メニュー

2017.09.22

【NHK 発達障害プロジェクト】学習障害の子が学校でピンチ! 発達障害児育児のヒントが詰まったドラマ

ウーマンエキサイト

© photophonie - stock.adobe.com

参照元:https://woman.excite.co.jp/article/child/rid_E1505839517228/

© photophonie - stock.adobe.com

昨今、メディアでも取り上げられることが増えてきた「発達障害」。身近に当事者がいない人でも、この言葉を耳にする機会は多くなってきているのではないでしょうか。

そんななか、NHKが「発達障害プロジェクト」と銘打ち、今年5月から1年を掛けて特集放送を行っています。このプロジェクトのなかのひとつに、イギリスのTVドラマ『ハンク―ちょっと特別なボクの日常―』があります。

このドラマは、ディスレクシア(読み書き障害)の少年ハンクを主人公にした学園ドラマ。もともと2016年にNHKで放映されていたものを、「発達障害プロジェクト」に合わせて選りすぐりの5本を再放映するというもの。

日本ではまだ発達障害を扱ったエンタメ作品の数は少ないですが、このイギリスのドラマでは「ディスレクシアとはどんなものか」を視覚的にわかりやすく表現しています。当事者たちが学校生活を送る上でどんな困難を抱えているか、さらにその困難さを主人公のポジティブな性格と大胆な発想で乗り越えていくさまをスパイスたっぷりに、コメディタッチで描かれています。

■ディスレクシア(読み書き障害)とは?

© Delphotostock - stock.adobe.com

参照元:https://woman.excite.co.jp/article/child/rid_E1505839517228/

© Delphotostock - stock.adobe.com

ディスレクシアとは、発達障害のひとつである「LD(学習障害)」の一種で、知的発達に遅れはないものの、脳の働きに特徴があり、文字や数字の読み書きなどに困難が生じることをいいます。有名人では、俳優のトム・クルーズやオーランド・ブルーム、映画監督のスティーブン・スピルバーグなどがディスレクシアであると告白していて、多くの人が障害について知るきっかけとなりました。

主人公ハンクは12歳の少年。彼の場合は文字を読もうとすると「字が躍っている」ように見え、書くこと、計算も苦手。「作文の宿題をやろうとしても、文字が躍ってなかなか書くことができない!」「ミュージカルの主役に抜擢(ばってき)されたのに台本が読めない!」など、たびたびピンチに陥ります。

どんなふうにこのピンチを切り抜けるのだろう? と思っていると、作文を書かされる回では、考えて考えて考え抜いた結果、「作文ではなくて、工作で伝えよう!」というとっぴな方法を思い付き、立派な作品を作り上げてしまいます。

そう、彼のすごいところは、どんなピンチに遭遇しても決してあきらめず、ユニークなアイデアで切り抜けること。じつはハンクは頭の回転がとても速く、行動力もあるのです。なんでも突っ走ってしまうので、先生には怒られてばかりだけど…。…

■ディスレクシアの子どもが学校生活を乗り越える処世術

ディスレクシアであることを悲観せず、親友や家族に助けられながら学校生活を送るハンクですが、ちょっとだけ愚痴が出ることも。

「成績はいつもビリだから、いじめられる。ディスレクシアだけど頑張ってるのに…。みんな結果しか見ないんだ」

発達障害の子どもは、ときにいじめられたり、不登校になったりするとよく耳にします。これを「二次障害」と呼ぶのですが、まさにハンクも同じ。でも、彼はへこたれません! “成績ビリ”という自分のイメージを変えるためには、「何か得意なことをみんなに見せればいいんだ!」と考えることのできる強さがあります。

ハンクの姿を見てハッとさせられるのは、そんな発想の転換。ディスレクシアの自分を受け入れ、ほかのことでカバーしたり名誉挽回を目指したり。とくに読み書きや計算についてはみんなと同じようにできないけれど、自分なりの方法でならゴールにたどり着くことができる。それがハンクの学校生活を乗り切る処世術であり、二次障害を深刻にしない助けになっているようです。

■発達障害児子育てのヒントがいっぱいあった!

筆者にも、発達障害の疑いのある息子3歳がいます(診断待ちの状態です)。まだ私自身も発達障害について初心者で、毎日迷いながら子育てをしています。

療育や幼稚園、児童館など、ほかのお子さんたちと活動をする場所に行くと、つい「みんなと同じように」やらせたいと思ってしまいます。でも息子には「できること」と「できないこと」があって、それが息子にとって大きな負担になってしまっていると感じることも多くあります。そして私は、あとから反省することばかり…。

また、同じような境遇のママたちと会話して思うのは、自分も含めみなさん真面目だということ。病院や療育の先生のアドバイスひとつ取っても、まっすぐ受け止めすぎてしまいます。子どものことを考えて、「少しでもできることを増やしたい」という必死な思いが、いつの間にか「アドバイスどおりにしなければならない」という強迫観念にも近いものに変わってしまい、そこから外れるものを許容できなくなってしまうのです。

どんなことをするにも、答えはひとつではないし、手段もひとつではありません。ハンクの行動は、それを証明しているように思えます。ママの考え方にしてもきっと同じではないでしょうか。みんなと同じようにできなくてもいい。いろんなやり方を試して、生きる力を身に着けることの方がきっと大事なはず。

ステレオタイプにとらわれず、柔軟な考え方・受け止め方ができれば、発達障害児の育児の窮屈さが少しでもやわらぐのではないでしょうか。そんな、ちょっとしたヒントを、ハンクから教えてもらった気がしました。

TVドラマ「ハンク―ちょっと特別なボクの日常―」
第4回は、NHKにて9月23日(土)23:25より、
第5回は、NHKにて9月30日(土)23:35より放映。
<NHK発達障害プロジェクト 今後の放送予定>
・2017年9月24日(日)午後11:00~11:50 NHK「深夜の保護者会」
「発達障害 子育ての悩みSP」・2017年9月26日(火)午後8:00~8:29 Eテレ「ハートネットTV」
「自閉症アバターの世界 ①」・2017年9月27日(水)午後8:00~8:29 Eテレ「ハートネットTV」
「自閉症アバターの世界 ②」・2017年9月27日(水)午前8:15~9:54 NHK「あさイチ」
「シリーズ発達障害 どう乗り越える? コミュニケーションの困りごと」※内容は変更になる場合があります

(古口春菜)

記事画像

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します