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2016.11.15

冬の寒さは熱燗でチビっと!日本酒の健康的な楽しみ方【いい大人の金曜日】

KenCoM公式ライター:中野友希

今回から始まる新連載『いい大人の金曜日』では、「健康でいたい!」けれども「美味しいものは食べたいし、お酒も飲みたい」という方々のために、健康的にお酒や食事を楽しむためのアイデアを紹介していきます。

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第1回目のテーマは寒い時期にぴったりの「熱燗」。ちびちびと少量ずついただく熱燗は、体への負担も比較的少なく、飲み過ぎ防止に一役かってくれそうです。ここでは、適量のお酒を美味しく、じっくり味わうために、熱燗の健康効果とおすすめのおつまみをご紹介していきます。

お酒を飲むなら熱燗でじっくり

寒い冬には、温かい熱燗でリラックス

アルコール健康医学協会の「飲酒の基礎知識」によれば、アルコールの血中濃度が0.05~0.10%の”ほろ酔い”状態は、体温が上がり脈も速くなりますが、飲酒量としては日本酒2合あたりで”ほろ酔い”期に当たるので、お酒の量としてはやや飲み過ぎ。程よい量としては日本酒1合が理性が保てるぎりぎりのラインだそう。

寒いに冬にピッタリの熱燗なら、1合でもお酒の手ごたえを感じながら、リラックスした大人の週末を楽しめそうです。

少量をじっくり楽しみ、体への負担を減らす

また、アルコール健康医学協会の適正飲酒の10か条によれば、お酒の飲む速度は、体の障害発生率を高めるようです。

"お酒は、飲む速度が速いと血液中のアルコール濃度が急に高くなり、早く酔ってしまうとともにお酒による体の障害が生じやすくなります。"

引用元:第2条 食べながら 適量範囲でゆっくりと(公益社団法人アルコール健康医学協会)

体内のアルコール濃度を急に上げないためにも、お酒とおつまみはセットで考えた方が良さそうです。食事には栄養バランスの取れたものを選ぶと、身体にやさしいお酒との付き合い方ができるかもしれません。また、冬に重宝される熱燗は、ゆっくり”ちびちび”いただけるお酒。急激なアルコール摂取を避けることができそうです。

熱燗と一緒に食べたいおつまみ5選!

ここでは、ふわりと香る熱燗にぴったりの糖質控えめなおつまみレシピをご紹介していきます。寒い冬は、湯豆腐や刺身に舌鼓を打ちながら、熱燗をちびちびと嗜めば、ふわりと軽やかな大人の時間が訪れますよ。

1.京風湯豆腐:さっぱり京風にいただく豆腐の代表料理

京都・南禅寺といえば、湯豆腐でも有名。”水の都”ともいわれる京都は、豆腐づくりに欠かせない水に恵まれた土地故に豆腐づくりが盛んでした。京都風のさっぱり湯豆腐は、熱燗との相性も抜群。京風湯豆腐の特徴は、絹ごし豆腐ではなく木綿豆腐であることと、醤油がベースとなった付け出汁で食べること。添えられたネギやショウガ、海苔などの薬味がアクセントになって、日本酒との食べ合わせも絶品です。

さらに、紅葉おろしや七味などで思いのままの湯豆腐三昧が楽しめるのも魅力です。湯豆腐に合う熱燗は、普通酒で淡麗タイプ、辛口との相性がよく、40度~50度の「ぬる燗」から「適燗」がおすすめです。

2.寒ブリのにんにくぬた:熱燗のお供に最適な寒ブリを高知の”ぬた”で

高知では馴染み深い”ぬた”は寒ブリのタレとして優秀。いつもの醤油やわさびを白みそがベースとなった”ぬた”に変えれば、さらに熱燗の美味しさが引き立ちます。刺身は全般的に日本酒との相性がぴったりですが、普通酒や本醸造酒、純米酒、淡麗タイプがよく合います。

さらに、ブリにはタウリンがたっぷり含まれており、動脈硬化予防にも最適です。冬は身が締まって脂がのり、特に富山湾でとれる寒ブリは格別。タンパク質や脂質が豊富で、ミネラルやビタミンもバランスよく含むため、文句なしのおつまみです。

3.ふろふき大根:和食の定番をピリ辛の韓国味噌ダレで

和食の定番ふろふき大根は、田楽味噌の味わいが際立つ一品。王道の田楽味噌でいただくふろふき大根も美味ですが、ピリ辛の韓国味噌ダレでいただくのも絶品です。ちょっと大人のふろふき大根は、熱燗のお供にぴったり。普通酒や本醸造酒、純米酒、淡麗タイプや辛口の日本酒とよく合います。

4.豆腐田楽:もっちり豆腐と味噌が熱燗と抜群の相性

豆腐を主役に引き立ててくれる豆腐田楽は、熱燗との食べ合わせも最高です。味噌の香ばしい味わいと熱燗のふわりと漂うお酒の香りが絶妙。ヘルシーなおつまみならがらも、しっかりとした食べ応えが感じられ、お酒の気分がさらに盛り上がりそうです。もっちりとした豆腐の食感と味噌の味わいが感じられる豆腐田楽は、純米酒をややぬるめの熱燗で楽しむのがおすすめ。

5.筑前煮:にんじんピューレでさっぱりヘルシーに

濃い味になりがちな筑前煮は、にんじんピューレでさっぱりとヘルシーにいただくのが美味。できれば調味料はレシピよりも控えめで薄味に、鶏肉はモモではなくササミにするとカロリーカットにつながります。カロリーが控えめなこんにゃく、にんじん、しいたけを積極的にいただくことで、カロリーオーバーになりにくいレシピ。しっかりめの味付けには、純米酒を50度くらいの適燗でいただくのがおすすめです。

ふわりと香る熱燗をゆっくりと味わう

熱燗の魅力とおすすめのおつまみについていかがでしたでしょうか。

日本酒は、飲む温度で表情がくるくると変わります。冷酒ではいまひとつと思っていたお酒が熱燗になると花開き、さらに味わいの魅力が増すことも。自分の好みに合わせて、好みの温度を導き出すのも楽しみの一つ。お燗の方法は様々ですが、電子レンジが手軽です。

また、熱燗にすることで飲むスピードが緩やかになるだけでなく、温められたアルコールは体内に吸収されやすいため、飲み過ぎ防止にも効果的といわれています。寒い冬に、熱燗の確かな手ごたえを感じながら過ごすひとときは、日常から解放される安らぎとともにお酒の適量を守るヒントにもなりそうです。

参考文献

<著者プロフィール>

■中野友希(なかの・ゆき):
大学卒業後、税理士事務所、社会福祉法人での経理・税務の業務の傍ら、労働環境改善やメンタルヘルスケアにも取り組む。出産後はウェブライターに転身し、三ツ星レストランや老舗料亭など飲食店への取材・ライティングを手がけた。現在は、”シンプルにわかりやすく伝える”ことをモットーに、ママ向けメディア、ヘルスケアメディア、ペット専門メディアなどでライターとして活動している。

<監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医

・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

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