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2022.05.12

18歳未満の新型コロナ感染の特徴とワクチンの効果【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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子供はコロナ感染しても軽く済む…とは言いますが、まれに重症化するケースもあるのだそう。

今回ご紹介するのは、British Medical Journal誌に、2022年4月11日ウェブ掲載された、小児と思春期の新型コロナウイルス感染症の特徴についての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

子どものコロナ感染の特長とは

新型コロナウイルス感染症は、成人と小児とではその症状に違いがあることが、パンデミックの早期から指摘されていました。

小児は感染しても多くの場合症状は軽く、無症状感染の比率も多いと報告されています。

ただ、一部で川崎病に似通った点のある、全身の血管炎が発症することがあり、心不全やショックを来すこともあります。これは小児COVID-19関連多系統炎症性症候群と呼ばれています。

小児はコロナ感染してもほぼ軽症

今回のデータはデンマークにおいて、18歳未満の新型コロナウイルス感染症のRT-PCR検査を受けた、991682名のデータを解析したもので、そのうちの7.5%に当たる74611名が陽性となっています。

患者が入院となるリスクは0.49%(95%CI:0.44から0.54)、集中治療室に入室するリスクは0.01%(95%CI:0.01から0.03)と低率でした。診断されて2か月以内に小児COVID-19関連多系統炎症性症候群を発症するリスクは、0.05%(95%CI:0.03から0.06)と算出されました。

感染確認後1から6か月後のクリニックの受診率は、非感染者と比較して1.08倍高くなっていました。

12歳以上でファイザー・ビオンテック社の新型コロナワクチンを、2回接種してから60日以上の有症状感染の有効率は、93%(95%CI:92から94)と算出されました。

まれに小児特有の病態があることも

このように、18歳未満の年齢層における新型コロナ感染は、非常に軽症の事例が多く重症化は稀ですが、成人には見られない小児COVID-19関連多系統炎症性症候群という病態が、感染者の2200人に1人程度の比率で認められます。

またその後半年の医療機関受診率がやや高いことは、持続的な症状が見られることを示唆しています。ワクチンの有効性は2回目接種後には、成人と同レベルで認められていました。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。2021年には北品川藤サテライトクリニックを開院。著書多数。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36