2018.05.19
柔軟な心を鍛えるべし!初心者のマインドフルネス実践編
「身体」「呼吸」「心」に興味を持ってアプローチしていくマインドフルネス。具体的には、どんなことをするのでしょうか。
日常生活で取り入れやすいマインドフルネスの実践方法、心のピンチを軽くするための方法を学びましょう。
今回も、臨床心理士でありながら業平山南蔵院の副住職も務める日吉円順先生にお話を伺いました。
日吉円順(ひよし・えんじゅん)先生
川口市立医療センター緩和ケアチーム臨床心理士。上智大学大学院総合人間科学研究科所属。専門は終末期患者・がん患者の心のケア。業平山南蔵院副住職。2013年オックスフォード大学マインドフルネスセンター主催MBCTトレーニングリトリートにて研修参加。東京慈恵会医科大学附属病院をはじめ都内近郊の医療機関にて勤務後、マインドフルネス瞑想の実践、研究、講師等を行っている。2018年には高齢者のマインドフルネス認知療法(誠信書房刊)に寄稿も行なっている。
超初心者でもできる訓練を3つ紹介
例えば、こんな時……。
いつもご飯が美味しく感じられない、緊張すると動悸と汗が止まらない、失敗続きでくよくよと悩んでしまうことが多い。
この辛い状況を少しでも軽くできたら、今よりも日常生活が楽になると思いませんか。
そんな時に取り入れて欲しいのがこれから紹介する3つの訓練です。
練習法① レーズンエクササイズ
そこにあるものをありのままに受け入れ、感じることを練習する方法です。
なぜレーズン?と思うかもしれませんが、何で代用してもかまいません。大切なのは、興味を持って関わり、自分の五感を研ぎ澄ますことです。
■こんな人におすすめ!
仕事のことを考えながら昼食をかき込むこともしばしば。気づいたら食器は空で、あれ?今日は何を食べたんだっけ?
【練習法】
1)レーズンを用意する。これを未知のものとして認識しておく
2)指で挟んで硬さや弾力を確かめたり、角度を変えつつ観察してみる
3)手のひらに乗せて、転がしてみたりする
4)においをかぐ、音を聞いてみる
5)口に入れて舌触りを感じたり、味わってみる
6)飲み込んで、喉から胃へ移動する様子を感じる
これら2〜6以外にもたくさんの感覚を使うよう意識しましょう。未知のものと認識して始めることで、これは何だろうと考え、その過程で生まれる感覚に注意を向けます。
ご家族や友人とやってみると、色んな意見が出て面白いかもしれません。以前よりもご飯を美味しく感じられるようになると良いですね。
練習法② 3分間呼吸空間法
自分にとって嫌なものへ向けられていた注意を、呼吸に向けてみましょう。それによって嫌なものと自分の間に空間(距離)をつくるという方法です。
3分前後行うといいでしょう。
■こんな人におすすめ!
大切なプレゼンや面接前のドキドキ、汗ダラダラを止めたい。気になる人と話す時に、緊張で声が上ずっちゃうのが恥ずかしい。
【練習法】
1)心に注意を向ける
2) 呼吸に注意を向ける。もし注意がそれても、また呼吸に注意を戻す
3)安定した呼吸の注意を全身に広げていく
呼吸に注意を向ける時は、胸の膨らみ、鼻先に空気が抜ける感覚、喉の動き等どこに焦点を当てても良いです。気持ちが落ち着く感覚を体験できるかもしれません。
少し前に流行った五郎丸ポーズのように、いざという時のおまじないとして習得しておくと良いでしょう。
練習法③ 数息観(すそくかん)
この方法は坐禅の初学者が行うものでマインドフルネスの治療法とは少し違いますが、初心者が取り組みやすい方法なのでご紹介します。
考え方や効果は、3分間呼吸空間法と似ています。
■こんな人におすすめ!
この前の失敗に後悔してばかりで、他のことが手につかない。いつも腰痛に悩まされていて、痛みのことばかり考えちゃう。
【練習法】
1)(仏教では坐禅を組むが)どんな場所・ポーズでも可能
2)1〜10の数をゆっくり数えながら呼吸をする
3)10まで数えたらまた1から繰り返す
この単純な方法に集中することで、少なくとも数を数えている間は辛さから注意を逸れ、心の休息時間を得ることができるでしょう。
心を柔軟に!マインドフルネスの効果
自分の心や感覚に「気づく」ため、マインドフルネスを取り入れてみませんか。
泣いても笑ってもそれが素直な自分。どんなに危機的な状況でもその時の自分の考えを事実として受け入れ、心の柔軟性を強化しましょう。
■マインドフルネス基礎編はこちらから
著者プロフィール
■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリトを設立し代表社員に就任。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。