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2016.07.02

【津下先生のメタボの本質①高血圧】血圧160は2m以上の噴水のようなもの

津下一代

高血圧は身体によくないというけれど、ホントのところどうなの?どのぐらいならOK? そんな素朴な疑問にお答えします。
糖尿病・肥満を専門とし、厚生労働省における「標準的な健診・保健指導プログラム」や「運動指針」等の策定にも携わる、あいち健康の森健康科学総合センター・センター長 津下一代先生が、メタボに悩むあなたに知ってほしい基礎知識をわかりやすくご紹介する連載記事です。

高血圧ってどういうこと?

血圧が高いことは危険で、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病が起きやすくなる、ということは、よくご存じですね。この50年間の努力の結果、日本人の血圧はぐんぐん下がり、脳卒中を随分減らすことができました。

1965年の「国民栄養調査」によると、60歳代の平均の収縮期血圧は160くらい。当時は「血圧は『年齢+90』くらいが目安」なんて言われていました。一昨年には同年代平均が140を切り、20以上も下がったことになります。

冷蔵庫の普及で塩分摂取量が半減し、健診制度が定着して高血圧の早期発見、早期治療が普及したことも、血圧改善に貢献してきたといえます。その結果、働き盛りの脳卒中死亡率がぐんと低下、同じ年代で比較すると、現在は10分の1ぐらいになりました。

血圧は血液を押し流す力です。高すぎれば、血管や臓器に障害を起こします。ちなみに、血圧160は、高さ2メートル以上噴き上げる噴水の勢いです。

血管を長持ちさせるには、130未満で安定していることが望ましいでしょう。

最近、若い世代でメタボ型の高血圧が増えているのが気になります。塩分はもとより肥満の予防、野菜を増やす、運動習慣を持つなどして、生涯、良好な血圧を維持したいものです。(あいち健康の森健康科学総合センター長・津下一代)

<著者プロフィール>

■津下一代(つした・かずよ):
昭和58年名古屋大学医学部医学科卒業、国立名古屋病院内科(内分泌代謝科)、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務、12年あいち健康の森健康科学総合センター、23年より同センター長兼あいち介護予防支援センター長(現職)。医学博士、日本糖尿病学会専門医・糖尿病療養指導医、日本体育協会公認スポーツドクターなどの資格をもち、糖尿病、肥満、スポーツ医学の専門医として活躍。日本肥満学会理事、日本人間ドック学会理事、厚生労働省にて日本健康会議実行委員会委員をつとめ、「標準的な健診・保健指導プログラム」や「運動指針」等の策定に携わる。主な著書に「しなやか血管いきいき血液―健康寿命をのばすために知っておきたい65のはなし」「図解 相手の心に届く保健指導のコツ―行動変容につながる生活習慣改善支援10のポイント」など。その他、「NHKきょうの健康 コレステロール・中性脂肪対策のごちそう術」の監修も務める。

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