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2018.11.28

カフェインの摂取と慢性腎臓病の予後との関連について【KenCoM監修医・最新研究レビュー】

KenCoM監修医:石原藤樹先生

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病気や死亡のリスクを下げるといわれているコーヒー。その健康効果は持病のある方にとっても有効なのでしょうか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにKenCoM監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、KenCoM読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

本日ご紹介するのは、2018年のNephrol Dial Transplant誌に掲載された、カフェインの摂取が、慢性腎臓病の予後に与える影響についての論文です。(※1)

▼石原先生のブログはこちら

適度なコーヒー習慣には健康効果がある

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2012年のNew England…の疫学論文(※2、※3)以降、コーヒーを適度に飲むことに健康上のメリットがあり、各種の疾患や死亡リスクを減少させるという知見は、ほぼ確立されたという感があります。

コーヒーに含まれているカフェインは、短期的には血圧を上昇させますが、慢性の投与ではむしろ血圧を降下させ、他に含まれるクロロゲン酸などの生理活性物質には、抗酸化作用は抗炎症作用のあることが確認され、それが心血管疾患の予防に繋がると想定されています。

コーヒーは、慢性腎臓病の方にもいい影響を与えるか?

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慢性腎臓病は生命予後に大きな影響を与える内臓疾患で、その成因は高血圧や動脈硬化など、心血管疾患ともリンクする部分がありますが、心血管疾患の予防のための戦略が、必ずしも慢性腎臓病の予防には繋がらない、という複雑な側面もあります。

以前ご紹介した2018年の韓国の疫学データ(※4)では、それほど明瞭ではないものの、コーヒーを飲む人の方が慢性腎臓病になりにくい、という結果が報告されています。

ただ、実際に腎機能が低下している慢性腎臓病の患者さんでも、コーヒーがその予後に良い影響を与えるかどうかと、コーヒーの効果がその主な生理活性物質であるカフェインによるものか、もしくはそれ以外の成分によるものなのか、というような点については、まだデータは乏しいのが実際です。

慢性腎臓病患者のカフェイン摂取量と生命予後を検証

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そこで今回の研究では、アメリカの大規模疫学データを活用して、慢性腎臓病の患者さんの生命予後に与える、カフェインの摂取量の影響を検証しています。

対象となっているのは、推計の糸球体濾過量が15から60mL/min/1.73㎡の、軽度から中等症の慢性腎臓病で腎機能低下のある1283名で、食事調査からカフェインの摂取量を計算し、それを1日28.2mg未満と28.2から103.0mg、103.01から213.5mg、213.5mgより高用量の4群に分けて、中央値で60か月の観察期間における、患者さんの生命予後との関連を検証しています。

カフェインを適度に摂っている群の生命予後が改善

その結果、カフェインの摂取量が最も少ない群と比較して、2番目の群では総死亡のリスクが26%(95%CI: 0.60から0.91)、3番目の群では26%(95%CI: 0.62から0.89)、最も多い群では22%(95%CI: 0.62から0.98)、それぞれ有意に低下していました。
つまり、カフェインを摂っていた方が生命予後が改善した、という結果です。

ただ、カフェインの摂取量が多いほど、それだけ予後が良かった、という結果にはなっていないので、その評価はちょっと微妙です。

腎機能低下時でも、1日2杯程度のコーヒーならOK

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このように従来はあまり良くないとされていた、腎機能低下時におけるカフェインの摂取も、中等度の腎機能低下までのレベルで、コーヒー1日2杯程度の量であれば、むしろ予後改善に結び付く可能性がある、という今回の知見は、その有効性の評価は今後の課題としても、コーヒー好きにはまた1つ、嬉しい話題が増えた、とは言えそうです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36