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2015.04.08

【KenCoM 監修医コラム】救世主は舌下免疫療法!最新花粉症治療の効果とは?

KenCoM監修医 石原藤樹

写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。

写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。

はじめまして。KenCoMの監修医をしております石原です。

花粉症のシーズンがいよいよ本格化して来ました。
診療所にも、「鼻がグズグズする」「目がかゆい」といった症状の患者さんが続々と訪れています。これらの症状に合わせた薬はたくさんありますが、どれも一時的に症状を取るだけです。では花粉症を完全に治す方法はないのでしょうか?

舌下免疫療法で花粉症を治す!

最近注目を集めているのが、舌下免疫療法という治療法です。
これは花粉症の原因となるスギ花粉のエキスをごく少量ずつ毎日舌の裏に入れ、身体を花粉の刺激に慣れさせるという方法です。昔は注射で同じことをしていたのですが、それが簡単に自宅で出来るようになったのです。

3年で7年持続

3年間治療を行なうとその効果は7年間持続し、4から5年治療するとその効果は8年持続したと2010年の海外の研究で報告されています。つまり、永久に効果が続くのではありませんが、数年の治療で効果があるとその後数年間はつらい症状から解放されるということです。
ただし、アレルギーなどの副作用が起こりうる、治療期間が数年以上と長い、スギ花粉症にしか効かない、という欠点があります。私も診療所で花粉症の原因を検査していると、スギ以外にヒノキやダニなど複数の原因があることが多く、そうした場合には効果は充分ではないのです。

薬剤師に相談して、自分に合った花粉症薬を

ここ数年医療用の花粉症薬が薬局でも買えるようになり、気軽に使用出来るようになりました。専門的には「第2世代の抗ヒスタミン剤」と言いますが、眠気などの副作用が少なく、効果も安定しているのが特徴です。これまで薬局で買った薬で、眠気がひどかったり口が乾いて咽喉が痛くなったりした方は、あなたに合った薬はどれか、専門の薬剤師に相談をして下さい。

組み合わせることで症状はもっと改善できる

市販の薬を飲みマスクやメガネで予防をしても、鼻づまりがひどい場合や症状が治まらない場合にはお医者さんに相談をして下さい。飲み薬にも鼻づまりや目のかゆみなど症状に合わせたお薬があり、組み合わせて服用することができます。また、鼻にスプレーするタイプの点鼻薬を一緒に使うことでも症状を改善させることが出来ます。

まずは薬剤師・医師に相談してあなたに合った花粉症薬を、スギ花粉症の方は舌下免疫療法についてお近くのアレルギー科や耳鼻咽喉科などで相談してみてください。

参考文献:
Marogna M, Spadolini I, Massolo A, et al: Longlasting effects of sublingual immunotherapy according to its duration : a 15-year prospective study. J Allergy Clin Immunol 2010 ; 126: 969-975.

筆者紹介
石原藤樹
1963年生まれ 医学博士 東京都の六号通り診療所所長 専門は糖尿病・内分泌・循環器
週1回、近所の公園までジョギングし筋トレをするのが習慣。学生時代は演劇部だったことから、今も休日は演劇鑑賞を楽しんでいる。
著書の『健康で100歳を迎えるには医療常識を信じるな!ここ10年で変わった長生きの秘訣』(KADOKAWA書店)では、生活に関わる医療知識全般を、最新の文献を参照し著者の見解を交えて分かりやすく説明している。

by Tam Tam/

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