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2019.08.15

夏のレジャーを楽しむために。海・プールに入る時のイロハ

kencom編集部

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夏と言えば、レジャーで海やプールなどに行く機会が増えます。子どもだけでなく大人もついついはしゃいでしまいがちですが、水場で遊ぶ際は陸上とは違う危険も潜んでいるので注意が必要です。

今回は海やプールでの注意点について、kencom記事の監修をしてくださっている石原藤樹先生に伺いました。

水場に潜むキケン

夏になると水場のレジャーに行く機会が増えるので、水難事故が発生しやすい傾向があります。特に日頃からプール等で運動をしていない人は、慣れない環境でうっかり事故に合う危険もあるので気を付けましょう。

体調が悪い時は無理に入らない

せっかく遊びに来たからと、つい無理をして海やプールに入りたくなりますが、陸上とは違う環境下では思わぬ事故や体調の急変の原因となりかねません。

また、水の中にいると心臓に通常とは違う負荷がかかり急変する可能性もあるので、特に心臓に病気を抱えている場合は注意が必要です。

水に入る前は準備運動を忘れずに

子どものころに習ったように、水に入る前は軽く準備運動をしておきましょう。無理な運動はせず、手足首など関節を軽く回して身体をほぐすようにします。到着してすぐ水に入らず準備運動をすることで、外の環境に身体を慣らす役目も果たします。

加えて、真夏でも水温が思った以上に低い場合もあります。最初に入る時はゆっくり落ち着いて入りましょう。水中では陸上の25倍もの速度で体温を奪っていきます。冷たくて気持ちいいのはわかりますが、低体温症のリスクもあるため1時間程度を目安にビーチで休む時間を設けましょう。

お酒を飲んで水に入るのは厳禁

仲間と一緒に海やプールでバーベキューをしたりお酒を飲む機会もあるかもしれませんが、アルコールが入った状態で水に入るのは危険です。酔いが回った状態では、溺れたり海の生物に刺されたりした際に正常な判断がとれずパニックになる可能性があります。

さらに、お酒を飲んだ身体は脱水ぎみになっている上に、判断能力が低下しているので体調不良にも気づきにくく重症化しやすい傾向にあります。

海でクラゲに刺されたら

海を泳いでいるとしばしばクラゲに遭遇することがあります。うっかり刺されてしまった場合、まず触手を取り除く必要がありますが、まっさきに素手で触るのは危険です。

クラゲに刺されたらまず陸に上がり、真水ではなく海水で傷口を洗います。クラゲの種類によって対処法は変わるので、あわてて行動を起こさないようにしましょう。例えば沖縄に生息するハブクラゲは酢酸が効果的という場合もありますが、カツオノエボシなどは酢酸をかけると逆効果になる場合もあります。また、真水は浸透圧の影響でクラゲの棘が刺激されて、さらに毒を出すケースもあります。

触手を取り除く際は、素手ではなくピンセットや手袋、タオルなどを使い、触手が直接手に触れないようにします。

簡単に取り除けそうにない場合や痛みや腫れがひどい場合は、施設の救護室に駆け込みましょう。

切り傷・擦り傷ができたら

岩場などで手足を切ってしまった場合は、真水で傷口を洗い施設の救護室や近くの病院で手当してもらいます。

また怪我をした後は、傷口に雑菌が入る可能性があるので無理に水に入ったりせず安静に過ごしましょう。

レジャーの際は、救護施設や近くの病院をチェック

水場のレジャーではいつ何が起こるか分かりません。楽しく過ごすためにも、万が一怪我や病気をしてしまった時にすぐに駆け込めるよう、施設の救護室や最寄りの病院を調べておきましょう。

監修医プロフィール

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

(取材・文/kencom編集部)