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2017.05.10

介護が必要になったらどうしたらいい?必要なお金は?【いつかのための介護の心得①】

KenCoM公式ライター:守城美和

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高齢化が進む日本。家族に介護が必要な状態は、明日訪れるとも限らないのが現状です。KenCoMでは、いざというときに役立つ、介護の知識と情報を連載でお伝えしていきます。「自分にはまだ先のこと」と油断せず、ぜひチェックしてみてください。

介護が必要になるのはどんなとき?

病気や加齢に伴う身体の衰えが原因であることが多い

厚生労働省の2013年の調査では、介護が必要になった原因を次のように公表しています。

■介護が必要になった主な原因
1位:脳血管疾患(脳卒中)
2位:認知症
3位:高齢による衰弱

65歳前後になれば、いつ介護が始まってもおかしくない

上記の原因以外にも、関節痛で歩くのがつらくなったり、転倒・骨折して長期間の寝たきり生活から筋力が著しく低下したりといったことが原因で、これまでのような生活が送れなくなってしまうこともあります。

介護がはじまる原因は、人によってさまざまです。単独の症状では普通に生活できるものでも、いくつかの要因が重なることで介護が必要になってしまうケースも少なくありません。

そのため高齢者と呼ばれる“65歳“前後になれば、いつ介護がはじまってもおかしくないということはしっかりと自覚しておきたいですね。(ちなみに基本的に介護サービスが利用できるのも65歳からとなります)

▼参考サイト

介護が必要になったらどうすればいい?

介護認定を受ける必要がある

「介護が必要かもしれない」「介護サービスを利用したい」と感じたら、まずは自治体で介護認定を受ける必要があります。

【大まかな流れ】
自治体に介護認定の申請をする
(本人・家族以外にもケアマネージャーや施設職員が代行することも可能)
 ↓
認定調査員が居宅を訪問し、心身の状態や生活の様子を確認する
 ↓
合わせて自治体から主治医へ意見書の作成を依頼
 ↓
それらの情報を踏まえて審査をする
 ↓
自立・要支援(2段階)・要介護(5段階)のうち、どれか1つの介護認定を受ける

自立・要支援・要介護の認定は「手助けの必要度」で決まる

では、自立・要支援・要介護の違いは何なのでしょうか。

【自立】
年相応の老化や物忘れなどはあっても、特に生活には支障をきたしていない状態を指します。

【要支援】
生活に大きな支障はきたしていないものの、老化や物忘れ、関節痛などで、日々の生活の中で負担を感じる場面が増えてきた状態を指します。
要支援は2段階にわかれており、要支援1よりも2の方が支援の必要性が高い状態です。

【要介護】
日常生活において、誰かから何かしらの手を借りないと、安心・安全に生活できない状態を指します。
要介護は5段階にわかれており、要介護1<2<3<4<5と数字が大きくなるにつれ、より介護が必要な状態ということになります。

▼参考サイト

どんな介護サービスを受けることができる?

要支援以上の介護認定を受ければ、その介護度と本人・家族のニーズに合わせて介護支援専門員(ケアマネージャー)が立てたプランに沿って、介護サービスを利用することができます。それでは実際にどんなサービスが受けられるのかについて見ていきましょう。

排泄や入浴などの介助を受ける

腰痛や膝痛、脳梗塞の後遺症によるマヒなどによって、体が自由に動かせなくなると大変になってくるのが「排泄」「入浴」「着替え」などの身の回りのことです。こうした身の回りの介助のことを”身体介護”と言います。

身体介護は、介助を必要としている方が通う施設や、居宅(生活している場所)で受けることができます。朝から夕方まで介助や見守りが受けられる施設や宿泊できる施設、1日3回自宅に介護に来てもらって身の回りの世話を受けるサービスなどを利用することで、要介護5の利用者の在宅介護と仕事を両立されている方もたくさんいらっしゃいます。

家事を手伝ってもらう

「肩があがらなくて洗濯がつらい」「鍋を火にかけっぱなしにしたことがあったので料理をさせるのが怖い」こうした、家事に関する不安を抱えている場合には、家事に関する支援を受けることも可能です。掃除・洗濯・調理・買い物などの家事に関する支援のことを”生活援助”と言います。

生活援助は、居宅で受けることができます。家族と同居している場合や、家族の在宅中も支援を受けることはできますが「家族の分の食事も作る」「利用者本人が立ち入らない部屋の掃除」など、本人と関係のない家事はできないということは覚えておきましょう。

入所し生活全般の介護を受ける

「認知症で昼夜問わず徘徊がある」「持病があり数時間おきの処置が必要である」など、家族への負担が大きく在宅で生活することが難しくなってきた場合は、施設に入所して24時間体制で生活全般の介護を受けるという方法もあります。

ただしこうした施設への入所希望者は多く「入所介護の必要度合」「虐待や家族の健康状態の悪化などの緊急性」など、さまざまな要因を慎重に検討した上で入所者が決定されるため、実際に入所するまでに時間がかかってしまうことも少なくありません。その場合は、在宅で介護サービスを受けながら入所を待つことになります。

▼参考サイト

介護にはどれくらいのお金がかかるの?

介護度によって限度額が違うが、限度額までは自己負担は原則1割

まずは、介護度に応じた「区分支給限度基準額」について見ていきましょう。区分支給限度基準額とは、簡単に言うと「この金額までは原則として1割負担で介護サービスを利用できる」という基準のことです。(※編集部注:保険者本人の所得により2割負担となる場合もあります)

【区分支給限度基準額(月額)】
要支援1:50,030円
要支援2:104,730円
要介護1:166,920円
要介護2:196,160円
要介護3:269,310円
要介護4:308,060円
要介護5:360,650円

ただしこれはあくまで“限度額”であって、この範囲内なら、少なく使えばその分かかるお金も少なくなります。介護度5でも10万円分の介護サービスしか使わなければ、自己負担額は1万円で済むのです。もちろん限度額を超えて介護サービスを利用することも可能ですが、その場合は超えた分から10割の自己負担になります。

▼参考サイト

介護が必要になる機会はすぐに訪れるかも。最低限は理解しておこう

日本の高齢化のスピードは、世界中から見てもかなり早いと言われています。高齢化(65歳以上の人口の割合)の分類は国際連合によって3つに分類されており、日本では下記の年にそれぞれ高齢化が進んでいます。

1970年:高齢化社会(7%以上)
1995年:高齢社会(14%以上)
2007年:超高齢社会(21%以上)

2015年には26.7%に達し、既に4人に1人以上が高齢者という状態です。このまま進めば2035年には3人に1人が高齢者という状態に陥ると推測されています。

現状でも既に「施設に入所するためには数年待ちが当たり前」という地域も存在しますし、今後は病院や施設で最期を迎えるのではなく、自宅で最期を迎えようという動きも進んでいます。働いている人も介護に参加するのが当然の世の中になってくる可能性も十分に考えられますので、この機会にぜひ介護について考えてみてくださいね。

<著者プロフィール>

■守城 美和(かみしろ・みわ)
介護福祉士として、老人・障がい者(児)介護の仕事に携わってきたが、結婚・妊娠を機に離職。現在は「インターネットで検索しても答えがなかなか見つからない」という自身も体験してきたもどかしさを一人でも多くの人に解消してもらえるよう、子育てをしながらWebライターとして活動中。得意分野は”医療”と”福祉”

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