2019.02.14
「ゆっくりお風呂につかりたい!」心も体も冷え冷えママに「分浴」のススメ
ゆっくりお風呂につかりたい! でも、子どもと一緒だとお風呂場は戦場だし、そんなのムリ! というママも多いでしょう。かといって、お風呂にゆっくり入らないことが、心身の不調の原因になることも…。
そこでオススメしたいのが、子どもとの「分浴」という入浴法。睡眠とお風呂の専門家で、『ぐっすり眠れる、美人になれる! 読むお風呂の魔法』(主婦の友社)の著者である小林麻利子さんにうかがいました。
お話をうかがったのは…
小林麻利子(こばやし・まりこ)さん
ナイトケアアドバイザー、睡眠改善インストラクター、温泉入浴指導員、上級心理カウンセラー。身体の不調に悩む女性のための生活習慣改善サロン「flura」をオープン。これまでに1700人の女性の不調を悩みを解決し、サロンは1年半先まで予約待ち。著書は『美人をつくる熟睡スイッチ』(ジービー)、『あきらめていた「体質」が極上の体に変わる』(ダイアモンド社)など。ただいま7カ月の男の子のママ。
■「疲れがとれない、イライラする…」間違った入浴が原因!?
――ママがゆっくりとお風呂につかるメリットは、どんなところにあるのでしょうか?
小林麻利子さん(以下、小林さん):お母さんたち、子育てですごく疲れていますよね。気が張って、睡眠中でも何度か目覚めて、睡眠不足でイライラ…なんて人も多いと思います。
でも、心身の調子を整えて、いつも笑顔でいるためには、質の高い眠りを得ることが大切。そのためには、お風呂にゆっくりつかることが不可欠なのです。
内臓や脳など、内側の体温が深部体温、手足などの体温を表面体温というのですが、眠りに重要なのは深部体温。この深部体温を入浴でしっかり上げて、急激に下げることで、その後深い眠りを得ることができます。
――深部体温を上げるには、どれくらいの温度のお風呂に何分つかるのがいいのでしょう。
小林さん:ベストの入浴温度と時間は、40度のお風呂に15分つかること。秋田大学の研究(※)からも、これが最善であることが分かっています。
そうすることで、深部体温が0.5度上昇。すると、深部体温がお風呂から出た後は急激に低下するので、それにともなって深い眠りを得ることができます。
■「分浴」って何? 子育てママに実践してほしい入浴法
――子どもが一緒の入浴では、寝る頃には体が冷えきって、寝つけないなんてことになりがちです。でも忙しいママが30分も1時間もお風呂に入るなんて、ちょっと難しいかも…。効率よく熟睡できる入浴法はありますか?
小林さん:1回目は親子で、2回目はママだけというように、1日の入浴を2回に分ける「分浴」がオススメです。
――「分浴」という言葉。初めて聞いたという方も多いかもしれません。どんな入浴方法かくわしく教えていただいてもいいですか?
小林さん:まずは、入浴1回目。子どもの寝る時間に合わせて、親子一緒にお風呂に入ります。このとき、髪や体も洗い、スキンケアもすませてしまいましょう。
そして、入浴2回目。子どもが寝たあと、ママひとりでゆっくりと湯船につかりましょう。すでに髪も体も洗い終わっているので、入浴だけを堪能できますね。
――子どもの様子が気になって、ゆっくりできないというママはどうすれば?
小林さん:私も活用していますが、ベビーモニターやベビーセンサーを使ってもいいと思います。
■子どもがぐっすり寝てくれる「ぼんやり照明&ゆったり歌」
――分浴するためには、子どもの寝かしつけもスムーズにできないと難しいですね。小林さんが実践されている方法はありますか?
小林さん:もともと浴室は転倒予防などのために、明るめの照明が設置されていることが多いですね。でも、寝る前の子どもにとって、浴室の照明は光の刺激が強すぎるのです。
また、子ども目の水晶体は澄んでいて、光をダイレクトに受けてしまいます。ですから、私が親子一緒にお風呂に入るときは浴室の照明はつけず、脱衣所の照明だけつけるようにしています。
もし、それでは暗くて不安、危険ではないかといった心配があるようなら、照明を昼白色ではなく、少し暗めの落ち着いた光を放つ電球色に変える、浴室の電気がふたつあるなら、ひとつに減らすだけでもいいと思います。
あと、睡眠の儀式ではないですが、入浴中は落ち着いた声でゆっくりと、いつも同じ歌を歌ってあげるといいでしょう。私の場合は「森のくまさん」を歌ってあげています。
そして「もうそろそろ、おねんねだよ~」と伝えると、7カ月の息子も「もう眠るんだな」と分かるようで。入浴後は水を飲んで、すんなり眠ってくれますね。
■「2回もお風呂に入るなんて」夫にイヤミを言われたら!?
――2回もお風呂に入ることで、夫からクレームが…といった声も聞こえてきそうです。そんなときはどうしたらいいでしょうか?
小林さん:頭ごなしに「私は疲れてるんだから!」って言っても、「俺も疲れてる」って返事が帰ってきそうですよね(笑)。
男性は論理的だから、分浴の必要性を筋道立てて話してみてはいかがでしょうか?
例えば、「子どもと一緒にお風呂に入っただけだと寝るときに冷え切っちゃう。だから最近、カゼを引きやすいの。私が倒れたら大変でしょ」と言ってみるとか。
あとは、「最近あなたにイライラしたり、当たっちゃったりしているのはよく眠れていないから。認知機能が低下しちゃっているみたい。でも、あなたのことも大切に思いやりをもって接したいし、おいしいごはんも作りたいし。やさしくいるためにもお風呂に入らせて」と伝えれば、分浴をいやがる旦那さんはいないと思いますよ(笑)。
子どもが小さいうちは、「ひとりでゆっくりお風呂につかる」なんて、夢のまた夢のように感じているママは多いでしょう。
小林さんが推奨する「分浴」なら、今日からでも取り入れられますね。心も体も冷え切ってしまうこの季節、ぜひ試してみてください。
次回は、巷で信じられている間違った入浴法を正し、よりリラックスできる、キレイになれるお風呂術をくわしくご紹介します。
参考資料:
※:上村 佐知子ら『簡易脳波、深部体温と遠位・近位皮膚温から見た温泉浴の睡眠への効果, 不眠研究』112 – 117、2012
参考図書:
『ぐっすり眠れる、美人になれる! 読むお風呂の魔法』(主婦の友社)
ダイエット、体質改善に効くお風呂習慣から、忙しいママのための入浴テクニックまで。1児の母であり、ナイトケアアドバイザー、睡眠改善インストラクターである著者の小林麻利子さんが指南しています
(阿部桃子)
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