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2017.05.18

メタボが20年後の認知症リスクを上げる?!【KenCoM監修医・最新研究レビュー】

KenCoM監修医:石原藤樹先生

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メタボリックシンドロームは、肥満に加えて、高血糖・高血圧・脂質異常のいずれか2つ以上のリスクがある状態だと診断され、この場合、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすいと考えられています。が、実はそれだけではなく、現在のメタボが、10年20年先のアルツハイマー型認知症に関連している可能性があるのだとか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、ブログに執筆、さらにKenCoM監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「石原藤樹のブログ」より、KenCoM読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは今年2017年のJAMA誌に掲載された、中年期の糖尿病などの動脈硬化リスクが、その後のアルツハイマー型認知症の発症に結び付く、そのメカニズムを検証した論文になります。

▼石原先生のブログはこちら

そもそも認知症はなぜ発症する?

認知症は脳に異常タンパクが沈着する病気。動脈硬化と直接の関連はない

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アルツハイマー型認知症は加齢に伴い、脳にβアミロイドなどの異常タンパクが沈着する病気です。
そのため、直接的には心筋梗塞や脳卒中のような、動脈硬化によって起こる病気とは別物なのですが、その一方で動脈硬化を進めるような要因が、その後のアルツハイマー型認知症のリスクになることも、また確かなことだと考えられています。

中年期のメタボが認知症につながるのはなぜ?

発症の10年、20年前の状態が認知症に関連

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この場合、認知症になった時点での身体の状態ではなく、病気が発症する10年や20年前の状態の方が、より病気との関連が大きいと報告されています。これは考えてみれば当然のことですが、それを証明するには非常に時間の掛かる臨床研究が必要なので、最近まで分からなかったような事実も多いのです。

動脈硬化による脳の虚血性の変化(血流の不足)が、認知症につながる可能性も

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それでは、何故動脈硬化のリスクがあると、アルツハイマー型認知症が起こりやすいのでしょうか?

1つの可能性としては動脈硬化に伴う脳の虚血性の変化(※編集部注:虚血性の変化とは、脳の血管の血流が不足すること)が、認知症の発症に関係しているという推測が可能です。アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症というのは、基本的には別の病気ですが、実際には両者が合併しているケースも多いと、考えられているからです。

その一方で、何等かのメカニズムにより、動脈硬化のリスクがβアミロイドなどの異常タンパクの蓄積と、結び付いている、という可能性も否定は出来ません。

メタボ因子は本当に認知症に関連するか?アメリカでの研究は

平均年齢52歳の346人に対して、平均23.5年にわたって観察

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そこで今回の研究では、アメリカの3つの地域において、平均年齢52歳(45から64歳)の登録の時点で認知症のない346名を登録し、動脈硬化のリスク因子を調査した上で、平均年齢76歳(67から88歳)の時点でアミロイドPETという、非侵襲的に脳のβアミロイドタンパクの沈着を計測出来る検査を行って、アミロイドの沈着と動脈硬化のリスク因子との関連を検証しています。平均の観察期間は23.5年という、非常に手の掛かった臨床研究で、勿論これだけのために行われた研究ではなく、複数の目標が別個に設定されているものだと思います。

動脈硬化のリスクとして、BMI、喫煙、高血圧、糖尿病、総コレステロールを解析

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アミロイドPETは特殊な放射線を注射して、脳の画像を撮り、通常アミロイドの沈着は殆ど見られない小脳と比較して、大脳皮質を平均化した時のアミロイドの沈着が、1.2倍以上になる場合をこの試験では陽性と判断しています。動脈硬化のリスク因子としては、BMIが30以上の肥満、喫煙、高血圧、糖尿病、総コレステロール200mg/dL以上が解析項目となり、年齢、性別、人種、教育レベル、アルツハイマー型認知症の遺伝素因である、APOE遺伝子の変異の有無で、補正が行われています。

動脈硬化リスクが2つ以上あると、20年後に認知症が起こる可能性が3倍弱!

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その結果、登録時の動脈硬化の危険因子が全くない場合と比較して、リスク因子が1つあると、アミロイドの病的な沈着が20年後に生じるリスクは、1.88倍(95%CI;0.95から3.72)、2つ以上あると2.88倍(95%CI;1.46から5.69)と、2つ以上のリスクがあると有意に病的なアミロイドの沈着が認められる、というデータが得られました。これを高齢の時点でのリスクで解析しても、アミロイドの沈着との有意な相関は認められませんでした。

中年期に生活習慣を改善することが、20年後の認知症予防に

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つまり、それほど明解な結果とまでは言えませんが、中年期に動脈硬化のリスクが高いほど、その20年後にアルツハイマー型認知症になるリスクが高まり、それがβアミロイドの沈着自身と関連している可能性が高い、という結果です。

仮にこれが事実であるとすれば、中年以前の時期からそうした生活習慣を改善することにより、脳血管性認知症のみならず、アルツハイマー型認知症のリスクの予防にもなる、という可能性が高いということになり、今後そうした介入試験による検証が待たれるところだと思います。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36