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2018.08.30

あの虫に学ぶ?ビジネスで使える希少性の大切さ【本能の処世術#10】

KenCoM公式:心理学者・内藤誼人

昆虫や動物は人間と同じように、群れのなかでのコミュニケーションがうまいものほど、出世をしたり、得をしています。

彼らが本能的に行っているスキルは、ビジネスパーソンにもぜひ身につけていただきたい目からうろこのテクニックばかり!というわけで、生き物が大好きな心理学者の内藤誼人が、彼らの行動と学びたい処世術のポイントを心理学的観点で説いていきます。

ゴキブリから学ぶ!希少性が価値を生む

イラスト/今井ヨージ

イラスト/今井ヨージ

3億年以上も前の化石でも見つかるのに、現代でもほとんど姿が変わらず「生きた化石」と呼ばれる昆虫、ゴキブリ。

ロシアでは、ウソか本当かはわからないが、ゴキブリが大切にされているという話もあるんです(※1)。日本ではむしろ嫌がられる存在ですよね。個人的にはツヤツヤしてて、綺麗だなと思うんですけどね。

ロシアでゴキブリが大切にされているという話題が出るのは、希少だからなわけです。こういった価値感を「希少性の原理」と言います。

価値がある存在だと思われたいなら、希少な存在になればいいのです。

珍しいというだけで価値が出る

イタリアのトレント大学のルイージ・ミットンという方が実験をしたデータをご紹介します(※2)。

ある実験の被験者たちに参加の御礼でボールペンやお菓子(粗品)を準備しておきました。そして、その中のあるカテゴリーについては数を少なくしておき、好きなものを選んでくださいと被験者に選択をゆだねたところ、数が少ない商品を手に取る人が多かったという結果になったのだそうです。

そしてこれは商品の金額には関係がなく、ただ数が少ないというだけで、そちらに魅力を感じる人が多かったということです。

他の人がやっていないことをやれば価値が生まれる

以前、ブルーオーシャン戦略についても触れましたが、他の人がやっていないことができる人材になることで価値が生まれるというわけです。

アメリカ文学の研究者はたくさんいますが、アフガニスタンの文化研究者は少ないため、そちらに従事したほうが成功者になれる可能性は高い。

人気サービスの二番煎じではなく、うちにしかないサービス!を立ち上げることが成功への近道だと言えそうですよね。

参考文献

(※1)ゴードン,D.G.(松浦俊輔訳) 1999 『ゴキブリ大全』(青土社)

(※2)Mittone, L., & Savadori, L. 2009 The scarcity bias. Applied Psychology: An international review ,58, 453-468.

<監修者プロフィール>

■内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『ベンジャミン・フランクリンの心理法則』(ぱる出版)、『図解 身近にあふれる「心理学」が3時間でわかる本』(明日香出版社)など多数。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。大の昆虫好きで、休みの日には山に入って昆虫採集をするのが楽しみなのだとか。

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