メニュー

2017.03.24

運動って必要?老後に後悔しない運動習慣とは?【医師・三輪真也先生インタビュー①】

KenCoM編集部

記事画像

運動はしないよりはした方がいい、そんな風に考えている人は多いと思います。しかし、実は今後の長寿社会を見据えた時、運動は「した方がいい」ものではなく、「必須のものである」と捉えるべきだと、予防医学の研究を続ける三輪先生は言います。
果たして本当に運動は必要なのでしょうか?また、その運動はどんなものならよいのでしょうか?世界の最先端の予防医療を研究しつつ、産業医として、また臨床医として現場でも活躍する三輪真也先生にお話を伺います。

<お話を伺った方>三輪真也先生

記事画像

■三輪真也(みわ・しんや)先生:
順天堂大学医学部卒業、医学博士。医療法人社団同友会産業保健本部本部長。糖尿病・脂質異常症・予防医学を専門分野とする。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本医師会認定産業医。大手企業の産業医、健保の顧問医を担当する傍ら、毎週月・火・水は同友会春日クリニックでの糖尿病・内分泌代謝外来も担当する。

運動は本当に必要?運動しないとどうなる?

運動は、豊かな人生のための“必須”事項

――三輪先生、まず最初に、ずばり運動ってそんなに必要なものなのでしょうか?

記事画像

これは既に多くの研究で証明されているので、あまり議論の余地もないとは思いますが、運動すなわち日常生活での身体活動も含めた運動は、豊かな人生のために「必須のものである」と私は考えています。身体活動の有無・量と、寿命・健康寿命(※要介護状態でない健康な状態でいられる寿命のこと)の間に明確な相関関係があることが様々な研究からわかっています。

運動だけではなく、食事、生活リズム、運動の3つは全て、健康のために必須の原則だと考えています。当たり前ですが、人間は動いていないと衰えるんです。若々しくいるためには体力を維持する必要があるんです。

――ただ、実際は運動しなくてもいい、と思っている人も多いですよね?

そうなんです。運動の優先順位は多くの人にとって、とても低いですよね。でも、それによっていかに不利益を被るのかをよく理解していただきたいんです。

定年75歳時代に、後悔しませんか?

――運動をしないことで被る不利益というのは具体的にどのようなものでしょうか?

今後定年退職の年齢は75歳ぐらいまで延びる可能性が高いと思います。高齢者の基準を、65歳から75歳に引き上げるという話が既に日本老年学会でも取り上げられています。
正直医療制度はもうパンク寸前なので、60歳、65歳で引退というのは現実的にもう無理、だから75歳まで働いてくださいね、となる未来は目に見えているのです。
ヨーロッパでは既に年金の給付は67、8歳の国が多いですから、日本の65歳もおそらく75歳まで引き上げられると思いますね。

――なるほど、75歳ですか!

不節制を続けていて、75歳まで働けますか?
男性の平均健康寿命は71.2歳です。既に足りてないんですよ!要介護状態になって働けますか?働けないですよね。
だったら「運動なんて」と言っている場合じゃないんですよ。寂しい老後を送らないためにも、何歳まで働くのか、それまで元気でいられるのかを理解した上で、自分の体と健康とに向き合う必要があると思います。

どんな運動をすればよい?3つのコツ

――では具体的にどんな運動をすればよいでしょうか?コツを教えてください。

1、ともかく楽しく続けられることを

記事画像

まず、運動は楽しければ何でもいいんですよ。何をやるか?よりも、そもそもやるのか?そして、続けられるのか?が1番大切です。筋トレが好きな人は筋トレをやればいいし、有酸素運動が好きな人は有酸素運動をやればいいです。欲を言えば、筋トレと有酸素運動を組み合わせた方がいいですが、それでも何もやらないよりはどちらでもいいからやった方が絶対いい。
ただ、筋肉に電流を流して燃焼させる器具のような、楽をして運動しようというのは、ちょっと効果を感じにくいと思いますね。
ともかく自分にとって楽しいものを、ストレス発散も兼ねて楽しんで続けることです。

2、急激にやらない

記事画像

それから、急に走ったりすると、脳卒中や心筋梗塞のリスク、また膝や腰を怪我するリスクもあるので、運動の強度は、無理をせずに徐々に上げていくことをお勧めします。もちろん研究では、座りっぱなしよりは立ち上がった方がいい、止まっているよりは歩いたほうがいい、スピードも少し息が上がるような歩き方をした方がよりよいことがそれぞれ証明されています。もちろんそれはそうなんですが、まずはその人に合った強度で、無理をせず続けることが第一ですね。
ちなみにある有名なジムで急激に痩せて外来にやってくる患者さんが数名いらっしゃったのですが、数ヵ月もするとものすごくリバウンドしてしまうんです。無理して短い期間にダイエットして、リバウンドしたら元も子もないですよ!続けられないと意味がないと肝に銘じていただきたいです。

3、運動の時間をスケジューリングする

記事画像

もう1つ大切なことは、運動の時間を先に確保してしまうことです。スケジュールに入れて、運動をする時間を仕組みにしていまいましょう。私の場合、土曜日の夕方はジムに行くことに決めています。そうやってマイルールを決めて、無理せず、努力せず、仕組みとして続けられるようにすることですね。

――やはり、時間が空いたらやろう…では、なかなか続けられないですもんね。

年代別の運動のすすめ

40~50代ビジネスパーソンは+30分歩いてみよう

――では、KenCoMには様々な年齢層の方がいらっしゃいますので、年齢別のアドバイスをいただけますか?まず、40~50代のビジネスマンはどうでしょうか?

記事画像

先ほどお伝えした安全性の面からも、まずは歩くことがおすすめです。今よりも1日30分もしくは3000歩、多く歩いてみるのはいかがでしょうか。無理なら20分・2000歩でも結構です。いつもの生活の延長で、1駅多く歩くとか、遠回りするとかで歩いてみると意外とできるものです。
プールで泳いだり歩いたりというのもよいですが、無理はせずゆったりと体を動かすことをおすすめします。

30~40代子育て女性は生活の中で体を動かす

――仕事に家事、育児と忙しい主婦の女性はいかがでしょうか?

記事画像

家事の中で動いている場合もありますが、自分のために時間を割きにくい世代ですので、やはりこの世代にも歩きましょうとアドバイスすることが多いです。無理をせず、体調の波に合わせて動く量を増やすことですね。

20代若者は体力アップを目指せる年齢

――まだまだ体力あります、健康なんて意識してませんというような20代は?

20代は、体力を上げることができる年齢なんです。中年以降にもなると体力は落ちる一方のため、運動をして「体力を落とさないように維持する」ことが目的になりますが、20代だとまだ体力を向上させることができます。また、心筋梗塞や脳卒中のリスクもあまり考えなくてもよい世代ですので、少々強度の高い運動でも大丈夫です。体力というのはより若い時につけてレベルを上げておくことが大切なんですね。20代であれば、そのチャンスを逃さずぜひ運動をしましょう。私自身は20代はあまり運動しなかったので後悔してますよ。戻れるものなら、運動したいです!

――そうなんですね!それを聞くと今からやらなきゃと思えますね。

50~60代はロコモ防止を意識して

――最後に老年期が見えてきた50代後半~60代はいかがでしょうか?

記事画像

この世代になるとやはりロコモ防止は意識したいところですね。怪我をしないために、バランス感覚を維持する体操などがおすすめです。強度の高い筋トレなどはNGで、できれば易しい体操から始めましょう。

それと、意外とこの世代はメンタルに問題を抱える場合もあるので、運動でリフレッシュ・ストレス解消をしてほしいです。ですので逆に運動そのものがストレスになるような、苦痛になるようなものはもちろんダメですよ。
辛いこと、大変なこと、無理なことはダメで、気持ちがいいこと、続けられること、楽しいことをやりましょう。またそれは人それぞれ違うものなので、自分に合った運動を探してくださいね。

モバイルツールの活用は?

歩数を人と競う合うのは効果的

――ポケモンGOやモバイルツールの活用についてはどうお考えですか?

記事画像

2016年にBMJで発表された研究で、ポケモンGOを利用した人の運動習慣(歩数)がどうなったかというのを調べたものがあるのですが、それによると、開始当時に平均で955歩上がったものの、6週間後には元に戻ってしまった、という結果でした。
また、別の研究では、歩いた歩数を①個人戦で競う ②チーム戦で競う ③チームで励まし合う の3パターンで比較したものがあったのですが、①個人競争 ②チーム間競争はいずれも歩数が伸び、その効果によって体重も減った一方で、励まし合うのは逆効果、という結果が出ていました。
ですので、歩数を記録して、誰かもしくはチームで競い合うような取り組みは効果的ではないかと思いますね。

――KenCoMの歩活イベントは、ぜひ参加いただきたいですね!

以上、将来を健康に楽しく生きるために必須の運動習慣について、三輪真也先生に伺いました。ともかく楽しく続けることが重要、と強調されていましたね。ぜひ読者の皆さんにも、毎日続けられる楽しい運動習慣を取り入れていただきたいと思います。
次回第2回では、三輪先生ご自身の運動と食事の健康習慣で、劇的に体調が変わったお話を伺います。

(取材・文・撮影)KenCoM編集部

記事画像

▼第2回の記事はこちら!

この記事に関連するキーワード