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2017.03.01

冷えなどの不調を和らげる、泉質別の効能&温泉7選

KenCoM公式ライター:藤澤未央

季節を問わず、冷えに悩む方が増えているそうです。血行不良などによる慢性的な冷えを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

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そこで、体を芯から温める温泉はいかがでしょう。温泉の効能には、今ある症状の軽減や健康の回復など、身体を全体的に改善する効果があるんですよ。

まもなく、仕事や学校などの環境の変化が大きい春がやってきます。この時期に気を抜くと、花粉症に悩まされたり、バテてしまうかもしれません。温泉でしっかり体調を整え、春に向けて英気を養いましょう!

※環境省発行の小冊子『あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは』を参考に、泉質別の効能とおすすめの温泉や禁忌をご紹介しています。

効果で泉質を選ぼう!国内の温泉7選

温泉と一言で言っても、実はその泉質は千差万別。温泉の効能まで見比べて温泉選びをすると、自分の体調に合わせて効率よく不調を整えられそうですね。ここでは国内の温泉を泉質別にご紹介します。

塩化物泉:塩分の力による保温効果

塩化物泉は塩分を含む無色透明の温泉です。その温泉によって濃度は異なりますが、飲用の温泉を口に含んでみると、まるで海水のように塩辛くて苦みを感じるのが特徴です。

この塩辛さと苦みの正体である「塩化物」は高い保温効果を持ちます。その保温効果のおかげで、塩化物泉はとても体が温まり、湯冷めしにくいのが特長です。生理痛や便秘など体の冷えからくる不調に悩まされている方にはぴったりですね。また塩分の殺菌効果のおかげで傷にも効果があるとされています。

①河口湖温泉(山梨)

都心から日帰りでも行ける、おすすめの塩化物泉のひとつに河口湖温泉があります。
河口湖温泉は雄大な富士山を眺めながら入れる温泉が多いので、日本一の霊峰からたくさんのいい気をもらえて身も心もリフレッシュできますよ。周辺にはレジャー施設や自然散策など様々な観光ポイントがあるので、お好みに合わせて組み合わせるのも楽しそうです。

②和倉温泉(石川)

海の中から源泉が発見されたという日本でも珍しい「海の温泉」で、塩分が強く源泉の温度が高いのが特徴です。湯量も豊富なので、新鮮なお湯がたっぷり楽しめるのも嬉しいですね。
能登は海の幸にも山の幸にも恵まれた、美味しいものの宝庫。グルメなあなたの味覚もしっかり満足させてくれると思いますよ。

二酸化炭素泉:炭酸ガスの保温効果や、循環効果

二酸化炭素泉は、その名の通り二酸化炭素を含む温泉です。「二酸化炭素の温泉?」と疑問に感じる方は、「炭酸ガス」と言い換えると聞き覚えがあるのではないでしょうか。
炭酸ガスがお湯の中にたくさん含まれている二酸化炭素泉は、入ると肌の表面に小さな気泡がたくさん付着します。この炭酸ガスは血流を改善して、抹消循環障害、冷え性、自律神経不安定症などに効果があります。

③長湯温泉(大分)

大分の温泉というと、湯布院や別府など有名温泉地が頭に浮かぶかもしれませんが、実はそれ以外にも名湯はたくさんあるんです。
長湯温泉は大分県の内陸部である竹田市というところにあります。大分空港やJRの駅からも遠く少し不便な場所なのですが、炭酸ガスの濃度・温度・湧出量、どれも文句なしの優れた泉質が魅力。自然が残された日本の原風景に癒されて、リピート客の多い温泉としても有名です。

単純温泉:刺激が少なく家族で元気になれる泉質

単純温泉は日本で一番多い種類の温泉です。「塩化物泉」や「二酸化炭素泉」などは、有効成分の量が規定量を超えて名乗ることができる泉質名なのですが、どの成分も含有量が基準を越えなかった場合「単純温泉」と名乗ることになります。つまり、どの成分も薄く刺激が少ないため、子どもや高齢者など敏感な人でも入りやすい、体に優しい温泉とも言えます。

④鬼怒川温泉(栃木)

有名な観光地日光に近い鬼怒川温泉は、大型温泉旅館も立ち並ぶ温泉街として有名です。美しい渓谷の上に温泉地があるので、お湯に浸かりながら絶景を眺めるなんてことができるのも鬼怒川ならでは。都心からは片道二時間、電車一本で行けるアクセスの良さなので、思い立ったらすぐに出かけられる近場の温泉です。

⑤伊豆下田温泉(静岡)

伊豆下田温泉は、静岡県下田市に4つある温泉の総称です。こちらも鬼怒川温泉同様に、都心から電車一本、3時間弱で着くアクセスの良さが魅力です。海を見下ろすロケーションにある温泉が多いので、海を眺めて心癒される時が過ごせるかもしれませんね。
砂浜を散歩したり、採れたての海の幸に舌鼓を打ったりと、都会の喧騒を忘れて海の恵みをたっぷり享受できるのが嬉しいですね。

炭酸水素塩泉:冷え性はもちろん肌をなめらかにする

炭酸水素塩泉は、「重曹泉」と「重炭酸土類泉」の総称です。
重曹泉はいわゆる“美肌の湯”と言われるもので、皮膚の角質を柔らかくしてくれる効果があります。お湯から上がると、肌がスベスベになっているのがわかると思いますよ。ただお風呂上りは肌が乾燥しやすいので、保湿を忘れず行ってくださいね。

そのほか、きりきず、抹消循環障害、冷え性への効果もあり。適量の飲用は、糖尿病や痛風にも効果があるといわれています。

⑥乳頭温泉(秋田)

秋田県にある田沢湖から約20km、ブナ林に囲まれた秘湯の温泉郷が乳頭温泉です。7つの温泉宿からなる乳頭温泉郷は、それぞれに特色があるので巡回バスに乗って湯めぐりをする方も多いんだとか。どこも森の中にあって古き良き湯治場の雰囲気を残しているので、俗世間から離れてのんびりと静養したい方におすすめです。ただし、最近の秘湯ブームで予約が取りにくくなっているので、余裕をもって計画してくださいね。

⑦濁河温泉(岐阜)

濁河温泉は、御岳山の中腹にある標高1800mのところにある日本屈指の高原温泉。雪深い地域でもありますから、秘湯感漂う知る人ぞ知る温泉郷です。

褐色に濁ったお湯は典型的な重炭酸土類泉で、神経痛や筋肉痛などの痛みに効果があると言われています。ただし、冬場は雪深く、スタッドレスタイヤやチェーンがないと車で向かうことは困難ですので要注意。運転に不安な方は、最寄りのJR高山駅より送迎サービスをしている宿もありますので、確認してみてください。

ちょっと待って。温泉の禁忌を知ろう

体の不調を整えてくれる効果のある温泉ですが、いつでも入っていいわけではありません。具合が悪い時の温泉は、逆効果になる場合もあるのです。まずは、温泉の禁忌症をきちんと知り、体調が悪い時は無理に入らないことも心に留めておいてくださいね。

禁忌症のある方は、基本的にどんな泉質の温泉も不可

・熱があるなど、病気の活動期のとき

体力が消耗しているときに温泉に入ると、体に大きな負担をかける危険があります。

・活動性の結核、進行した悪性腫瘍など身体の衰弱が著しい場合

体が衰弱しているときに温泉に入ると、脱水や血栓症を起こしかねません。

・重い心臓、肺の病気、腎臓の病気のある方

心臓、肺、腎臓に疾患のある方は、水圧による負担が大きすぎる場合があります。

・消化管出血、あるいは目に見える出血があるとき

出血している時に温泉に入ってしまうと、血行が良くなり止血できない危険があります。
必ず止血が確認できるまでは、温泉に入るのを避けてください。

・その他

自分の体調と相談しながら、温泉に入る入らないは決めるようにしてください。

泉質による禁忌(酸性泉、硫黄泉)

・皮膚や粘膜の敏感な人

酸性泉や硫黄泉は刺激の強い成分を含むため、皮膚や粘膜が弱いと温泉の成分の刺激で皮膚炎を起こしたり、症状が悪化する場合があります。泉質を確認の上、利用するようにしてください。

・ご高齢で皮膚乾燥症の方

皮膚乾燥症の高齢者も、温泉の成分の刺激で症状が悪化してしまうことがあります。

※禁忌症の方でも、専門的な知識を持つ医師の指示があれば、治療として温泉に入ることが可能です。上記症状に該当する方は、まずかかりつけ医師に相談するようにしてください。

むやみに温泉水を飲まないように

温泉のお湯を飲む「飲泉」は、温泉の効能を直接体内に取り込むことで、高い健康効果が期待できます。温泉医がいるヨーロッパではポピュラーですね。

ただ、高血圧の方には塩化物泉が不可というように、体質や既往症によって飲める温泉が限られてくるので注意が必要です。また、飲泉は消毒していない湧水を飲むことになるため、衛生面にも気を配らなくてはいけません。
もし飲泉をしたい場合は、きちんと都道府県より「飲用可」と許可をもらっている温泉のみにとどめておき、なおかつ自分の体調と相談しながら行うようにしてくださいね。
※温泉の飲用は、1日あたりおおよそ500mlまでとなっています。

入浴前に知っておいて!温泉で注意したいこと

温かい温泉に入るという行為は、意外と体力を消耗します。
もしもという事がないように、高齢者や子どもは一人で入浴しないほうがいいでしょう。
また、お酒を飲んでいる時はもちろん、食前食後や、疲労困憊している時も入浴を避けてくださいね。入浴はたっぷり汗をかきますから、入浴前後の水分補給も忘れずに。

自分にぴったりの温泉を見つけてリフレッシュ

自分に合った泉質や効能の温泉を選べば、温泉で気持ちよくリラックスできるだけではなく、効率的に体の不調を整えることも可能です。寒さからくる疲れが出やすい時期ですから、自分にぴったりの温泉でじっくり体を温めて、身も心もリフレッシュしたいものですね。さあ今度の週末にでも、ふらりと温泉の旅に出かけてみるのはいかがでしょうか。

参考文献

<著者プロフィール>

■藤澤未央(ふじさわ・みお):
IT関連での勤務後、出産を機に退職。現在は子育ての傍らフリーライターとして活動中。主に、人間関係のコミュニケーション術や子育てノウハウ系の記事を得意とする。大切にしていることは「誰にでもわかりやすく、人の心に寄り添うライティング」。

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