メニュー

2019.04.14

【管理栄養士コラム】自分にとって理想的な体型はありますか? ―知っておきたい、からだづくりの基礎情報―

MYCODEトピックス

理想体型を目指すにあたり、重要な3つのポイントをご存知でしょうか?(写真:Shutterstock.com)

参照元:https://mycode.jp/topics/life/registered-dietitian/body_building.html?src=my_kcm_URL_07

理想体型を目指すにあたり、重要な3つのポイントをご存知でしょうか?(写真:Shutterstock.com)

現在、自分の体型をどのように感じていらっしゃいますか? また、理想の体型をお持ちでしょうか。健康を維持するうえでも、見栄えが良い体型を目指す上でも、現状を正しく把握し、自分の目指したいイメージを数字目標として掲げるとコントロールがしやすいです。

今回は、理想の体型を目指すにあたり、3つのポイントを整理してみましょう。

1.いわゆる “見た目の体格” の指標BMI

健康管理の視点から、体重を判定する基準が国際的に決まっています。健康診断の結果などで見慣れている方も多いかと思いますが、身長と体重から求めるBMI(Body Mass Index)です。ご自身の値を計算してみましょう。

記事画像

表1.肥満の判定基準(日本肥満学会)

表1.肥満の判定基準(日本肥満学会)

日本肥満学会が定めた基準では、BMI25以上が肥満と判断されます(※1)。一般的にBMI25を超えると、健康診断の生活習慣病関連(血糖値、脂質関連、血圧等)の項目が上昇し始め、医師から体重減少を求められるようになります。

2.本当に重要なのは “からだの中身(組成)”

「肥満」の定義は、「脂肪細胞に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMIが≧25のもの」とされています(※1)。BMIは、体水分量や骨、筋肉量なども含めた“体重”の評価ですので、例えば、筋肉量が多いスポーツ選手や、浮腫などの病態をお持ちの方は、BMIだけで”肥満”を判断することは適切とは言えません。以下ステップ1~3でご自身のからだの組成を整理してみましょう。

ステップ1.体脂肪率を測定する

からだの構成を大きく2つに分けると、脂肪組織(体脂肪)と脂肪以外の組織(除脂肪体重)とに分けられます(図1)。

図1.体組成

図1.体組成

体脂肪率は、体重に占める体脂肪の割合を示していますが、市販されている体重計にて計測されます。体脂肪率の測定原理は、体重計に乗ることで足から足へ微弱な電流を流し、電気の通りやすさから算出されます。体脂肪と骨はほぼ電気を通さず、骨以外の除脂肪体重は電気を通しやすいことを利用しています。よって、測定精度を高めるためには、測定時間を一定にするようにしましょう。例えば、夕方以降の時間帯は足が浮腫んでいることが多く、朝の測定値と比べて体脂肪率に数%の差が生じます。また、体水分の状態が通常ではない発汗時や、大量に水分やアルコールを飲んだ時も精度が低下します。理想的なタイミングは、起床後、トイレにて排泄を済ませた後がお勧めです。

ステップ2.体脂肪率を評価する

体脂肪率は、BMIのように基準値が明確に定まっていませんが、男性20%以上、女性30%以上になると体脂肪の割合が高いと判断されます(表2)(※2)。普段、管理栄養士がメタボリックシンドローム対策の保健指導を実施していると、該当者のほとんどが体脂肪率20%以上(男性)です。健康状態をコントロールする上で、重要な指標であることが分かります。また、痩せているけれど体脂肪が多い「隠れ肥満」の確認としても重要です。

表2.体脂肪率と肥満度

表2.体脂肪率と肥満度

一方で、体脂肪はより少ない方が好ましいわけではなく、健康的に生命を営む上で一定量は必要です。その必要最低限の脂肪量を体脂肪率にすると、男性で約3~4%、女性で9~12%程度とされています。トップアスリートは、競技で結果を出すためにこの必要最低限値まで落とし込むことを求められますが、長期間この値を下回ると、正常な生理機能やホルモンの異常が起こり、健康障害につながることが知られています(※3)。健康を維持するうえでは、男性15~20%、女性20~25%をひとつの目安とすることをお勧めいたします(※4)。

ステップ3.現在の筋肉量を評価する

図1をご覧ください。除脂肪体重の48~54%が“骨格筋”であるといわれています(※3)。骨格筋とは、私達が普段口にしている“筋肉”のことで、私達の意思で動かすことができます。それに対して、心臓や胃、腸などの内臓を動かす筋肉など、私達の意思では制御できない筋肉もあります。骨格筋は、運動など刺激を与えることで増やすことができますが、使わないと萎縮して小さくもなります。骨格筋量の多少は、身長1m当たりの除脂肪体重で評価します(表3)。

〈計算方法〉

体重㎏×体脂肪率%=体脂肪量㎏

体重㎏-体脂肪量㎏=除脂肪体重㎏

除脂肪体重÷身長m=除脂肪体重/身長

例:身長170㎝,体重64㎏,体脂肪率18%の場合

64㎏×18%=体脂肪量11.5㎏

64㎏-11.5㎏=除脂肪体重52.5㎏

52.5㎏÷身長1.7m=30.9㎏/m

標準は、男性31㎏/m、女性25㎏/m、スポーツを実施している人では、身長1m当たりの除脂肪体重量が多くなります(※5)。ご自身の除脂肪体重量が、標準以上であるかを確認しておきましょう。

表3.身長1m当たりの除脂肪体重量を基準とした筋肉量の評価 (kg/m)

表3.身長1m当たりの除脂肪体重量を基準とした筋肉量の評価 (kg/m)

ステップ4.課題が見つかった方は改善計画をたてましょう!

図2に、体格と体組成が異なる4つのタイプを挙げました。ご自身の体格と体組成を振り返ると共に、必要に応じて改善計画をたててみましょう。

図2.体格と体組成が異なる4つのタイプ(男性例)

図2.体格と体組成が異なる4つのタイプ(男性例)

A:理想タイプ

アスリートなど特殊な条件がなければ、体脂肪率、除脂肪体重が基準値内で、健康を目指す上でとても理想の体型・体組成といえます。現在の食事と運動習慣を継続していきましょう。

B:隠れ肥満タイプ

BMI22と標準体重ですので、体型はスマートに見えます。一方で除脂肪体重が31/m以下であり、筋肉量が少なく体脂肪量が多い状態です。健康増進の観点から改善が必要です。食事のボリュームは変えずに、食事の質を見直しつつ、運動習慣を改善しましょう。運動習慣は、歩くなどの運動でも緩やかな効果はみられますが、改善に時間がかかります。筋肉を増やすためには、ある程度の運動強度が必要です。階段や坂道歩行を上手に組み込むなど、筋肉に負荷がかかり、呼吸が上がるような運動を習慣化しましょう。

C:アスリートタイプ

BMI27と外見だけでは肥満と判断されがちですが、除脂肪体重が39㎏/m(体脂肪率15%)と、筋肉で体重が多いことがわかります。スポーツを実施している場合は、自分の目指す体格を確認しておきましょう。

D:肥満タイプ

BMI27,体脂肪率25%と体重過多であり、体脂肪量も多いと判断できます。一方で除脂肪体重は34㎏/mと筋肉量が標準以上であることがわかります。体重が徐々に増える過程で、その体重を毎日移動させる(筋トレ)ため、体脂肪と同時に筋肉も増えることがあります。除脂肪体重が多い方は、理想的なからだづくりに向けて、減量を開始するチャンスでもあります。目標は、現在の筋肉量をなるべく減らさずに、過剰に増えてしまった体脂肪を優先的に落とすことを目指しましょう。急激に体重を落とすと、同時に筋肉量も減らします。1~2㎏/月ペースで計画をたてましょう。

◆MY健康サポートでは、からだづくりのプログラムを一緒に作成いたします。MYCODE会員ではなくともお申込みいただけます。


遺伝子検査MYCODEが気になる方はこちら

参考文献

※1. 日本肥満学会編, 肥満症診療ガイドライン2016, ライフサイエンス出版

※2. 日本肥満学会編集委員会編, 肥満・肥満症の指導マニュアル〈第2版〉, 医歯薬出版

※3. 小宮 秀一, 健康行動の科学 身体組成学―栄養・運動・健康, 技報堂出版

※4. 厚生労働省, e-ヘルスネット「肥満と健康」

※5. 安部孝, 実験・実習教室(3)身体組成--からだを構成する組織の量とその比率(その3), 体育の科学

MYCODEトピックスでは、病気に関する情報から、ダイエット、生活習慣や健康に関する情報、そして遺伝子に関する情報など幅広い医療・健康情報をお届けします。

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します