2016.08.05
香り成分にパワーの秘密!“内臓の冷え”にも効く4つの薬味
例年に比べ、猛暑が予想されている今年の夏は、暑さ対策が欠かせません。熱中症などで脱水症状になることを避けるために冷房を使ったり、暑い陽射しの中でお出かけすると冷たい飲み物が恋しくなってしまいます。
このような”暑さ対策”での意外な盲点は「内臓冷え」。身体が内側から冷えると疲れを増長させるだけでなく、血流が滞り、免疫力低下にもつながります。そんな季節の不調を予防するためにも、食卓に登場させたい食材は、今が旬の”薬味”たち。
そのパワーは「香り」に隠されていました。ここでは、夏の冷えからくる不調を防ぐのに役立てたい、夏の代表的な”4種の薬味”と香り成分についてご紹介していきます。
過度な暑さ対策から起こる”内臓冷え”
夏の”冷え”の中でも要注意の”内臓冷え”って?
夏にも注意をしなければいけない“冷え”。中でも、“内臓冷え”とはどのようなことをいうのでしょうか。
内臓冷えは、口から入った冷たい食べ物や飲み物が、身体を中から冷やし様々な悪影響をもたらす、というもの。例えば、下痢や便秘、さらに血行不良によって免疫力が低下する可能性もあります。
夏が旬の独特の香り豊かな薬味は、抗菌作用や体を温める特性があり、香りは食欲を高めますので、身体が内から冷えて疲れたときに適度に摂り入れたい食材です。
ここでは、しそ、ミョウガ、ねぎ、パクチーなど、夏香る4種類の薬味の効果をみていきます。
香りのパワー!血行を促し、免疫力を維持する「薬味」4種
しそ:身体を温め、免疫機能を調整してくれる
「しそ」は、アカジソ系とアオジソ系の2種に分類することができますが、ともに漢方では気を巡らせる効果があり、身体を温める効果がある食材とされています。
また、よく刺身の“ツマ”として使用されますが、それは「抗菌力」や「防腐効果」があるから。しその独特な香り成分のひとつが「ペリルアルデヒド」と呼ばれる成分。その「ペリルアルデヒド」にこそ強い抗菌、防腐作用が含まれています。
『もっとからだにおいしい野菜の便利帳(板木 利隆 監修)』によると、
「香り成分ぺリルアルデヒドには高い抗酸化作用と防腐効果があるので、さしみに添えることで食中毒の予防に。葉を細かく刻むことで、薬効がいっそう高まる」
また、しその香りの中の「ロズマリン酸」については、「ポリフェノールの1種でアレルギー症状を緩和する効果に期待がもたれています」と紹介されています。
香り成分は、葉の裏側の腺鱗(せんりん)という組織につまっているため、調理するときはなるべく葉の裏を触らないようにするといいそうです。カロテン、ビタミンB2、カルシウムも豊富なので、食欲の無い日こそ、しそで効率的に栄養をプラスしましょう。
ミョウガ:血の巡りを促し、夏の不調を整えてくれる食材
夏を感じさせてくれる「ミョウガ」の香りは、「αピネン」という精油成分によるもの。
この成分についても『もっとからだにおいしい野菜の便利帳(板木 利隆 監修)』では、
「さわやかな独特の香りはαピネンで、食欲を増し消化を助ける効果や、血行をよくして発汗をうながす作用、さらには眠気を覚ます効果もあります」と紹介されており、胃腸が弱る時期にはぴったりというわけです。
冷たいものの食べすぎで、夏なのに身体が冷えてしまって血行不良に陥ってしまったときに症状を緩和する食材として期待できますね。刻んだ「みょうが」と「しょうが」を合わせて食べると、体が温まり冷えに効果的です。
ねぎ:免疫力アップで夏バテ撃退!オールシーズンつかえる万能な食材
ねぎは通年使える食材で、主役としてはもちろん、脇役としてもひと際存在感のある食材です。冷凍保存もできることから、常備しておきたい野菜ナンバーワンですよね。
ねぎの香り成分「イオウ化合物」には、血行を良くする作用など毎日摂りたくなる効果がたくさん。
イオウ化合について、書籍『しっかり学べる栄養学(川端輝江)』によると、「イオウ化合物の特徴は強い刺激臭で、その臭いの成分が強力な抗酸化作用を発揮する。そのほか血栓を予防したり、血栓を溶かしたりする作用、血液循環の促進、血中コレステロール値の改善など、さまざまな効果がある」と紹介され、夏バテや血行不良にぴったりの食材だと言えます。
緑の部分には、カロテン、カルシウムが豊富。風邪にも良いといわれている「ねぎ」。青ねぎと白ねぎがありますが、冷奴やそうめんなどメニューに合わせてお好みのネギを選んでみましょう。
パクチー:腸の働きを活性化しデトックス効果も!
食材の持つ独特の香りから、好き嫌いがはっきりと分かれる食材「パクチー」。エスニック料理では「コリアンダー」と呼ばれ、インド料理のカレーに欠かせない食材。中国では「香菜(シャンツァイ)」と呼ばれ、炒め物などで活用されています。
パクチーについて『もっとからだにおいしい野菜の便利帳(板木 利隆 監修)』では、
「香り成分には、整腸、健胃、解毒作用があり、食欲不振、腹痛などに効くだけでなく、神経の緊張をほぐし、イライラや不眠の解消にも効果があります」と紹介されています。
あの独特の香りには、人を惹きつけるそれなりの実力があったようです。
そしてパクチーの葉には、豊富なβカロテンが含まれいて、強い抗酸化作用を持っているためアンチエイジングに効果が期待できます。
体内の温度調節に気遣って健やかな夏を過ごそう
独特な香りにそれぞれ虜になる方も多い4種の薬味の実力について、いかがでしたでしょうか。冷えは万病のもと、といわれていますが、猛暑でほてった身体を冷やしすぎてしまうことが、かえって不調になることも。身近な旬の薬味を食事に添えることで健やかな夏を過ごすことができそうです。
参考文献
<著者プロフィール>
■中野友希(なかの・ゆき):
大学卒業後、税理士事務所、社会福祉法人での経理・税務の業務の傍ら、労働環境改善やメンタルヘルスケアにも取り組む。出産後はウェブライターに転身し、三ツ星レストランや老舗料亭など飲食店への取材・ライティングを手がけた。現在は、”シンプルにわかりやすく伝える”ことをモットーに、ママ向けメディア、ヘルスケアメディア、ペット専門メディアなどでライターとして活動している。