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2016.09.30

シミ、しわも糖質が関係?!老け顔をつくる「糖化」のしくみとは?

KenCoM編集部

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「糖化」は、2009年頃から爆発的ヒットを生んだ化粧品がきっかけで世に広まりました。女性の方なら、美容雑誌などで目にする事も多いかもしれません。
「糖化」の原因物質は、見た目や体の機能をも老けさせるため、酸化が体の「サビ」に対し糖化は「コゲ」とも言われます。

その糖化は、「糖質の摂りすぎ」が代表的な原因というのをご存知でしょうか?血糖値の乱高下をいう「血糖値スパイク」が糖尿病やメタボのみならず、肌や骨の老化を早めるというのです。

2016年9月に開催された「ダイエット&ビューティーフェア」では、「糖化は老化である」という事実を最新の研究結果を元に紐解く、同志社大学・生命医科学部の糖化ストレス研究センター・八木雅之氏による公演が行われました。
その講演内容をご紹介し、「糖化」と「老化」の関係を紐解いていきます。

<お話を伺った方>八木雅之氏

■八木雅之(やぎ・まさゆき)氏:
同志社大学 生命医科学部/糖化ストレス研究センター
チェアプロフェッサー教授

HPLCカラムメーカーにて分析アプリケーション開発、臨床検査機器・試薬・機能性素材メーカーにて糖化アミノ酸分解酵素を使ったグリコヘモグロビン測定系の研究開発、 糖尿病患者向け健康食品・化粧品等の製品開発、抗糖化作用を有する混合ハーブエキス「AGハーブMIX」の製品開発、分析受託メーカーにて糖化ストレスのin vitro試験およびヒト臨床試験などを担当。
2011年より同志社大学大学院 生命医科学研究科 糖化ストレス研究センターにおいて糖化・AGEs測定法の研究、糖化ストレス抑制対策・抗糖化素材の研究、 アンチエイジングや疾病予防としての抗糖化に関する普及啓発活動などを進めている。

カラダの中で起こる糖化とは?

「糖化」とは何か?それは「血糖」と体を構成する「タンパク質」が結びつくことで体のタンパク質が茶色く、硬く、もろくなって機能までも変化してしまうこと。

水分や脂肪をのぞく大部分の組織、脳、内臓、筋肉、血管、神経はタンパク質でできていますので、これらが老化することになります。糖化はタンパク質が余分な血糖と出会うだけで起きてしまうので、私たちは「糖化」を避けられない運命にあります。

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「糖化」は「コゲ」。カラダを老けさせる物質「AGEs」とは

血糖とタンパク質が結びつき糖化が進むとどうなるか?最終的には「AGEs(糖化最終生成物)」という物質が体内に残ります。

AGEsは1度生成されると体内でなかなか代謝されないという性質を持っており、多くの人は炭水化物を中心に食事を摂っているため、年齢とともに少なからずAGEsが蓄積。糖化が、酸化の「サビ」に対して「コゲ」と言われる理由は、このAGEsが肌の柔らかさと弾力を奪い変色させてしまうからなのです。

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キツネ色のパンケーキなど食べ物の「糖化」は美味しくなるが…

パンケーキを焼くと茶色になる、コンソメスープが過熱と共に茶色く変化する、これらを想像すると糖化をイメージしやすいと思います。美味しそうな食べものの“焦げ”も、実は糖化によるもの。

糖化は科学的にはフランスの科学者メイラードが発見した「メイラード反応」のことで、「アミノ酸」と「糖」を加熱すると褐色に変化する現象のことを言います。加熱することで食品の場合は、もっと美味しさが増しますが、同時にAGEsの量も増やしてしまいます。

糖化によってカラダの中はどうなる?糖化は老化なのか

それでは体の各組織は、糖化によってどう変わってゆくのでしょうか?

皮膚、やコラーゲンが硬くなる

コラーゲンには体の弾力を保つ働きがあります。AGEsには「架橋形成」という性質があり、コラーゲンを強く結び付けてしまうため、肌は弾力を失いシワ、たるみの原因に。

コラーゲン(肌、骨など)が弾力を保っている状態 【図1】

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AGEsの蓄積によって弾力性が低下したコラーゲンの状態 【図2】

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肌が黄ばむ

AGEs はそれ自体が褐色のため、蓄積されると肌が黄ばむ、いわゆる「黄ぐすみ」が進行します。高齢者の方の肌が黄ばんで見えるのはこれが原因と言われ、美白・血行促進でも改善できません。

老け顔に見える

顔が老けて見えるのは、肌表面がゴワつき硬くなり、キメが乱れてなくなることによるもの。AGEsは、肌の角層を形成するタンパク質(ケラチン線維)を固めてしまい、若さを失わせます。女性の場合は化粧ノリも悪くなることに。

骨がもろくなる

骨のタンパク質とAGEsが結合すると、弾力を失ってしなやかさを失いもろくなります。衝撃に耐えることができなくなるほかに、骨粗しょう症などの骨の病気の進行を促進します。

血糖値スパイクも糖化の原因に!糖化ストレスとは

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糖化させる要因、それは生活習慣の乱れにありました。AGEsの生成を加速する要因は糖化ストレスと呼ばれています。糖化ストレスにはどんなものがあるか見ていきましょう。

【外的な要因】 食後高血糖、アルコール、過剰な脂質、たばこ

食事の後の血糖値が高くなると、余分な血糖はタンパク質と結合してAGEsを生み出します。また、お酒を飲んで二日酔いになる原因のアセトアルデヒドや、脂肪が肝臓で分解されてできるケトン体も、タンパク質と結合してAGEsになります。
また喫煙者を非喫煙者を比較するとAGEsが多い事も分かってきました。

【内的な要因】 加熱食品の食べすぎ

AGEsを多く含むこんがり焼いた肉やベーコンなど加熱食品ばかり食べていると、代謝されにくいAGEsをダイレクトに体内に取り込んで蓄積してしまうことになります。

老け顔をつくらせない食事法の4つのコツ

日常を送る中で糖化を少しでも遅らせることはできないのでしょうか。それには血糖値コントロールと、糖化反応を妨げるお茶、そして食事の調理法の改善が有効だというのです。

1.血糖値スパイクを安定させる

野菜、魚、肉から先に食べる。一緒に食べても効果あり

食後高血糖を穏やかにし、血糖値スパイクを安定させるには食事法の改善を第一に考えます。“野菜から先に食べる”食べ方は、糖尿病患者の方だけでなく健常者においてもその効果が確認され、さらに野菜だけでなく、肉や魚を先に食べた場合でもその効果があるといいます。

2年間この食事法を続けた糖尿病患者の方が対象の研究データでは、血糖値が低下したと言う結果もあり、食べ方の改善で血糖値を安定させられることが分かっています。

食べ順は必ず守らないとダメなのか?

食べ順は必ず守らないといけない訳ではなく、サラダうどんや牛丼といった炭水化物と副菜が一緒になったメニューも、炭水化物だけの食事に比べて血糖値の上昇おだやかにすることが研究で明らかになりました。副菜と一緒に食べることいかに大事かということがわかります。

食後の高血糖をおさえるトクホなどを活用する

炭水化物が、血糖として吸収されるのを抑制する素材も有効です。特定保健食品として販売されていますので、食事内容に合わせて活用しても良いでしょう。
難消化性デキストリンや、グアバ葉ポリフェノール、豆鼓(トウチ)エキス、L-アラビーノ、これらは糖化ストレスの入り口部分をおさえることができます。

2.糖化反応をおさえる野菜や健康茶を摂取する

では、血糖値を下げきれなかった場合はどうすれば良いのでしょう。

糖化反応を抑制する素材があるのか調べた実験では、一部の野菜やハーブ、健康茶といった素材にその効果が認められました。これらが糖化反応を抑制する仕組みとしては、上の【図2】にあるようなAGEsの架橋を切断する作用があると考えられています。

植物では、栗の外皮(皮)、ふきのとう(皮)、栗(渋皮)、モロヘイヤ、新ショウガ、ローズマリー、ヨモギなどが211種類のうち上位となり、植物分類別に見ると、キク科、シソ科、ショウガ科、セリ科、などが優位に糖化を抑制することがわかりました。

健康茶では、甜茶、どくだみ、ハマ茶、柿の葉茶、グァバ、シソ葉、バナバ茶、熊笹、など。これらは、糖化反応阻害作用を持つ「アミノグアニジン」の、約20倍以上の抗糖化活性作用がある注目の素材です。

3.研究段階だが、AGEsを分解する酵素が肌にあると分かってきた

すでに出来てしまったAGEsは分解できるのか?

これに対しては現在可能性として、AGEsを分解する酵素(酸化蛋白分解酵素)が人の頬などの生体中に存在することが考えられています。分解酵素は加齢とともに減少するため、それがAGEsの蓄積と関係していることが予想されています。

そしてこの酵素を活性する素材の解明も進んでおり、米ぬか、アロエ、ウスベニアオイ、エンメイソウ、オノニスなどの抽出液にAGEsを分解する作用があると考えられています。

4.焦げた食事を避けてAGEsを減らす、AGEsを増やさない調理法に変える

体に入った食品は、90%が排泄物となって体外に出され、それ以外から排出されるものを差し引いて、約7%は体内に残るといわれています。したがってAGEsを多く含んでいる焦げた食品をたくさん食べるほど蓄積します。

AGEsは茹で⇒蒸し⇒焼き⇒揚げの順に高くなりますので、加熱を抑えて料理することがAGEsを増やさないコツといえます。

「抗糖化」で素敵に年齢を重ねよう

講演の最後、八木氏によると、「糖質制限の本質は、食後の血糖を上げにくくして、糖化を防ぐこと」。そして、糖質吸収のコントロールや、飲酒、禁煙は、メタボ対策やダイエットのみならず、シワや黄ばみ、骨粗しょう症、認知症などの「老化」を遠ざけることにつながる、ということが訴えられました。「抗糖化」については、アンチエイジングの1つの考え方として、今後も注目していきたいと思います。

(取材・文/KenCoM編集部)

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