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2021.12.03

何だかパッとしない朝に「自律神経」整える仕込み|雨の日に気分が沈む…天気と体調の深い関係

東洋経済オンライン

自分の体に耳を傾ける、朝のチェックポイントを紹介します(写真:アン・デオール/PIXTA)

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自分の体に耳を傾ける、朝のチェックポイントを紹介します(写真:アン・デオール/PIXTA)

朝起きて天気が悪いと頭痛がする、しっかり眠れず、前日の疲れが取れていない……「なんだかな……」という不調は、体と心が発しているサインです。そのサインを放っておくと自律神経が乱れ、悪循環に陥ります。そこで自分の体に耳を傾ける、朝のチェックポイントを、自律神経研究の第一人者である小林弘幸先生の新著『「なんとなく…」の不安や疲れがスーッと消える 「自律神経を整える1日の過ごし方」を聞いてきました』から紹介します。

憂うつな朝は無理にポジティブにならなくてよし

──最近、毎朝、目覚めると、「あ〜、今日も会社か……」と思ってしまいます。とくに大事な会議がある日は、このままベッドにいたいなあと……。「仕事を辞めちゃおうかな」と考えてしまうこともあります。

小林弘幸先生(以下、小林):高熱やおなかが痛いなどの症状がなくても、なんとなく会社に行きたくない……と思うことは、誰にでもあることです。実は、私も仕事なんか行きたくないと、若いときはよく思っていました。とくに日曜日の夕方は、必ずといっていいほど憂うつになっていました。

──そうなんですか? 意外です。

小林:ちなみに、日曜日の夕方になると憂うつになり、倦怠感や体調不良につながる症状は『サザエさん症候群』といわれます。欧米では仕事が始まる月曜日のことを『ブルー・マンデー』と呼びますが、どちらも休日と平日の過ごし方にオンとオフの差が激しいことが原因です。

人は、すべてにおいて「頑張ってやろう」と前向きに思っていられるほど強くはありません。やらなくてはいけない、出社しなければいけない、とわかっているけれど、どこかで「○○しないといけないのか……」「サボりたいな……」など、後ろ向きに物事を捉えている部分もあります。それは自然なこと。人間とはそういう「生き物」だと認識するところからはじめてみましょう。

──先生でも「○○しないと……」と思うことがあるんですね。

小林:ありますよ。面倒くさいな、嫌だなと思うことはつねにあります。どんなことでもポジティブに考えられたらいいでしょうけど、物事に対して後ろ向きな感情を持つことは当たり前です。

──そんなときはどうしたらいいんですか?

小林:そう考えてもいいんだ、と受け入れることが大事です。なにも、すべてポジティブに考えなければいけない、と思わずに、少しでも前向きな思考が勝ればいいだけだと思っています。

──それだけでも、ちょっと気持ちが楽になったような気がします。

小林:少しでも前向きに物事を捉えるためには、ちょっとしたコツがあります。それは自律神経の切り替えをスムーズにさせることです。

──自律神経の切り替え……。どういうことですか?

小林:朝、目覚めたときは、体がリラックスモードである副交感神経が優位な状態から、アクティブモードである交感神経が働き出す切り替えが起こるタイミング。そのときにしっかりギアチェンジすることが大事です。

自然光を浴びるとアクティブモードへ

──なるほど。自律神経を、上手にギアチェンジする方法はあるんでしょうか?

小林:そうですね。私は朝起きたら、すぐにカーテンを開け放して、太陽の光を体全体で受け止めるようにしています。そうすると自然と頭も前向きな気持ちになりますよ。アクティブモードである交感神経にしっかり切り替えることで「まあ頑張ってみようかな」と、なんとなくやる気が出てくるものです。

これは、太陽の光が目から脳に伝わり、私たちの体に備わる「体内時計」が刺激されるからです。体内時計は体温や血圧、睡眠などの体内のリズム、ホルモン分泌などを調節します。とくに太陽の光を浴びると「セロトニン」という神経伝達物質が大量に分泌されます。

セロトニンは、交感神経を刺激する作用があるため、体と脳を活性化し、分泌された14~16時間後に、睡眠を促すホルモン「メラトニン」に切り替わりスムーズに眠れます。

──雨が降っていたり、曇っていたりすると、太陽の光は少ないと思うのですが、そんなときも同じようにしているんですか?

小林:天気がどうであれ、太陽がある方に向かって、胸をはって、深い呼吸を意識しながら自然の光をしっかり浴びるようにしています。蛍光灯などの光の刺激だけでは、頭を「アクティブモード」に切り替えられないのです。

自律神経を整えるためには、呼吸を意識することがポイントになります。交感神経の働きを高めるために、深い呼吸を短く早く繰り返します。息を強く吐くことを意識しながら、10~15回ほど呼吸をすることで脳も体もスッキリします。

──頭も、体と同じように、切り替える必要があるんですね。

小林:なんだか今日は嫌だなと思っているとき、私は1分ぐらい太陽の光を浴びながら、「頑張っている自分」をイメージします。ちょっと気が重い、仕事にも行きたくない。それでも、「前を向いて頑張ろうとしている自分がいるんだ」と思い描きます。それで自分を奮い立たせるというと大げさですが、その気にさせるようなことをしています。

「低気圧頭痛」は身体からの休息のサイン

──雨の日はなんとなくやる気が出ません。会社に行って、やらなくてはいけないことが山ほどあるのに……。

小林:天気が悪いと、体もだるい気がする。そんなことは私もしょっちゅう感じています。でも、自律神経と天気が密接な関係にあることを知っておくと、やる気が出ないモードから抜け出せますよ。

──自律神経と天気は、関係があるんですか?

小林:体調が悪いなと思ったら、低気圧が近づいていた、なんて経験はありませんか?

──そういえば、台風が近づいているときやゲリラ豪雨が起こる前に頭が痛くなることがあります。

小林:気圧が低下すると、体内ではバランスをとるために水分が外側へと向かうのです。その結果、血管が拡張して、頭の神経を圧迫し、片頭痛が起こる人がいるのです。

──へぇ〜。天気と体調が関係しているなんて知りませんでした。

小林:自律神経でもアクセルの役割を果たす交感神経は、高気圧のときは活発になり、気圧が低くなると働きが低下します。それだけ気圧の変化は、自律神経に大きな影響を与えているのです。天気以外にも、ストレスによる緊張から解放されたときなどに片頭痛が起こります。頭の片側あるいは両側が脈を打つようにズキズキ痛むのが特徴で、女性ホルモンの一種が関係しているともいわれ、女性に多くみられる頭痛です。薄暗い部屋で横になったり、こめかみを冷やして安静にしたりしてなるべく刺激を与えないことが大切です。

──雨の日は、気圧が下がっているから交感神経の働きが上がらず、リラックスモードの副交感神経が優位になっている。だから、なんとなくやる気が出ないということですか?

小林:そうですね。雨の日は、気圧が下がることで、血管が弛緩していつもよりも血圧が低下します。気分も沈みがちになってしまうのです。気圧以外にも、たとえば、気温が上がると副交感神経が活発になり、気温が下がると交感神経が活発になるというデータもあります。

──やる気が出ないのは、自分の意志が弱いからだと思っていたので、天気が悪いのが原因だと思うとちょっと気が楽です。

小林:さらに、野生動物は雨が降ると「休息モード」に入り、木の下や洞穴などでゆったり休みます。もともと、雨の日に気分が上がらないのは、動物としての本能かもしれませんね。

雨の日は明るい色の物を身に着けよう

──なるほど……。でも、私たちは、雨が降ってもどんなに暑くても、仕事を休むことはできないから、会社に行かないといけませんよ……。

小林:自律神経と気候が密接な関係にあることを、まずはしっかり認識することが第一歩。体の構造として、体調も天候に大きく左右されることを知ることで、天候に沿って対処することができます。

──対処法があるんですね!

小林:1つの手段として、明るい色のものを身に着けるといいですよ。私は、雨の日は明るい色のネクタイを選んでいます。色も、自律神経に大きな影響を与えます。明るい色は交感神経を優位にして、やる気をアップさせてくれるし、反対に落ち着いた色は副交感神経を優位にして、気持ちを安定させてくれる効果があるのです。


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──天気、気温、色……。いろんなものが自律神経に影響するんですね。

小林:副交感神経が優位のまま1日をスタートさせてしまうと、その日、ずっと気分が落ち込んだままで、仕事にも身が入らなくなってしまいます。そうならないように、朝出かける前に天気が悪かったら、意図的に交感神経を優位にして、やる気のスイッチを入れるのです。

──でも、会社に派手な服を着て行く勇気がないんですけど……。

小林:全身派手な色を身に着けてしまうと、交感神経の働きが過剰に高まる恐れもあります。ハンカチやアクセサリーなど身に着けるアイテムがおすすめです。イライラしたときに窓の外の木々や空を眺めると落ち着くことがあるように、一般的に緑や青は副交感神経に作用し気持ちを落ち着かせます。一方、赤やピンクは気分を高揚させます。イライラやうつうつとした気分が続いているときは、自分がよく使うグッズやファッションの色を見直してみてください。

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小林 弘幸:順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

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