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2019.06.16

「1人でできる子」は、テキトーに育てられている|「片づけ」「好き嫌い」どこまでこだわる?

東洋経済オンライン

子どもについ、ガミガミ言ってしまうのはいい子に育ってほしいから。でも、テキトー子育てでも、子どもはきちんと自立した子に育つんです(写真:つむぎ/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/286588?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

子どもについ、ガミガミ言ってしまうのはいい子に育ってほしいから。でも、テキトー子育てでも、子どもはきちんと自立した子に育つんです(写真:つむぎ/PIXTA)

1人でちゃんとできる、しっかりした子に育ってほしい。部屋の片づけ、食べ物の好き嫌いをなくす、早寝早起き、ドリルがちゃんと解ける、どれもできるようになってもらわないと――。たいていは親が子に「こうであってほしい」と望み、そして、そのとおりに行動してくれないから、イライラしてしまったりします。

しかし実のところ、かなり多くのことが、子どもをいい子にするためになっておらず、悪い方向に向かってしまっています。

1人でできる子になるテキトー子育て 世界トップ機関の研究と成功率97%の実績からついに見つかった!』の著者であり、子育て支援サービスを運営する、はせがわ わか氏はハーバード大学や東京大学など国内外の1000以上の子育てに関する研究を調べ尽くした結果、「テキトーこそ最高の子育てである」という結論にたどりつきました。

テキトーとは「こうじゃないとダメ」とこだわるのではなく、「こだわらなくていいことにはこだわらない」という意味です。今回は、テキトー子育ての具体的なものをいくつかピックアップしてご紹介します(なお、本記事でいう子どもとは、未就学児を指します)。

無理に部屋の片付けをさせなくてもいい

大人でも、なんだかよくわからないものに囲まれていると、気が散って1つのことになかなか集中できません。子どもは大人よりももっと気が散りやすいので、部屋をきれいにするのは子どもにとっても大きな意味があります。ですから、部屋が片付いたときの気持ちのよさを知れば、やがて子どもは自主的に片付けるようになります。

その気持ちよさを十分に知るまでは、遊びに夢中になっている子どもに「片付けなさい!」と言ったところで、なかなか片付けてくれません。

だったら大人がササっと片付けてしまいましょう。損な役回りと思うかもしれませんが、そのうち子どもはたくさん散らかしても、自分で片付けるようになりますから。

きれいにしていれば、汚したり散らかしにくくなることは、「窓割れ理論」として知られる理論からも説明がつきます。割れた窓を放置すると、どんどん窓が割れていきますが、逆にちょっとでも割れたらすぐに直せば、窓は割れなくなるという理論です。

わかりやすい例が、ニューヨークの街。以前は落書きだらけで、ゴミが散乱していました。しかし、落書きなどの取り締まりを強化したところ、落書きもゴミも、さらには犯罪までもが激減したのです。

食べ物の好き嫌いがあっても気にしない

ピーマンやしいたけなど、子どもは何かしら嫌いな食べ物があるもの。ただ、理由があって嫌いなのです。実は子どもの好き嫌いの判断基準はただ1つ。食べても安全かどうか。これを感知する2つのルートが、子どもの好き嫌いを引き起こしています。

1つ目のルートが「味」。菜の花など春の野菜は苦味が強いですよね。これは、昆虫から身を守るための植物の防衛本能によるもの。苦味を出すことで「毒ですよ!」と合図を出し、昆虫たちから食べられるのを防いでいるわけです。酸味は「腐っていますよ!」の合図。

子どもはまだ体がとても弱いので、本能的に苦味や酸味に危険を感じます。でも栄養はほかの食べ物からでも摂取できますから、躍起になって食べさせなくても大丈夫です。

子どものときに苦手だった食べ物が、今では平気で食べられるようになった経験は、大人なら誰しもあるはず。そのうち食べられるようになることも多いので、気にしすぎないようにしましょう。

2つ目のルートが、「快/不快」。口にしたことのない食べ物には「新奇性恐怖」、いわゆる「食わず嫌い」が発生しがちです。これを解消するには、普段からなるべくいろんなものを食べさせることですが、食事を用意する親は手間がかかるでしょう。

そこで簡単な方法をアドバイス。子どもが信頼しているお父さん、お母さんが同じものを一緒に食べれば、本能的に安全だと理解しやすいのです。ペンシルベニア州立大学での2~5歳の子どもを対象とした実験でも、そばにいる親しい大人が、別のものよりも同じものを食べているときのほうが、子どもは初めての食べ物を受け入れたと報告しています。

早寝早起きにこだわらない

「6時には起きる」「20時までには寝る」と、早寝早起きを徹底する親も少なくありません。寝る子は育つ、確かにそうですが、起きるのも寝るのも早ければいいというものではありません。それよりもはるかに大事なのは、決まった時間に寝て起きることです。

人間の赤ちゃんは、とても未熟な体内時計を持って生まれてきます。ただ、大人に起こされたり寝かされたりすることで、少しずつチューニングされていきます。体内時計を地球の自転のリズム(=24時間周期)に合わせることがあくまで大事なので、決まった時間の起床と就寝が欠かせないのです。

子どもの体内時計は、大人よりもずっと光に敏感。これを利用します。起床は朝7時など決まった時刻にして、カーテンを全開にするだけでOKです。一方で夜は、外出時は明るい店をさっさと退散し、家では就寝2時間前にはテレビやスマホを控えましょう。

ドリルでのミスを正さない

幼い子どもは、具体的なことは理解しやすいものです。一方で「お行儀よくして!」という抽象的なことを言っても、子どもはなかなか理解してくれません。そうではなく、「靴をそろえて」「お茶碗を持って」と具体的に言ったほうが伝わります。

やがて「靴をそろえる」「お茶碗を持つ」などに共通するのが「お行儀がよい」という抽象的なものだと理解できるようになれば、ほかにもお行儀がよい行動(「イスにまっすぐ座る」など)を自分で考え出せるようになります。

これは国語の話ですが、算数も一緒。5人で遊んでいるときに2人が帰れば3人になるというのは目で見てすぐに理解できます。「5-2=3」という抽象的な思考は、具体的な経験を積むことで次第に理解できるようになります。


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抽象的なことを学ぶのは、ドリルで効率よくできます。ただ、具体的な経験を十分に積むことなしに取り組んでも、なかなか解けません。

未就学児にドリルを取り組ませる際は、ドリルの選び方がとても大事。内容が子どもに合っているかどうかの見分け方は、子どもが楽しんでいるかどうかです。逆に子どもが楽しんでいなければ、そのドリルで扱う抽象的な内容に対応する具体的な経験が、生活の中でまだ足りていないということになります。ドリルよりも、具体的な経験を積ませるのが先決です。

子どもがドリルを楽しんでくれても、全部が解けるとは限りません。とはいえ、いちいちミスを指摘するのはご法度。子どもは嫌気がさして、ドリルが楽しくなくなり、使わなくなってしまいますから。

ですから正解でも不正解でも、全部マルにしてしまいましょう。未就学児は、まだ論理的にしっかり理解するレベルに達していませんから、「正解!」ということにしても、子どもが間違えて覚えてしまう心配もありません。

子どもが自立する、育児がラクになる、イライラしない

以上で見てきたとおり、こだわりを捨てて、テキトーをもっと意識してみてください。親の気持ちに余裕が出てきますから、子どものコミカルな行動で愉快に思ったり、今まで見落としてきた子どものちょっとした成長に気づいたりすることもあるはずです。子育てってこんなに楽しいんだ!と思うことも増えるでしょう。

親は肩の力が抜けてストレスが減りますし、子どもだってガミガミと言われなくなりますから伸び伸びとしてきます。

しかも、子どもは1人でできる自立した子に、ちゃんと育ちます。テキトー子育て、まさにいいこと尽くめです。

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はせがわ わか:子育て支援サービス「ハッピーエデュ」代表

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