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2019.11.06

【管理栄養士コラム】日本人がなりやすい「胃がん」の予防のために(検査結果を復習)

MYCODEトピックス

日本人に多いと言われる胃がん、予防のために何ができるのでしょうか?(写真:Shutterstock.com)

参照元:https://mycode.jp/topics/diseases/gastric-cancer/hs_part70223.html?src=my_kcm_hs_part70223_07

日本人に多いと言われる胃がん、予防のために何ができるのでしょうか?(写真:Shutterstock.com)

近年、「ピロリ菌を除菌しました!」とお声がけいただくことがとても多くなりました。ピロリ菌感染と関係が深い胃がんの罹患数予測では、男性2位、女性4位と発表されています(※1)。胃がんは日本人がなりやすい病気ですが、ピロリ菌対策や習慣改善で予防できる可能性が高まりそうです。

胃がんの遺伝要因と環境要因

胃がんの発症には遺伝と環境の要因が関与していますが、遺伝要因1~28%、環境要因72~99%と考えられています(※2-4)。

胃がんの発症リスクを低下させると言われている情報について、ご紹介したいと思います。

・ピロリ菌と胃粘膜のメンテナンス

・血中βカロテン濃度を「低下」させない工夫

・塩蔵食品が胃粘膜に与える影響

自分がピロリ菌に感染しているか知っていますか?

日本人の40歳以上では、約8割(20歳代は約4割)がヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているといわれています。幼少期に上下水道などの衛生環境が整っていない世代に感染している人が多く、環境が改善された時代に育った若い世代では、感染率が低下しています。

では、ピロリ菌に感染しているとどれぐらい胃がんになりやすいのでしょうか。8年間追跡した調査では、ピロリ菌に感染している人の4.7%に胃がんが発症し、ピロリ菌感染していなかった人には胃がん発症はみられなかったと報告されています(※5)。

ピロリ菌に感染すると胃粘膜に炎症を起こします。これを繰り返すことで粘膜が萎縮し、萎縮性胃炎という状態になります(図1)。ここに発がん物質が入ってくることで胃がんになりやすくなるため、感染後に萎縮性胃炎が伴うとリスクが10倍にもなるといわれています(※6)(図2)。

図1. ピロリ菌感染から胃がん発症までの流れ

参照元:https://mycode.jp/topics/diseases/gastric-cancer/hs_part70223.html?src=my_kcm_hs_part70223_07

図1. ピロリ菌感染から胃がん発症までの流れ

図2. ピロリ菌感染・萎縮性胃炎の有無と胃がん発症リスク(※6)

参照元:https://mycode.jp/topics/diseases/gastric-cancer/hs_part70223.html?src=my_kcm_hs_part70223_07

図2. ピロリ菌感染・萎縮性胃炎の有無と胃がん発症リスク(※6)

自分自身の胃の状態を知ることは、胃がん予防を考える上でとても重要であることがわかります。まずは、ピロリ菌感染の有無を知るために、自宅でできる検査キットを使用したり、人間ドックで調べてみてはいかがでしょうか。また、胃炎などの自覚症状がある方は消化器内科を受診してみてはいかがでしょうか。

血中のβカロテン濃度を「低下」させない工夫

国立がん研究センターによる研究では、血液中のβ(ベータ)カロテン濃度が低いと、胃がんになりやすいと報告されています(図3:全体・男性グループ)。この結果では男女差があり、女性の一番低いグループの平均濃度11.7μg/dlと男性の濃度を比べてみると、丁度リスクが低下している濃度と同じ程度です。よって、βカロテン濃度の低下を防ぐことが重要であり、女性のように全体的に十分な濃度の場合、それ以上高くとも予防効果は期待できないのではないかと考えられています(※7)。

図3. 血中βカロテン濃度と胃がんリスク(※7)

参照元:https://mycode.jp/topics/diseases/gastric-cancer/hs_part70223.html?src=my_kcm_hs_part70223_07

図3. 血中βカロテン濃度と胃がんリスク(※7)

①血中βカロテンを上げる工夫

βカロテンを多く含む緑黄色野菜(人参、青菜全般、南瓜等)を、1日1品以上(合計約120g/日)を目安にとりましょう。βカロテンはあぶらと一緒にとると吸収率が高まります。少量の調理油やサラダにオリーブオイルなどもおすすめします。

また、血中のβカロテンの濃度には様々な要因が関わっていますが、そのひとつに体格や筋肉量の多少があげられます(※8)。特に体の大きい男性は、少し多めにとるようにしましょう。

【野菜の量ととり方の工夫例】

ちなみに、βカロテンをサプリメントで大量に摂取した場合、がんの予防に効果がないか、リスクを上げると報告されています。基本的に食事からとるようにしましょう(※9)。

②血中βカロテンを低下させない

喫煙やアルコールは、βカロテン濃度を低下させるといわれています(※8)。喫煙は胃粘膜に直接的な影響も与えますので、禁煙第一です。また、飲酒習慣のある方は、飲酒量が多くなるほどβカロテン濃度が低下するといわれています。適量を心がけましょう。

塩蔵食品が胃粘膜に与える影響

食塩のとり過ぎは、胃粘膜にダメージを与えることから、発がんを促進するといわれています(※10)(図4)。特に塩蔵食品である漬物や塩蔵魚(塩辛・干物等)・魚卵(明太子等)の影響が大きいようです。

図4. 塩蔵食品摂取量と胃がんリスク(※10)

参照元:https://mycode.jp/topics/diseases/gastric-cancer/hs_part70223.html?src=my_kcm_hs_part70223_07

図4. 塩蔵食品摂取量と胃がんリスク(※10)

日々の野菜は漬物ではなく新鮮な野菜を食べる、お酒のおつまみは、塩辛やスナック菓子は避け、減塩・無塩と記された食品や手料理に置きかえるようにしましょう。


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参考文献

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