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2016.11.04

【津下先生のメタボの本質⑩:飲酒】知っておきたいお酒の健康被害

津下一代

アルコールによる問題は幅広く存在しますが、健康への害について詳しくご存知でしょうか。
糖尿病・肥満を専門とし、厚生労働省における「標準的な健診・保健指導プログラム」や「運動指針」等の策定にも携わる、あいち健康の森健康科学総合センター・センター長 津下一代先生が、メタボに悩むあなたに知ってほしい基礎知識をわかりやすくご紹介する連載記事です。

糖尿病、認知症、がんなど大きな病のリスクを高める

レストランでワインを注文すると、パスポートで年齢をチェック。米国滞在中、20代後半の同行者はいつも提示を求められました。若く見られたのかなと、少々自慢げでしたが…。

アルコールによる健康障害が明らかになるにつれ、世界中で対策が強化されています。2010年、世界保健機関が「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を決議。日本でも平成26年6月に「アルコール健康障害対策基本法」が施行。健康障害に関する教育、不適切な飲酒への誘引防止、過量飲酒者への保健指導、依存症の治療などに力を入れていきます。

アルコール問題というと自動車事故や暴力、急性中毒や依存症に目が向きますが、健康面では肝臓や膵臓(すいぞう)の病気、循環器疾患、メタボ・糖尿病、認知症、がんなど多くの病気の原因となります。

心筋梗塞、脳梗塞予防の立場だと適量飲酒ならばよいのですが、過量になればリスクを高めます。脳出血や不整脈は少量の飲酒でもリスクを高めるので要注意です。適量の飲酒とは、男性でビール中瓶1本または日本酒1合、またはワイングラス2杯まで。女性は一般的にいってアルコール代謝能力が低いため、その半量までが適量です。

著者プロフィール

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■津下一代(つした・かずよ):
あいち健康の森健康科学総合センターセンター長兼あいち介護予防支援センター長(現職)。
医学博士、日本糖尿病学会専門医・糖尿病療養指導医、日本体育協会公認スポーツドクターなどの資格をもち、糖尿病、肥満、スポーツ医学の専門医として活躍。日本肥満学会理事、日本人間ドック学会理事、厚生労働省にて日本健康会議実行委員会委員をつとめ、「標準的な健診・保健指導プログラム」や「運動指針」等の策定に携わる。主な著書に「しなやか血管いきいき血液―健康寿命をのばすために知っておきたい65のはなし」「図解 相手の心に届く保健指導のコツ―行動変容につながる生活習慣改善支援10のポイント」など。その他、「NHKきょうの健康 コレステロール・中性脂肪対策のごちそう術」の監修も務める。

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