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2021.12.16

新型コロナウイルス、再感染を繰り返すと風邪レベルまで弱毒化する?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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新型コロナは複数回かかる可能性があります。ただ、再感染した時は、初回感染時より重症化リスクが低いのだとか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、the New England Journal of Medicine誌に、2021年11月24日掲載されたレターですが。中東カタールにおける新型コロナウイルス再感染事例を、初感染と比較した内容です。

▼石原先生のブログはこちら

新型コロナウイルスに再感染した時の特徴とは?

中東カタールでは、2020年3月から6月にかけて、新型コロナウイルス感染症の第一波の流行があり、その後人口の約4割は、新型コロナウイルスの抗体が陽性化したと報告されています。その後2021年の1月から5月にかけて、主にα変異株とβ変異株による再流行が見られました。

この時、RT-PCR検査陽性の初感染が確認されている事例の、初感染から少なくとも90日以上経過しての再感染事例、トータル1304例を解析したところ、31.7%に当たる413例はβ変異株によるもので、4.4%に当たる57例はα変異株によるもの、16.3%に当たる213例は最初の流行株によるものと確認されています。それ以外の事例については、解析されていないなどして不明です。

初感染から再感染までの期間の中間値は、277日(179から315)でした。

再感染の死亡事例は1例もなく、入院や死亡などを併せた重症化のリスクは、初感染と比較して10分の1(95%CI:0.03から0.25)という低率でした。

今後はコロナも風邪と同程度の弱毒になるのでは

これがデルタ株以降の、重症化リスクが高いとされている変異株においても、同様に認められるかどうかはまだ不明です。

おそらく感冒の原因となっている多くのコロナウイルスが、最初は重症化が多い状態から、再感染を繰り返して軽症化したであろう、という経緯を考えると、今後長期的には現行の新型コロナウイルスも、他の通常感冒の原因ウイルスと、同程度の病状経過に変化するであろうことは、可能性として高いように思われます。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。2021年には北品川藤サテライトクリニックを開院。著書多数。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36