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2018.05.18

自分の心へピュアになれ!! 〜超初心者のマインドフルネス基礎編〜

KenCoM公式:ライター・緒方りえ

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最近よく耳にするようになったマインドフルネス。ですが、瞑想や能力アップなんて言葉が踊ってばかりで、全く理解できない!なんて方も多いのではないでしょうか。分かります、その気持ち!謎多きマインドフルネス。何だかちょっと近寄りがたいけど、何をするのか気になりますよね。

そんな皆さんの疑問をスッキリ解決すべく、今回インタビューに答えてくださったのは日吉円順(ひよし えんじゅん)先生です。
今までのイメージとは違ったマインドフルネスを発見できる、とても興味深いお話が聞けましたのでご紹介します。

日吉円順(ひよし・えんじゅん)先生

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川口市立医療センター緩和ケアチーム臨床心理士。上智大学大学院総合人間科学研究科所属。専門は終末期患者・がん患者の心のケア。業平山南蔵院副住職。2013年オックスフォード大学マインドフルネスセンター主催MBCTトレーニングリトリートにて研修参加。東京慈恵会医科大学附属病院をはじめ都内近郊の医療機関にて勤務後、マインドフルネス瞑想の実践、研究、講師等を行っている。2018年には高齢者のマインドフルネス認知療法(誠信書房刊)に寄稿も行なっている。

マインドフルネス、基本のき!

「マインドフルネスは仏教や東洋思想、瞑想を基に欧米で発展しました。しかし、宗教の信仰や修行とは違いますし、能力アップの手段やリラクゼーション法として行うものでもありません」、と日吉先生。

どうやら、私たちのイメージとはちょっと違うようです。では、ここからはQ&Aで詳しく説明していきましょう。

Q1

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マインドフルネスとは瞑想を活用して「意図的に価値判断を行わない状態」を身に着ける方法です。
意図的?価値判断?なんだかいきなり難しい言葉が出てきましたが、もう少し分かり安く説明すると「自分の心に起こっていることをそのまま受け入れ、価値をつけたり評価をすることなく、とらわれのない状態で過ごす」ということ。

つまり、心の整え方や持ち方を訓練する時間。今起こっていることを受け入れる力を養い、価値判断のプレッシャーから逃れる手助けをするということです。

Q2

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長い人生歴史の中で色々な環境で培われてきた「自分の考え方の癖」や「性格の特性」と向き合いつつ、時間をかけて「気づく」ことを目的としています。
ありのままの自分を受け止めることで、より活き活きとした生活を手に入れようとするものです。

Q3

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新しい心理カウンセリングの治療法として、日本へ逆輸入的に入ってきたマインドフルネス。
その第一人者であるアメリカMITの分子物理学者ジョン・カバット・ジン博士は、マインドフルネスの概念の基となる仏教(禅)や東洋思想にヨガ(瞑想)を取り入れ、キリスト教徒が多いアメリカでも馴染みやすい形で広めました。

色々な思想がミックスされているマインドフルネスは、どの宗教の人(もちろん宗教に関心が薄い人)にも敷居を下げていて、個々の人生観や哲学をベースにして行うものなのです。

Q4

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できた・できなかったとそこに立ち止まって考える、その拘りを捨ててみましょう。
鼻呼吸や口呼吸にこだわる必要は無いです。心此処にあらずで色んなことを考えてしまうことを「マインドワンダリング」と言いますが、瞑想中に思い浮かんだことやそれを考えてしまう自分に「気づく」ことが大切。逸れてしまった注意を、自分の呼吸感覚に戻すようにします。

また、能力アップの手段やリラクゼーション法として行おうとすることも、できた・できてないという価値判断につながってしまうので注意。
どんな体験であれ、その時の自分をあたたかく招き入れるようにしましょう。

Q5

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うつ病患者さんは、繰り返し悩んでしまう「反すう思考」が強い傾向にあります。ちゃんとやらないとダメという気持ちが強すぎて、ほんの少しの失敗で自分を攻め続けてしまう「抑うつのスパイラル」に陥ります。

マインドフルネスでは、この危機的な状況に陥りかけた時に「今の自分の心はヤバイ状況かも」と気づいて、悩みや苦しい気持ちに集中していた意識から距離を取り、歯止めをかけることができるように訓練します。(具体的な方法例は次回、実践編でご説明します)

Q6

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実は今の日本では、マインドフルネスを本当に必要としている人がそこにアクセスできないのが現状です。国内での事例の発表や論文もまだまだ少なく、本来の意味でのトレーナーがほとんど育っていません。そのため、現状では学術機関で学んでいる人を探すのが大切です。

「日本マインドフルネス学会」でも、今まさにエビデンスに基づいた正しい実践指導ができるトレーナーを育成している段階です。少し先になってしまいますが、あと1〜2年程でスキルのあるトレーナーが育つ予定です。徐々に訓練の場が増えることでしょう。

ありのままの自分に「気づく」ピュアな感覚

いかがでしたか?基礎編ではマインドフルネスそのものについてお話をしました。少しイメージが変わった方もいるかもしれません。
大切なのは自分の心に「気づく」こと。明日は晴れるかもしれないし、雨かもしれない。天気と一緒で、その時にその時なりの過ごし方をしてみましょう。

次回は、超初心者でもすぐに試せるマインドフルネス実践編です。

■マインドフルネス実践編はこちらから

著者プロフィール

■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリトを設立し代表社員に就任。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。