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2019.03.07

「ペット専用」保険、今更聞けない基本中の基本|保険料の大幅な値上げや更新制限もある

東洋経済オンライン

家族の一員となったペット。ペット保険に加入する飼い主も増加しています(写真:マコ父 / PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/267873?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

家族の一員となったペット。ペット保険に加入する飼い主も増加しています(写真:マコ父 / PIXTA)

少子高齢化や核家族化が進んだことで、ペットを家族の一員と思う人は確実に増えている。日本全国の犬の飼育頭数は約890万3000頭、猫の飼育頭数は約964万9000頭と推計されている(一般社団法人ペットフード協会の平成30年全国犬猫飼育実態調査)。人間同様、ペットも長寿化しており、犬の平均寿命は14.29歳、猫の平均寿命は15.32歳だという。

増えるペット保険の需要

ペットの平均寿命が長くなると病気やケガの際に動物病院などにかかるケースも増える。しかし、人間と違って公的な医療保険制度はない。費用はすべて自己負担で、治療も高度化しているので金額がかさむ。そこで人気なのがペット保険だ。インターネットでも「ペットとあなたに安心を」「ずっと安心」といった広告が目につくこともあるだろう。

年を取るにつれて治療費がかかるが、ペット保険は1年契約が基本だ。毎年、更新していく仕組みとなっている。したがって、更新時の年齢によって保険料が高くなる商品も多い。

現在、日本国内におけるペット保険の推定加入率は10%に満たない。欧州などと比べても加入率が低いものの加入者数は増え続けており、保険業界における成長分野といえる。

ペット保険を扱う会社は損害保険会社4社、少額短期保険会社11社の計15社だ。少額短期保険会社とは保険業のうち、一定の事業規模の範囲内において、保険金額が少額(損害保険は1000万円以下)、保険期間1年(第二分野については2年)以内の保険で保障性商品の引き受けのみを行う事業者だ。

だが、ペット保険の加入や更新においては注意すべき点がある。

「月々460円からのペット保険」など、加入契約時の保険料の安さが強調されている場合も多いが、将来の保険料の表示がなかったり、あっても変更される可能性もある。また、ペットの新規加入年齢制限を設けている商品がほとんどで、契約継続も年齢制限がある場合もある。そこで本記事ではペット保険を契約する際のチェックポイントを見ていきたい。

ペット保険は動物病院での手術や入院または通院の一部が補償される損害保険の一種だ。補償割合にはさまざまな率があるが、一般的には医療費の70%もしくは50%程度が補償される。

新規加入については年齢制限があり7歳から12歳を超えると保険に加入できなくなる保険が多い。それ以降の年齢では継続加入だけが認められるが、死ぬまで加入し続けられるものと17歳程度までのものがある。また、猫より犬のほうが治療費がかかる傾向にあるので、犬のほうが保険料が高いのが一般的だ。

ペット保険に加入していれば、いざというときに、契約時のコース選択により一定負担により受診できる仕組みだが、先天性疾患や契約前に発生した病気やケガの治療費は対象外なのが通常だ。したがって、告知義務がある。

場合によっては保険引き受け自体を拒否される。補償対象外の診療が個別に定められている場合もあるので要注意だ(歯科治療など)。保険業界では当たり前なのだろうが、あまり知られていないことがある。それは、ペット保険でも地震、噴火、津波による傷病は保険金支払いの対象とはならないことだ。地震で家が壊れてペットがケガをしたり、環境悪化で病気になっても保険金は出ない。

そのほか、ワクチンなどの予防費用、健康診断、妊娠・出産・帝王切開、診療にあたらないサプリメント、移送費なども対象外となる。

更新時に条件が付く場合も

保険金支払額や回数が多い場合には更新時に審査をして、保険引き受け条件の変更や、引き受けの拒否ができる旨の契約内容になっている保険もある。どのような場合にこれに該当するかは明らかでない。悪質な消費者との契約変更や拒否ができるように定めたものと見ることもできるが、実際にある会社に電話して聞いてみた。

99%この約款の適用はありませんと説明を受けたが、こうした条件を設けていない会社もあり、チェックポイントだろう。更新後の保険料が、更新前の保険金請求の回数によって自動的に割り増しとなる保険もある。

ペットが高齢になるほど保険の必要性は増すため、何歳まで更新ができて、保険料がいくらになるかの確認は重要だ。

多くの会社でネットでの契約申し込みが可能だが、ネット上では、加入時の保険料はわかっても、その後の保険料がわかりにくい場合があることにも注意が必要だ。例えば、業界2位で2004年創業のアイペット損害保険のペット保険は12歳までしか保険料表がない。「うちの子」70%プラン・小型犬の場合、12歳時の年払いは11万0070円だ。電話でその後の保険料を聞いてみた。15歳で16万0460円、20歳だと31万6080円だという。

年齢別保険料表示があっても確定はしていない

将来の保険料をしっかり確認して契約する必要はあるが、約款で保険会社が契約内容や保険料を変更できるようになっており、更新時に保険会社が定めた保険料が適用されるので、年齢別保険料表示があっても更新時の保険料は確定はしていない。したがって、重要事項説明書や契約書にも将来の保険料は表示されていない。

一般には損害保険は収支により保険料率が変更されることがあり、若干値上げ(場合によっては値下げ)される場合があることは多くの消費者が知っていると思われるが、ペット保険では一挙に2.7倍になってしまった事例がある。

楽天少額短期保険株式会社(旧・もっとぎゅっと少額短期保険株式会社)の「もっとぎゅっと新ワンニャン保険」だ。この保険は2017年3月末まで販売代理店であるペットショップ向けの専用商品として販売されており、保険料がペットの年齢によらない「一律型」であった。

だが、財務省関東財務局にもっとぎゅっと少額短期保険株式会社(当時)より、ペットの年齢別・犬猫種類別による​「個別型」に2017年8月に約款変更申請し、受理された保険だ。2017年12月1日以降に保険期間を開始する新規契約・更新契約から順次、改定内容が適用された。

「保険金の支払い実績を考慮し、お客様の公平性の観点から」という理由でペットの年齢別・犬猫種類別の保険料となった結果、例えば、50%プランで2万8730円であった年間保険料が小型犬10歳以上だと7万7860円と一挙に2.7倍になった。年齢ごとに保険料が上がる保険(ここでいう「個別型」)が一般的ななかで、「一律型」ではペットの高齢化、医療費の高額化などに対応できないということだろう。

現在、この保険の新規契約受け付けはネット向けで継続こそしているものの、ペットショップ向けの代理店販売終了後は販売数が大きく減少している。

保険料率の変更というだけでなく、契約した保険商品の基本設計が変更されたり、保険料が2倍以上になるケースもペット保険ではありうる。

この保険商品は将来、保険収支が見合わなくなる可能性が想定されたので、それに備えて改定したとのことだ。

楽天少額短期保険株式会社は、「商品の改定前後でお客様からの解約率や、満期(1年更新)を迎えた際の更新率も大きな変動はありません。契約者様へペット向けサービスや情報提供を行う新たな付帯サービスを追加したことも評価されていると考えています」と回答した。

ペット保険はまだ発展途上段階

以上、ペット保険加入の際のチェックポイントを紹介した。紹介した事例のように急激な保険料引き上げに直面するリスクもある。もちろん更新時の提示条件が嫌なら更新せず、ほかの保険に切り替えればよいではないかという意見もあるだろう。

しかし、ペット保険は7歳から12歳程度の新規加入年齢制限があるのがほとんどだ。したがって、ペットが長生きして保険のありがたさをより感じる頃には、保険の切り替えができないという現状もある。

長年大手損保会社に勤務し、業界に精通している大羽宏一氏(元・尚絅大学学長、現・PL研究学会会長)は「ペットの飼い主はそのペットが亡くなるまで飼っていたいと思うのが一般的なので、保険料体系をしっかり新規契約時に明示することが求められるだろう。一般的に保険料率の数割程度の改定は状況に応じて許されるが、一律型であれば継続契約終了時まで同じ保険料体系で引き受けるべきだし、個別(リスク対応)型であれば将来にわたる保険料の推移を明示するべきだと思う」と話す。

保険商品の基本的な考えの変更や、加入ペットの年齢構成の変化による保険料の突然の大幅値上げがペット保険業界として問題ないということであれば、ペット保険は必ずしも安心できないというのが筆者の意見である。

成長が続くペット保険業界であるが、飼い主が保険商品を理解し、リスクを認識する必要がある。契約後のトラブルを避けるために、保険会社にも飼い主の納得がいく対応が一層求められるといえる。

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細川 幸一:日本女子大学教授

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