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2019.10.11

最新研究でここまでわかった!『歩く』の実力

kencom編集部

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手軽だからこそ、人気のある運動が『歩き』や『ウォーキング』。病院やジムなどで運動をすすめられた際のファーストチョイスとして頻繁に挙げられます。
一方で若い人や元気な人からは、単に歩くだけという運動は物足りなさを感じたり、健康効果の実感がわかないというのもよく聞く声です。

しかし、侮ってはいけないのが、歩きが導く健康効果の数々。今回は、従来の論文に加え、最新の研究で新たに分かったことをご紹介します。
これを知ればあなたも歩きたくなること間違いなし!

「ただ歩くだけ」が生み出す、素晴らしい健康効果

健康効果1:病気の予防につながる

まず最初に知っておきたいのが、病気の予防効果です。日本の代表的なコホート研究である群馬県・中之条研究(※)によると、歩数が伸びるに従ってさまざまな疾患を予防することが分かっています。
この表の見方としては、1日に特定の歩数を歩き、そのうちある程度の分数を中強度の運動、いわゆる早歩きにすると得られる効果をまとめたものになります。
単に歩くだけでなく、早歩きを入れているのがポイントです。早歩きを意識的に入れることによって、普段の歩きよりも筋肉や血管などを刺激し、強化することができるのです。

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素晴らしいのは歩きがもたらす病気の予防効果でしょう。わずか4000歩歩き、そのうち5分程度早歩きするだけでも鬱傾向の改善が見られるほか、歩数と早歩きの時間が増えるごとに予防できる疾患が増えています。
また、8000歩歩き、そのうち20分早歩きをすれば多くの生活習慣病を予防することが可能です。

健康効果2:脳のパフォーマンスUP

現在は海外の実験レベルの話ですが、脳のパフォーマンスが向上する可能性も示唆されています。イリノイ大学の運動学・地域保健学部で行われた実験(※2)では、1日40分のウォーキングを週3回ペースで対象に行ってもらったところ、磁気共鳴機能画像法(fMRI)上で脳の神経の発達が確認されたそうです。
特に加齢によって低下しやすい前頭葉、後頭葉、側頭葉の間の機能的神経接続が増えているそうなので、スケジューリングやマルチタスクなど、仕事面で使いやすい部分の機能低下を防げるかもしれません。

加えて2014年に行われたスタンフォード大学の実験(※3)では、座ったままの時とウォーキング時ではどちらが創造的な発想ができるか試しました。
結果、座っている状態よりも歩いている方が約60%も創造的になることが分かっています。さらにすごいのは被験者の81%において創造性が向上していたほか、2回目以降も同様の結果になったそうです。

ただし、何か1つの答えを出すような考えを集中させる作業には、歩いているときは向いていないという示唆も示されています。

健康効果3:腰痛改善効果も狙える

今年改定された『腰痛診療ガイドライン2019』によると、普段から腰に軽い痛みを感じるような、いわゆる「慢性腰痛」に関しては運動療法が強く推奨されることになりました。
運動療法には、水泳やストレッチなどの軽めの運動に加え、ウォーキングを取り入れるケースが多いため、改善効果は期待できそうです。

また、京都大学で行われたシステマティックレビュー(※4)では、負担の少ないウォーキングエクササイズを患者に実践してもらったところ、有意な痛みの軽減や身体機能の向上効果が認められています。
慢性腰痛は、椅子の座りすぎも一因のため、適度に歩く習慣をつけることである程度の改善は期待できそうです。

健康効果を知って、楽しく歩こう!

多くの人にとって気軽に取り入れられるウォーキングという運動ですが、その効果の高さに驚いたのではないでしょうか?
せっかく驚いたなら、あとは実践あるのみ。
普段の生活+1日10分でOKです。まずは少し歩き始めることから始めてみませんか?

参考文献