているので、「スレッドごと」に話題をまとめることができたり、検索機能を使ったりもできますが、何か直感的ではないところがあるのも正直なところ。
また、検索ができるといっても、なぜか検索に話題がひっかからなかったりすることもあります。(単に検索キーワードが間違っていることがほとんどですが)

チャット機能を廃したアウトライナーで共有する

今挙げた事例は「自分に関係ない話題だからスルー」でしたが、自分に関係ないとも言えない(だいたい共同作業メンバーなのですから)話題が膨大に流れていくうちに、不意に自分に関係してくるようなとき、

・その話題に入るかどうか?
・その前の話題はそもそもどうなった?

というややこしい気分になってきます。口頭なら簡単な話なのに・・・。
前置きが少し長くなりましたが、こういうことは「タイムラインだけがどんどん流れる」という形式+「スレッドごとにまとめられる」だから起きるところがあります。

そこで有効なのが、オンラインでアウトライナーを使えるというサービスです。

アウトライナーとは階層を持ったメモ

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アウトライナーとは、上記の画像のように階層状にメモを取れるものです。
もともとは論文や本を書く際に、文字通りアウトラインを作るものとして生まれたものですが、言いたいことをカテゴリごとにまとめたり、それぞれの要素の関係性を並べることで整理できることから、近年見直されています。

アウトライナーのいいところは、そもそもタイムラインという概念がないことです。これは、状況によっては不便でもありますが、1つの話題が1つのかたまり(上位階層に属するいくつかのサブ階層)に集中するため、どれほどそこで突っ込んだ話題が進んでも、「置き去り」にはされません。
すぐに最上位階層に自分が問題にしたテーマを作ることができます。

アウトライナーのもう1つの特徴としてあとからの整理がしやすいというのもあります。「スレッドごと」でも同じだろうと思うのは間違っています。
階層はスレッドではありません。スレッドは、話題の大きさにかかわらず最上位階層ですが、階層ごとに話をまとめられれば、その話題がそう大きな規模のものでないことが分かったところで、下位に落とすことができます。

このような整理と統合が自在にできるからこそ、アウトライナーなのです。

オンラインでアウトライナーを使えるというサービスでいうと、有名どころで2つあります。

・WorkFlowy
・Dynalist

これらのサービスは、テキストベースのアウトライナーで、しかもウェブブラウザで使えるため、共有機能があります。
WorkFlowyの方は無料で使えるので、一度使ってみるといいでしょう。

使ってみるとわかりますが、思考の整理もしやすいですし、前述の通り余計な話題に振り回されることがありません。

なお、オンラインチャットでこういうことができるサービスはまず存在しません。
チャットサービスでは、重要でないタイムラインを一部だけ「折りたたむ」とか、チャット内容に従って上位下位の関係に整理することなどはできないからです。

オンラインでアウトライナーを使ってみよう

ちなみに、このオンラインアウトライナーは、気心の知れた人間とやることが前提になっています。記入の際にやはり遠慮などがみられる可能性があるからです。
人数が多くなってきたときや、あまり気心の知れていないメンバーでもうまく行くかどうかは、私自身、現在検証中です。
ただ、時系列順にだけ並んでいくチャット形式よりも、可能性を感じさせるところがあります。

著者プロフィール

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■佐々木正悟(ささき・しょうご)
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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