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2019.05.16

集中力がないと嘆く前に……10分間だけやり遂げよう【習慣の心理学#15】

KenCoM公式:心理学ジャーナリスト・佐々木正悟

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多くの人が抱えている悩みの一つに、「集中力がない」というものがあります。インターネットなどで、刺激的な情報が手軽にたくさん手に入るようになっていることもあってか、これはもはや現代病といっても過言ではないくらい多いものかもしれません。
では、一体どうやって集中力を高めたらいいのでしょうか?その方法を一緒に考えていきましょう。

短い時間でも集中してみることが近道

短い集中を繰り返すポモドーロテクニック

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すこし前に流行った仕事術で「ポモドーロテクニック」というものがあります。簡単に説明すると、仕事や勉強、家事などの業務を25分という短い時間に区切って行い、合間に5分ずつ休憩を入れるという方法です。その際にはキッチンタイマーなど、わかりやすいタイマーを使います。このテクニックの発案者であるイタリア出身のコンサルタントであるフランチェスコ・シリロがトマト型のキッチンタイマーを使用していたことから、名前に『ポモドーロ(トマト)』とついているのです。

この方法自体は、決して目新しい方法ではありません。初耳だという人もあるでしょうが、結構前から日本でも紹介されてきたテクニックなのです。
ポモドーロテクニックのいいところはプラン、実行、レビューの組み合わせからなる、きわめてシンプルな集中法というところにあります。
先ほど説明した25分集中・5分休憩のサイクルを「1ポモドーロ」といい、1日に「8ポモドーロ」をとりあえず目標とします。
あとで、いくつのポモドーロできたかを振り返ることで、PDCAサイクルを回すことができます。
私はこれは集中して仕事を行うには良い方法だと思いますが、最初から25分というのは、じつに無理があると思っています。

実際に行う際には、25分も集中できない

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たとえばこの原稿ですが、私はまず下書きを書きます。その際に使う時間は、8〜12分です。
それでもだいたい1500字は書きます。25分となれば、その倍の時間。集中して書けば3000字はいくでしょうが、なかなかこのご時世、3000字の記事を読んでくださる読者さんは多くないでしょう。
つまり25分まとめて仕事をするというのは、ちょっとオーバーワーク気味だと思うのです。

ちなみにプロ野球の1試合は、平均して3時間20分くらいとされています。
交代の時間や、怪我の治療などでも時間を使いますので、試合時間そのものを3時間とすると、1イニング裏表の合計は20分ということになります。
つまり、プロの野球選手が休憩を挟まずに集中している時間は、ざっくりとにせよ一度に20分程度なのです。これはメインが身体の仕事ではありますが、人間の集中力は概してこんなものです。見ている方が集中できるのも、だいたいこのくらいです。

25分は長い。

20分集中したら、何らかの休憩を挟むべきだと私なら思います。
ちなみにまた脱線して恐縮ですが、小学生の1時間の授業が30分を平気で超えているのは、私からすると無茶です。授業参観に行くたびに、子供も先生も大人も途中で集中が切れ始めるのがありありと感じられます。

短く区切った方が、気楽に集中できる

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本連載をもし読者の方に楽しんでいただけているとすれば、私が決して一度に15分以上書かないようにしていることと関係があると思います。
25分程度であれば、もしかすれば集中できるかもしれませんが、絶対に集中できると確約できるのはせいぜい10分なのです。これくらいにしておいた方が、気負わずに始められるという利点もあります。
その代わり、この10分に私は必死になって書いています。
その際にはポモドーロテクニックとは違って、タイマーなんかかけません。私の集中の持続する限り、絶対に一息も入れずに一気に書ききります。大事なのは、タイピング速度とか、他の音に気を散らされないといったことではなく、書き続けてやめないことにあると私は思っています。

ときおり家人に用事を言いつけられることもあります。そのとき意識はそちらに飛びます。しかし書くのはやめません。最大でも10分後には家人の用事などに対応できるからです。
10分ならばこういうこともだいたいにおいては可能になります。家人も、ぶつくさ言うかもしれませんが、10分なら待ってもらえます。25分では待ってもらえないでしょう。
残念ながら宅配便には対応せねばならないのですが、その場合にはもう最初から書き直すことにして、10分間をやり直します。
10分間ならやり直す気になれます。これが25分だとすると、やり直す気になれないと思うのです。

みなさんが行う場合、やはり10分から試してみるのがいいかもしれません。そこから、自分の作業量、集中できる時間帯を探って見ていくとご自身なりの方法を見つけられると思います。

短時間集中して休憩を挟むのは体調管理にも役立つ

このテクニックの副次的効果ですが、集中した後に必ず5分休憩が入ることです。
このタイミングで立ち上がったり、少し肩を回したり、ストレッチをしたりすると、身体が固まるのを避けることができます。
身体の力みが消えれば、また集中しやすくなり、よいサイクルを作ることができるでしょう。
休憩をしっかり取ることを忘れることなく、試してみてください。

■もっと習慣化する方法が知りたい方はこちらからどうぞ!

著者プロフィール

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■ささき・しょうご
心理学ジャーナリスト。「ライフハック」の第一人者。専門は認知心理学。1997年獨協大学を卒業後、ドコモサービスに入社。2001年米アヴィラ大学心理学科に留学。04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。05年帰国以来、「効率化」と「心理学」を掛け合わせた「ライフハック心理学」を探求し続けている。
著書にベストセラーとなった『ビジネスハックス』『スピードハックス』などのハックシリーズ(日本実業出版)のほか、『先送りせずにすぐやる人に変わる方法』(中経出版)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)などがある。

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