メニュー

2017.08.03

1日置きの食事制限にダイエット効果はある?【KenCoM監修医・最新研究レビュー】

KenCoM監修医:石原藤樹先生

記事画像

食事置き換え、ウェイトトレーニング、有酸素運動など、世の中にはさまざまなダイエット方法がありますよね。中でも食事を制限するダイエットは手軽なので、経験がある方も多いのではないでしょうか。では、どんな食事制限の仕方が有効なのでしょうか?

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにKenCoM監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「石原藤樹のブログ」より、KenCoM読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、今月のJAMA Internal Medicine誌にウェブ掲載された、1日おきに絶食に近い低カロリー食にするダイエットの効果を、通常のカロリー制限と、比較検証した論文です。

▼石原先生のブログはこちら

注目の"隔日超低カロリーダイエット"とは

継続のしやすさから海外で人気沸騰

ダイエットには、それこそ星の数ほどの方法がありますが、最近海外で注目されている方法の1つが、1日おきに絶食に近い低カロリーと、カロリー制限を緩めた食事を繰り返すという方法です。
これはならすと、通常の維持量より少し少ないカロリーになるのですが、1日おきにはそれより多い量を食べられるので、継続がしやすいという利点が指摘されています。

しかし、本当に他のダイエット法と比較して、この隔日超低カロリーダイエットが、肥満症の患者さんに対して行った場合に、有効で安全なものであるかについては、科学的な検証があまり行われていませんでした。

一般的な食事制限より痩せるのか?

通常の食事制限と1年を通して比較検証

そこで今回の研究では、アメリカの単独施設において、年齢が18から64歳で、体格の指標であるBMIが25.0から39.9という、過体重から肥満の人を対象として、くじ引きで3つの群に分けると、第1群は1日おきに超低カロリーと高カロリーを繰り返し、第2群は低カロリーを連日続け、第3群はカロリー制限をしないコントロールとして、1年間の経過観察を行っています。

二重標識水法という、放射能で標識した水を飲んでもらい、尿中の放射線を測定する方法で、個々人のエネルギー消費量を算出し、体重を維持するのに必要なカロリーを算定します。

それを元にして、隔日超低カロリー群では、維持カロリーの25%という超低カロリーと、125%というやや高カロリーの食事を繰り返します。

通常の低カロリー群では、維持カロリーの75%というカロリー制限が継続されます。
6か月そのダイエットを継続した上で、後半の6か月は体重の維持を目的として、食事処方が変更されるのです。

減量効果は今までの方法と変わらない

対象者はトータル100名で、30数名ずつの3群に振り分けられます。平均年齢は44歳で86%が女性です。

その結果、コントロールと比較すると、通常の低カロリー群と隔日超低カロリー群は、ほぼ同等の減量効果を示しました。
減量期間終了の6か月の時点で、コントロールと比較して、通常の低カロリー群は5.3%(95%CI;-7.6から-3.0)、隔日超低カロリー群は6.0%(95%CI;-8.5から-3.6)、の体重減少を示し、その後維持期間にはリバウンドが見られましたが、両群には差はありませんでした。

隔日超低カロリー群は挫折しやすい

ダイエット期間中のドロップアウト率は、コントロール群が26%、通常の低カロリー群が29%であったのに対して、隔日超低カロリー群は38%で最も高くなっていました。
これは絶食に近い低カロリーが、1日おきであっても継続は困難な場合が多かった、ということを示していると思います。
代謝マーカーや栄養状態などの数値においても、両群では差はありませんでした。

ダイエットは本人が続けやすい方法を選んで

このように、連日の軽度カロリー制限と、1日おきの超低カロリーダイエットは、いずれも同等の体重減少効果を示し、きちんと管理された状態においては、半年程度の継続で、大きな健康上の問題は生じないようです。

従って、どちらが特に優越ということはなく、継続しやすい方法を選んで実践することで当面は大きな問題はないようです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36