メニュー

2018.10.01

生活習慣病を予防する『身体活動増進』のススメ

kencom編集部

記事画像

生活習慣病の予備軍になると医師から言われるのが「運動量を増やしてください」という言葉です。「運動」という漢字が入っているので、新たにスポーツでも始めなきゃいけないのかと構えてしまう人もいるでしょうが、実は違います。
この運動量とは、普段の身体活動を増やしましょうという意味なのです。ではどうやって増やしたらいいのでしょうか。
今回は九州大学・久山町研究チームで運動を指導されている本田貴紀先生と岸本裕歩先生に、厚生労働省が2013年にまとめた『アクティブガイド』を基にした運動量を増やすコツをお伺いしました。

日々の身体活動量を高めれば慢性疾患の予防に効果的!

現在、日本を含めた国際的なガイドラインでは、生活習慣病などの慢性疾患の予防には、活発な身体活動が効果的であると示されています。ここでいう身体活動とは、通勤・通学などの移動や仕事中の動作、掃除などの家事、趣味など、幅広い範囲のものが含まれた概念です。
つまり、これら日常生活における活動を通じて、自分の取り組みやすい形で活発な身体活動を日々維持していくことが、生活習慣病の予防には重要になります。

では、“活発な身体活動”を達成するためには、どのくらいの身体活動が必要なのでしょうか。それを知るためには、まず自分の身体活動状況を把握することが大切です。

自分の身体活動を把握しよう!

前述したアクティブガイドでは、一人ひとりの身体活動状況や、運動習慣に応じて、
① 気づく
② 始める
③ 達成する
④ つながる
という4つの段階を設け、いつもの身体活動に10分の活動量をプラスする、“身体活動の+10(プラス・テン)”を目指すことを推奨しています。

まず、下記のフローチャートで、自分自身がどの段階にいるかを確認してみましょう!

2013年策定/厚生労働省「アクティブガイド〜健康づくりのための身体活動指針〜」より「あなたは大丈夫?健康のための身体活動チェック」のフローチャートを改変

2013年策定/厚生労働省「アクティブガイド〜健康づくりのための身体活動指針〜」より「あなたは大丈夫?健康のための身体活動チェック」のフローチャートを改変

これらのどの段階に自分が当てはまるのかを評価することで、自分の身体活動や運動を増やす目標設定をしやすくなります。

“身体活動+10”を目指すために!

それでは、いつもの身体活動に10分の活動量をプラスするためには、どのようにすればいいのでしょうか?

下記には、それぞれ10分プラスするためのイメージを示しています。
これらを参考に、いつもより1日10分だけ多く動いてみましょう!

①気づく!の段階の方

①の段階の方は活動する機会を発見するところから始めてみましょう!
まずは、身の回りで動く機会や環境を探してみませんか。
例えば、今までエスカレーターで移動していた部分を階段に変えるだけでも運動量が増やせますよ。

②始める!の段階の方

②の段階の方はちょっと背伸びするところから始めてみては?
いつもの通勤の時、いつもよりやや大股で早歩きするだけでも身体活動はアップします。
少し余裕のある方は、オフィスでのながらストレッチや、一駅手前で降りてのウォーキングなど、+αに挑戦してみましょう。

③達成する!の段階の方

比較的活動量の多い③の方は、具体的な時間での目標を持ってみましょう。
と言っても、そんなに多くはありません。+10を積み重ねて、1日合計60分、元気に動き回りましょう。

これは細切れでも構いません。たとえば午前中は掃除で+10、昼食後はテレビを見ながら筋トレで+10、午後は子供の送り迎えで+10…と、+10をできた時間を振り返ってみましょう。じっとしている時間を減らしてもいいですし、新たなスポーツにチャレンジしてみても面白いかもしれません。

④つながる!の段階の方

すでに運動を活発にされている④の方は、このまま運動をつづけてください。その上で、家族や仲間を誘って、あなたが達成した+10を一緒に共有してみましょう。
自分だけでなく、他の人と一緒に動くことで新しい楽しみが発見できるかもしれません。
仲間が周りにいない方は、チームスポーツ系の社会人サークルなどを覗いてみるのもよいと思います。

ちょっとした工夫で予防効果を高めよう

活動量+10分の活動量増加は、普段運動していない人にとってもハードルが低く感じられるのではないでしょうか。
ムリせず少しずつ身体活動量を増やして、生活習慣病を予防しましょう!

参考文献

(監修/九州大学・久山町研究室 取材・文/kencom編集部)