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2016.09.28

鹿・猪がウマイんです。ジビエ×赤ワインが疲労回復にもおすすめ

KenCoM公式ライター:中野友希

狩猟で得た天然の野生鳥獣を食する「ジビエ」。ジビエとはフランス語で、かつてヨーロッパでは貴族の伝統料理として浸透していました。自分の領地で狩猟した獲物を調理できる上流階級の人しか口にできない料理は、現在日本でもあらためて注目を集めている食べ方です。

ここでは、フランスの貴族達が愛したジビエの魅力とジビエをより引き立ててくれる赤ワインの健康効果について、ご紹介していきます。

野性味あふれる鹿肉、イノシシ肉のジビエがおいしい季節

時を超えて受け継がれるジビエの精神

ジビエ料理の魅力は、天然の食材をおいしく食べることができる、ということだけに留まりません。ジビエは、野生の鳥獣の命をいただく代わりに、その内臓、骨、血液にいたるまですべてを余すことなく調理し、生命に感謝を捧げよう、という精神が流れています。

このジビエの精神に触発され、狩猟を楽しむだけでなくジビエ料理にも注目が集まり、最近では鹿などによる野生鳥獣被害から自然界のバランスを守るためにも、駆除した野生鳥獣をジビエとして生かそうという試みもあります。

栄養豊富な優秀食材がそろうジビエ料理

ジビエ料理に使われる野生鳥獣は、鹿やイノシシが代表的ですが、特に種別が定まっているわけではありません。野生鳥獣であれば、どのような動物たちもジビエとして取り扱われることになります。例えば、野ウサギや山鳩、鴨やキジなども同様です。

これらの野生鳥獣は、野山を自由に駆け回り、余分な脂肪をため込んでいません。山野の自然の恵みをたっぷりと吸収し、本能に従って動く彼らは、食用として育てられる肉より、栄養価が高いことで知られています。

魚に例えれば、養殖ではなく天然もの。長い時をかけてジビエ料理となる森のごちそうを、旬な季節に楽しむのも魅力的です。

日本でも縄文時代から食料源だったイノシシ肉

じつは、日本では「ぼたん鍋」として古くから親しまれているイノシシ肉ですが、馬や牛のいなかった古く縄文時代から続く貴重な食料源でした。その後の「古事記」や「日本書紀」にも、イノシシ肉の記述が見られ、仏教の伝来とともに肉を食することが禁止になった時代にも、イノシシ肉などの獣肉が流通していたと考えられています。

栄養が豊富で、美味しいジビエ肉

イノシシ肉といえば、日本でも親しまれているぼたん鍋がとても有名。クセや臭みがあるのではと懸念されがちな食材ですが、若いイノシシなら臭みが少なく、赤身が多くコラーゲンをたっぷり含む脂身は、クセがなくて食べやすいのも魅力となっています。

鉄やビタミンB群を含んでいるイノシシ肉は、疲労回復や貧血予防にも最適。特に、イノシシなどの赤身肉含まれるヘム鉄は、野菜に含まれる非ヘム鉄よりも3~5倍吸収率が高く、また、牛肉や豚肉よりもその量が豊富なため、貧血の予防にはピッタリなんです。

一方、鹿肉もジビエ料理に欠かせない代表的な食材。鉄分やカルシウムなどのミネラル分を豊富に含み、高タンパク・低脂質な食材として優秀です。

今では鹿肉が一般にあまり流通していないため、猟師さんから直接譲ってもらうか、一部の取扱店で入手することができます。手軽に楽しむなら、ジビエ料理を提供しているレストランを訪れるのもいいですね。

ジビエの美味しさを引き立てる赤ワインの健康効果

ポリフェノールによるアンチエイジング効果

ジビエ料理をさらに引き立たせてくれるのが、ワイン。肉料理によく合う赤ワインは、その健康効果にも注目されています。有名な話ではありますが、赤ワインに含まれるポリフェノールは、強力な抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を撃退することで、老化や病気を防いでくれます。

抗がん作用があるというデータも

2010年に山梨大学・ワイン科学研究センターの佐藤充克氏によって発表された「ワインと健康」の中では、1997年に、赤ワインに含まれるリスベラトロールが発がんプロセスにおいて、抗がん作用を示すことが明らかになっていることが報告されています。

体の状態に合わせて、適量を

ただし、これらの内、抗がん作用のような効果を得るためには、大量のレスベラトロールの摂取が必要であり、副作用を伴う危険を含んでいます。また、妊娠中は胎児に影響を与えるため、避けるようにとの文献もあります。人に投与した場合の研究報告はまだ十分とは言えません。

厚労省によれば、健康によい赤ワインの適量は「ワイングラス2杯」までといわれています。自身の体の状態に合わせて、大人のマナーで嗜んでくださいね。

赤ワインに合わせたいジビエレシピ3選

イノシシ肉のグリル:臭みとクセの少ない若いイノシシに

旨味たっぷりのイノシシ肉はフランスのジビエ料理の中でも人気抜群。シンプルにグリルして、イノシシ肉のおいしさを堪能してみるのもいいですね。イノシシ肉の食べごろは、1歳過ぎから2歳未満といわれています。臭みやクセの少ない若いイノシシが手に入った時は、ぜひグリルで素材の旨味を存分に味わってみては。赤ワインにぴったりのレシピで楽しいひとときが過ごせそうです。

鹿肉のトマトソースペンネ:イタリアの定番ジビエレシピ

イタリア中部から北部にかけて、ジビエに使われる肉はミートソースにも活用されます。鹿肉をトマトソースに加えて食べるペンネは、ジビエ初心者にもぴったり。牛肉や豚肉よりも鉄分などが豊富で貧血予防に効く食材は女性に最適ですし、日ごろの疲れが溜まっている男性にもおすすめです。

ぼたん鍋:旬のジビエを丸ごといただく

甘味があってクセの少ない若いイノシシ肉のぼたん鍋は、日本酒や赤ワインにもよく合う料理。イノシシ肉のおいしい見分け方は、白身と赤身がくっきりと分かれていること。白身は脂肪分と思われがちですが、脂肪に加えてコラーゲンがたっぷり含まれています。白身が多く含まれるイノシシ肉がおすすめです。

ぼたん鍋は、味噌を加えることでイノシシ肉のクセや臭みを抑えることができるレシピ。ジビエが初めてでも、日ごろ親しんでいる日本の調味料”味噌”でおいしくイノシシ肉を食することができます。

ジビエ料理でおいしく健康的に

これからが旬の料理ジビエついて、いかがでしたでしょうか。

臭みやクセが強いと思われがちな食材ですが、調理方法にひと手間加えることで、おいしくいただくことができます。さらに注目されるのは、食材の持つ栄養価。ジビエは牛肉や豚肉よりも鉄分が豊富で、山野を自由に駆け回るため余計な脂肪分も含みません。高たんぱくで低カロリーなジビエは「おいしく健康に!」を目標にする現代人たちに、ぴったりの料理となりそうです。

参考文献

<著者プロフィール>

■中野友希(なかの・ゆき):
大学卒業後、税理士事務所、社会福祉法人での経理・税務の業務の傍ら、労働環境改善やメンタルヘルスケアにも取り組む。出産後はウェブライターに転身し、三ツ星レストランや老舗料亭など飲食店への取材・ライティングを手がけた。現在は、”シンプルにわかりやすく伝える”ことをモットーに、ママ向けメディア、ヘルスケアメディア、ペット専門メディアなどでライターとして活動している。

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