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2018.02.01

サイレントキラーは知らないうちにやってくる! 意外と知らない血圧の話〜②高血圧の基礎知識〜

kencom公式ライター:緒方りえ

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私たちの血管は加齢や生活習慣によって日々老化していくため、知らないうちに高血圧に陥っていることも少なくありません。
でも、高血圧になると何が問題なのでしょうか?
高血圧を放置するとどんなことが起こるのか、なぜ塩分を控えめにするべきなのかなど、みなさんの疑問にお答えします。

前回に引き続きお話をしてくださるのは、群馬県済生会前橋病院 循環器内科の土屋寛子先生です。

土屋寛子(つちやひろこ)先生

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群馬県済生会前橋病院 循環器内科

【プロフィール】
2002年富山医科薬科大学(現:富山大学) 薬学部を卒業。2002年群馬大学 医学部編入。2008年群馬大学 医学部第二内科入局し、循環器内科医師として3年間勤務。2011年から現在まで群馬県済生会前橋病院にて勤務中。内科認定医。日本心血管インターベンション治療学会認定医。

身近に潜む『高血圧』のリスク、教えます!

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高血圧を治療する最大の目標は、心臓血管病や脳卒中などの病気予防と再発の抑制です。
心臓血管病と聞くと突然苦しくなって倒れるイメージを持っていませんか。また、脳卒中と聞くと突然手足が動かなくなる怖い病気のイメージがある方も多いでしょう。

これらの病気は治療を行っても後遺症が残ってしまったり、命を落とす危険さえあります。この突然の事態にならないために、じわじわと進行していく高血圧を食い止める必要があります。
『高血圧治療ガイドライン2014』によると、高血圧と診断された人の、上の血圧が10下がり下の血圧が5下がると、心臓血管病のリスクが約20%、そして脳卒中のリスクが約40%下がると言われ、治療の目安とされています。

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実は、高血圧はこれといって特徴的な症状がなく、血圧を測らないと発見できない病気なんです。
ピンとくる症状が無いこともあり知らないうちに高血圧になっていることが多く、気づいた時には次の病気に進んでしまっていることも少なくありません。まさにサイレントキラーと言えます。そのため、健康診断や自宅での血圧測定がとても重要になってくるのです。

また、一概に高血圧の症状とは言えませんが、痛みや刺激によって交感神経が優位になると血圧が上昇することはあります。
例えば頭痛などの痛みで血圧が上昇したり、動悸を心配するストレスで血圧が上昇したりすることなどは起こりえます。

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高血圧の大部分は原因が明らかではない本態性高血圧です。
遺伝や体質、環境などが影響していると考えられ、様々な原因が複雑に関係しあっています。まずは生活習慣の改善が必要となります。

逆に、原因となる病気がはっきりしている高血圧を二次性高血圧といいます。腎臓の病気やホルモンの分泌異常などの病気が原因です。
二次性高血圧の場合は、これらを特定して病気自体を治療することで、高血圧が改善できます。

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若い頃から血圧が低めだったし健康診断で血圧を指摘されたことがないから大丈夫、高血圧とは無縁でしょと思っている女性のみなさん。今から更年期高血圧になる可能性もありますので、ぜひ血圧は気にかけていただきたいと思います。

更年期になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が低下します。ホルモンのバランスが乱れると、自律神経の働きに影響を与えます。
また、更年期特有の不安やストレスなど心理的な影響で血圧が変動しやすい場合もあります。一時的ではなく血圧がなかなか下がらない場合は、放置せずに治療をするようにしましょう。

一般的に、妊娠中に妊娠高血圧症候群( 高血圧、たんぱく尿、むくみ)と診断された経験のある女性や、家族に高血圧の方がいる場合は、更年期高血圧になりやすいと言われています。

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病院で白衣を見ると血圧が上がってしまうという話を耳にしたことがあるかもしれませんが、逆に、病院で測定すると正常値なのに自宅で測ると高い数値がでる方もいます。
これは仮面高血圧と言い、たとえ病院で正常値であっても高血圧と捉えて治療を開始するのが一般的です。
病院では通常、昼間の受診時間内での血圧しか測れません。そのため、早朝や夜間に血圧があがるパターンの高血圧を把握するためには、自宅で血圧を測定してデータを集めることが大切になってきます。

自宅で測った場合、高血圧の基準は上の血圧135以上、下の血圧85以上です。

仮面高血圧は、喫煙者、アルコール多飲者、ストレスが多い人、活動量が多い人、メタボの人などがなりやすいと言われています。

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高血圧に限らず、嗜好品や塩分は抑えた方が安全です。
特にタバコには注意しましょう。
ここでは、それぞれのリスクを紹介します。

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普段の生活でのケアと、早めの受診が大事

高血圧はサイレントキラーであり、気づかないうちに心臓血管病や脳卒中に近づいている可能性もあります。また、二次性高血圧の場合は元々の病気の治療が必要になってきます。高血圧かもしれないと気づいたら、病院を受診して検査を受けることが大切です。

それでは、もし高血圧と診断されたらどうしたらいいのでしょうか?
次回は診断された後のケースを中心にお伝えします。

→次回は高血圧の予防と対策の話です。

←前回は血圧の基礎知識の話です

著者プロフィール

■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリトを設立し代表社員に就任。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。

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