2018.02.18
心理学者もやっている「ネガティブ思考」を今すぐ止める方法
前回の記事では、心理学者の内藤誼人先生に「月曜日に会社(学校)に行きたくない」という「ブルーマンデー」を解消する方法を教えていただきました。
ただし、もっと根本からポジティブな思考になれるようにするためにどうしたらよいのでしょうか?今回は、「ネガティブ思考」を止める方法を教えていただきました。
どうしてもネガティブに考えてしまうのには理由があった
人間の思考には、ポジティブとネガティブの流れがあるのですが、それが一番はじめにどちらに流れるかはわかりません。
想像していただきたいのは、まっさらな砂山に一筋の水を垂らしてみるとどうなるか、です。最初にその水がどう流れるか予測はできませんが、一度水が流れると、次の水も同じ溝を通っていき、さらに水が流れるとどんどんその溝が深くなっていきます。
人間の思考も最初にネガティブに流れるとそちらばかりに流れてしまうんです。それはどんなきっかけでそうなってしまうかは人それぞれですが、これを「水路付け」といいます。
ただし、ネガティブに流れた水路をポジティブに変える思考訓練をすることができます。それが心理カウンセリングで行っていることです。
運動習慣のない人はネガティブになりやすい
実は、運動習慣のない人のほうが運動習慣のある人に比べて、心理的な気力や活力が乏しいというデータがあります。そして、運動をしていない人のほうが「自分なんて…」とネガティブで自虐的になりやすい。
その理由は簡単です。人間も動物で、動物は「動く生物」と書くように、身体を動かすことが本来あるべき姿なんです。
例えば、動物園にいる動物たちを思い出してみてください。動くべき生き物なのに動けないから、無気力に見えませんか?毛が抜けたり、皮膚病になってしまうということもよく聞く話です。
ちょっとした心掛けで、ポジティブ思考は作れる
たった10分の軽い運動が人をポジティブにする
人は、運動をすれば血流の流れがよくなり、体温があがるので身体が活性化していきます。ウォーキングなどの軽く息が上がる程度の運動を10分ほどしてみてください。たったこれだけですが、軽い運動で人はポジティブになれます。
実際に、運動習慣なしの女性たちに2週間のウォーキングをしてもらったところ、悲観主義から楽観主義になったという実験結果も発表されました。
それから、ポジティブになるための運動は、時間に効果が比例しませんので、10分で十分です。これはノース・アリゾナ大学のシェリル・ハンセンの論文で発表されたことなのですが、運動の時間を10分、20分、30分した人の活力の高まり(疲労、緊張、うつの減少など)を計測したところ、10分以降は変わらなかったのだそうです。
いつもとは“ちょっと”違うことをしてみよう
僕は自分がネガティブになりそうだなと気づいたときは、あえて自分の「身体」も「意識」も驚くようなことをするようにしています。
同じことを繰り返していると飽きてきて、脳も働きませんし、気力も気分も盛り上がらないんですよね。しかし、新しいことをすることで脳に刺激が加わり、活性化していきます。
あえていつも通らない横道に入ってみたりするだけで気分が驚くほどすっきりしますし、僕は左利きなので、あえて右手を使って文字を書いたりして自分なりに工夫しています。
出社する道をちょっと変えてみるとか、いつも暗い色のスーツを着ているならネクタイは明るくしてみるとか、ちょっとした心掛けだけで気持ちが前向きに変わってくるはずですよ!
ほんの少しの運動と小さな刺激で前向きに!
人は前向きになるとあらゆることがプラスに働きます。仕事や恋愛など悩みを抱えている人は、まず軽く運動をして、次にいつもとは違った何かをやってみるのはいかがでしょうか?それが意外な発見や出会いにつながるかもしれません。
ぜひお試しください!
(取材・文 KenCoM編集部)
内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『すごい!モテ方!』(廣済堂出版)『ビビらない技法 やさしいあなたが打たれ強くなる心理術』(大和書房)など多数。自分ではネガティブだと主張するが、その実は超がつくほどのポジティブシンキングの持ち主。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。
参考文献
Palmer, L. K. 1995 Effects of a walking program on a attributional style, depression, and self-esteem in women. Psychological Reports ,81, 891-898.
Hansen, C. J., Stevens, L. C., & Coast, J. R. 2001 Exercise duration and mood state: How much is enough to feel better? Health Psychology ,20, 267-275.