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2018.11.03

ストレスと女性のからだ/ストレスは人生のスパイス【教えて、ドクター!】

ワコール ボディブック

----多い・少ないといったレベルに差はあるものの、年代・性別問わず、誰もが抱えているのがストレスです。「ストレス=心とからだに悪影響を及ぼすもの」として捉えられがちですが、実は適度にあるのが理想なのだとか。ストレスの正体、今どれくらいのストレスを抱えているのかを知る方法、そして心やからだにどんな影響を与えるのかを精神科専門医・産業医でもある夏目誠先生に伺いました。

ストレスとは日常生活の「変化」のこと

仕事でミスをした、上司とうまくコミュニケーションが取れない......など、すぐに思い当たるストレスがある人もない人も、まずは自分が今どれくらいのストレスを抱えているか、チェックしてみてください。

ライフイベント ストレスチェック

この1年間にあなたが体験した項目をチェックし、左の点数を合計してみてください。

□ 83:配偶者の死
□ 74:会社が倒産した
□73:親族の死があった
□ 72:離婚した
□ 67:夫婦が別居した
□ 64:会社を変えた
□ 62:自分の病気や怪我
□ 62:多忙による心身の過労
□ 61:300万円以上の借金
□ 61:仕事でミスがあった
□ 61:転職をした(職種が変わる)
□ 60:単身赴任をした
□ 60:左遷
□ 59:家族の健康や行動に大きな変化があった
□ 59:会社の立て直し
□ 59:友人の死があった
□ 59:会社が吸収合併される
□ 58:収入が減少した
□ 58:人事異動の対象になった
□ 55:労働条件の大きな変化があった
□ 54:配置転換された
□ 53:同僚との人間関係
□ 52:法律的トラブルが生じた
□ 51:300万円以下の借金をした
□ 51:上司とのトラブルがあった
□ 51:抜てきに伴う配置転換があった
□ 50:息子や娘が家を離れる
□ 50:結婚
□ 49:性的問題・障害があった
□ 48:夫婦げんかをした
□ 47:家族が増えた
□ 47:睡眠習慣の大きな変化があった
□47:同僚とのトラブルがあった
□ 47:引っ越しをした
□ 47:住宅ローンがある
□ 46:子どもが受験勉強中である
□ 44:妊娠をした・している
□ 44:顧客との人間関係
□ 44:仕事のペースが減少した
□ 44:定年退職をした
□ 43:部下とのトラブルがあった
□ 43:仕事に打ち込む
□ 42:住宅環境の大きな変化があった
□ 42:課員が減る
□ 42:社会活動の大きな変化があった
□ 42:職場のOA化が進んでいる
□ 41:家族メンバーの変化があった
□ 41:子どもが新しい学校へ変わる
□ 41:軽い法律違反をした
□ 40:同僚の昇進・昇格があった
□ 40:技術革新の進歩を感じる
□ 40:仕事のペース、活動が増加した
□ 40:自分の昇進・昇格があった
□ 40:妻(夫)が仕事を辞める
□ 38:職場関係者に仕事の予算がつかない
□ 38:自己の習慣が変化した
□ 38:個人的成功があった
□ 38:妻(夫)が仕事を始める
□ 37:食習慣の大きな変化があった
□ 37:レクリエーションが減少した
□ 35:職場関係者に仕事の予算がつく
□ 35:長期休暇をとった
□ 32:課員が増える
□ 28:レクリエーションが増加した
□ 25:収入の増加があった
合計点数:

このチェックリストは、アメリカの心理学者トーマス・ホルムス氏とリチャード・ラーエ氏が考案した「ライフイベント ストレスチェック」を私たちのグループが日本人向けにつくり直したものです。ストレスというと、思い出すだけで憂鬱になるイメージがあるため、"結婚"や"長期休暇"、"収入の増加"がチェック項目に入っていることに違和感を感じた人は多いのではないでしょうか。

私たちは、いいことも悪いことも、日常生活に「変化」があるとストレスとして受け止めます。"結婚"や"長期休暇"は「変化」ですから、ストレスの要因になりうるわけです。260点以上300点未満はストレスが多い要注意状態、300点以上は病気を引き起こす可能性のある高ストレス状態と診断していますが、我々の調査では4人にひとりは高ストレス状態にあるという結果が出ています。

では、点数が低ければ低いほどいいのかというと、そうとも言えません。カナダのモントリオール大学の科学者ハンス・セリエ氏は、「ストレスは人生のスパイスである」と唱えているのですが、定年直後の男性を例にあげると、わかりやすいと思います。することがなくなり、ひきこもりがちになるのは、仕事という"ストレス(刺激)"がなくなるからなんですね。働いているときは、多忙ゆえ気づかないものですが、多すぎても少なすぎても味が決まらない調味料同様、適度なストレス(刺激)はあったほうが集中力を高めることができたり、いい結果に繋がったりするのです。

SOSのサインに気づくことが何より大事

ストレスを感じると、ストレスを対処しなさいという指令が、脳の視床下部に伝えられ、副腎からコルチゾールアドレナリンノルアドレナリンといったストレスホルモンが分泌されます。このストレスホルモンが血液を通して臓器や自律神経にも伝えられ、血圧が上昇したり免疫力が低下したりするのですが、からだに不調が現れるときは複数のストレスが重なっているケースがほとんど。自律神経が乱れ、交感神経が優位になると、胃腸が弱い人は胃痛、血圧が高い人は血圧の上昇、アレルギー体質の人は花粉症やアトピー性皮膚炎の悪化など、からだの弱いところに出やすい。肌あれや生理不順といった症状も、ストレスが原因であることが多いですね。

複数のストレスを長期間抱え込むと、ストレスや過度な蓄積疲労がうつ病を発症させる可能性があることもわかってきています。女性は、急激な女性ホルモンの変化がある産後と更年期にうつになりやすいのですが、うつ病よりも多いのは対人障害です。男性が縦社会なのに対し、女性は横社会。親密度が高いぶん、一度人間関係がこじれると修復に時間がかかることは、みなさん経験済みではないでしょうか。

何をストレスと感じるかは人それぞれですが、メンタル不調の場合はコーヒー、アルコール、炭酸飲料、甘いものの摂取量が増えてきたり、朝起きられない、寝つきが悪い、イライラ怒りっぽくなってきたら要注意。ストレスが溜まっているサインですから、見逃さないようにしましょう。ストレスは誰にでもあるもの。生きている限り避けて通れないからこそ、どれくらいストレスを溜め込んでいるか、まずは知ることが大事なのです。

----人事異動や子どもの卒入園などライフイベントの多い春は、自分が思っている以上にストレスを抱えやすいのだとか。「人事異動に関しては、5月病ならぬ7月病に注意してください。4〜5月は新しい職場、仕事の流れに対応しようと頑張りますが、適応できないこともある。頑張り続けることに限界はありますから、3か月後の7月に心やからだの不調が出てくるのです」と夏目先生。次回は、ストレスを軽減する対処法をご紹介します。

夏目 誠

大阪樟蔭女子大学名誉教授。精神科専門医・産業医。日本産業ストレス学会 理事。現在、毎日放送、産経新聞社、デサントの産業医として診療も行っている。主な著書に『気づき力で変化をキャッチ』(中央労働災害防止協会)、『うつが消えるストレスコントロール術』(監修/宝島社)などがある。

取材・文/山崎潤子
イラスト/はまだなぎさ

※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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