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2019.02.27

揚げ物が体に良くない理由とは?【KenCoM監修医・最新研究レビュー】

KenCoM監修医:石原藤樹先生

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高カロリーで身体に悪そうなイメージのある揚げ物。実際食べ続けると、健康にどれくらい影響があるのでしょうか。
当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにKenCoM監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、KenCoM読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

本日ご紹介するのは、2019年のBritish Medical Journal誌に掲載された、フライドチキンなどの揚げ物の、健康への影響についての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

揚げ物は身体に良くないというイメージ、正しい?

フライや天ぷらなどの揚げ物が、健康に良くないというのは、誰でも何となくそうかな、とは思うところです。
衣や油により高カロリーになりますし、高温の油により食品の一部が変性して、終末糖化産物やトランス脂肪酸など、健康に有害な物質が産生されるという指摘もあります。

ただ、それに関する実証的で信頼のおける臨床データが、そう多くあるという訳ではありません。

つまり、揚げ物の健康への害というのは、多分に推測の部分が多いのです。

揚げ物の摂取頻度と生命予後の関連を検証

年配女性が週1回以上揚げ物を食べると、総死亡のリスクが8%増加

今回の研究はアメリカにおいて、閉経後の50から79歳の女性、トータル106966名を長期間観察した臨床データを活用して、食事調査による揚げ物の摂取頻度と、生命予後との関連を検証しています。

対象となっている揚げ物は、フライドチキンとフライドフィッシュや牡蠣などのフライ、フライドポテトなどが主です。

揚げ物を殆ど摂らない場合と比較して、毎日1回は食べている人は、総死亡のリスクが8%(95%Ci: 1.01から1.16)有意に増加していました。

週1回以上のフライドチキンで総死亡リスクが13%アップ

これをフライドチキンのみで見てみると、週1回食べているだけで、食べない場合と比較して、総死亡のリスクが13%(95%CI: 1.07から1.19)、心血管疾患による死亡のリスクが12%(95%CI: 1.02から1.23)、それぞれ有意に増加していました。

また、魚や貝のフライのみで見ても、週1回食べているだけで、食べない場合と比較して、総死亡のリスクが7%(95%CI: 1.03から1.12)、心血管疾患による死亡のリスクが13%(95%CI: 1.04から1.22)、それぞれ有意に増加していました。

癌による死亡に関しては、揚げ物トータルでも個別の揚げ物で見ても、有意な関連は認められませんでした。

習慣的に揚げ物を食べると、健康に悪影響を及ぼす可能性大

このように、閉経後の女性に限った検証として、揚げ物、特にフライドチキンや魚・貝のフライを食べる習慣は、生命予後に若干の悪影響を与える可能性があるようです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36