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2015.04.08

【KenCoM 監修医コラム】あってほしくない。家族が脳梗塞で倒れたときにまずとるべき行動とは?

KenCoM監修医 石原藤樹

写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。

写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。

こんにちは。
KenCoMの監修医をしている石原です。今回はこんなご相談を受けました。

『祖父が何度か脳梗塞を起こしていて、本当に命に関わるしいつも気が気でなりません。
症状が出たとき、家族がとるべき行動はなにが正しいのでしょうか?(32歳・男性・会社員)』

医師ですら気が気ではありませんからご家族はなおさらでしょう。
緊急時の対処方法についてご説明します。

すぐに救急車。意識がなく体の麻痺があれば、麻痺した側を上にして寝かせて待機。

万が一、周りにいる人に脳梗塞のような症状がでたらすぐに救急車を呼んでください。
救急車を待つ間は、意識があれば動かさずに楽な姿勢でその場に寝かし、意識がなく麻痺があれば、麻痺した側が上になるよう体を横向きにして寝かして様子をみてください。

そもそも脳梗塞ってなに?

脳梗塞は「脳塞栓」と「脳血栓」の2つに分かれます。

■脳塞栓
心臓などに出来た血の塊が、脳に飛んで血管が詰まることで起こります。

■脳血栓
脳の血管が詰まる病気で、動脈硬化によって狭くなった血管が詰まることで起こります。

脳卒中というのは、脳梗塞と脳の出血を一緒にした言葉です。

どういう人が発症しやすい?

■脳塞栓
主に心房細動という不整脈が原因で起こるため、心房細動と言われた方は脳塞栓を予防するための治療をする必要があります。時々ドキドキして胸が苦しくなるような症状のある人は、不整脈の発作でないかどうかをお医者さんに相談することが必要です。

■脳血栓
動脈硬化が進行して起こるので、糖尿病や高血圧が長く続いている方が発症しやすいです。

どんな症状?前兆は?

■脳塞栓
急に意識がなくなったり手足が動かなくなったりというような、脳卒中という言葉で皆さんがイメージされる通りの症状が急に起こります。

■脳血栓
動脈硬化によって血管が狭くなって起こるのでしばしば前兆があります。
体がふらつくようなめまいがしたり、一時的に言葉が出なくなったり、手の力が急に抜けてそれからまた元に戻ったりというような症状です。こうした症状が何度か出たり治ったりしてから、体の半分が動かなくなるような大きな症状に進んでしまうことがあります。

どちらの脳梗塞も過労やストレス・体の水分が少なくなる脱水などがきっかけになります。
家族に前兆と思われる症状が出たら、良くなっても病院の脳神経外科か脳神経内科を受診してください。

治療はできる!一刻も早く救急車を!

急に手足が動かなくなったり、言葉が出なくなったり、意識がなくなったりしたらすぐに救急車を呼んでください。一旦出た症状がすぐに良くなっても救急車を呼ぶのが正解です。症状が出てから数時間以内だと、血の塊を溶かすような薬で症状を元に戻すことが出来るかも知れません。
意識があれば動かさずに楽な姿勢でその場に寝かし、意識がなく麻痺があれば、麻痺した側が上になるよう体を横向きにして寝かして様子をみてください。横にするのは、嘔吐した場合に窒息に至らないようにするためです。

脳梗塞は命に関わる病気です。前兆があればすぐに対処し、病気は必ず治療しましょう。

筆者紹介
石原藤樹
1963年生まれ 医学博士 東京都の六号通り診療所所長 専門は糖尿病・内分泌・循環器
週1回、近所の公園までジョギングし筋トレをするのが習慣。学生時代は演劇部だったことから、今も休日は演劇鑑賞を楽しんでいる。
著書の『健康で100歳を迎えるには医療常識を信じるな!ここ10年で変わった長生きの秘訣』(KADOKAWA書店)では、生活に関わる医療知識全般を、最新の文献を参照し著者の見解を交えて分かりやすく説明している。

by Emran Kassim /

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