メニュー

2021.10.02

自分の声が嫌いな人は「自己肯定感も低め」な理由|「本来の声」を出すためのエクササイズも紹介

東洋経済オンライン

人前で話すことや人とのコミュニケーションに苦手意識を持っている人が少なくないなか、実際に声を改善したことでプレゼンが得意になったという事例をご紹介します(写真:kou/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/459181?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

人前で話すことや人とのコミュニケーションに苦手意識を持っている人が少なくないなか、実際に声を改善したことでプレゼンが得意になったという事例をご紹介します(写真:kou/PIXTA)

プレゼンが苦手、仕事の交渉が苦手、スピーチが苦手、人との雑談が苦手……。

人前で話すことや人とのコミュニケーションに苦手意識を持っている人は少なくないでしょう。

「人見知りだから」「もともと社交性がないから」と諦めてしまっている人もいるかもしれませんが、長年にわたり声の研究を続けてきた村松由美子さんいわく、性格ではなく「声」を変えることでそれらを改善することができるといいます。

松村さんの著書『話し方に自信がもてる声の磨き方』より、実際に声を改善したことでプレゼンが得意になったという事例をご紹介します。

声は何歳からでも劇的に変えられる

声を変えると体が変わり、体が変わると心が変わります。この事実を、身体心理学では「心身相関」といいます。

性格を変えるのはなかなか難しいかもしれませんが、声は何歳からでも劇的に変えることができるのです。

現在、「声」に関する研修やセミナーを行い、これまでに延べ4万人以上のさまざまな声の悩みを抱えた方々にお会いしていますが、彼らは1人の例外もなく、“本当の声”が出ていません。

実は、意外に思われるかもしれませんが、人に好印象を与える声は「作る」ものではなく、その人の持つ「本来の声」なのです。

本来の声には、作り物の声の持つ「うそ偽りの響き」がありません。だからこそ、相手に安心感と信頼感を与え、好印象につながるのです。

面白いことに、「自分本来の声」を出せるようになると、自己肯定感も上がります。なぜなら、自分の中でも声が響くのが感じられるため、「私って、けっこういい声をしてるな」「こんな声の自分って、なかなかいいかも」と自然に思えるようになるからです。

ちなみに、日本人は総じて自己肯定感が低いことが明らかになっています。内閣府が2018 年に、13歳から29歳までを対象に行った「自己肯定感」についての国際比較調査によると、「自分自身に満足している」と答えている割合は最も低く45.1%。一方、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンなどはすべて70%を超えています。なぜこんなにも日本人は自己肯定感が低い人が多いのでしょうか。私はこの原因のひとつに、声や話し方が関係していると思っています。

自分の声が好きですか?

私のセミナーを受講してくださる方によくする質問があります。「自分の声が好きですか?」という質問です。どこで聞いても、だいたい以下のような結果になります。

「好き」…5%
「まあまあ好き」…15%
「嫌い」…80%

驚くことに、80%の方が自分の声を嫌っているのです。

でも、考えてみてください。

私たちは「オギャー!」と産声を発した瞬間からこの世を去るまで、基本的にはずっと声を出して話をし続けます。声とともに一生を歩むのです。なのに、生涯ともにある自分の声が嫌いで、自信がなかったらどうでしょうか。

自信をもって自分の意見や思いを伝えられるでしょうか。

人前で堂々とプレゼンやスピーチができるでしょうか。

自分の出す声に自信がないと、どうしても声を発すること、話すことに消極的になってしまうものです。声を発して自分の考えや思いを伝えることを躊躇し、気持ちを抑圧するということは、自己肯定感を下げる行為になります。

しかし、あなたの個性が活かされた「本来のいい声」を出せるようになれば、自分でも「いいな」と思うことができるようになります。

自分の声を自然と好きになれる。そこから自己肯定感が上がります。

自分の声が好きになると、話すこと、人とコミュニケーションをとることが楽しくなり、人前で話すことへの苦手意識も薄れてきます。

また、声に素直に感情を乗せることができるようになるため、自然と抑揚がついて、あなたから語られる話がとてもドラマチックになります。

こうなると、表現力が増しているので、プレゼンやスピーチ、営業や接客、ちょっとした雑談でも、相手の心を揺さぶることができます。

聞き手からすると「なんて面白いんだろう! もっとこの人の話を聞きたい!」となるんですね。

こうしたことから、仕事や人間関係で信頼を築くことがどんどん容易になっていきます。

ここで実際に、「声」を改善したことによってプレゼンが得意になったという実例をお伝えしましょう。

「プレゼンを早く終わらせたい」

技術営業をしているエンジニアのKさん(40代男性)は、いつもそう思っていました。もともと自分の声が嫌いで、自社製品のプレゼンをする機会が多かったものの、人前で話すことが苦手でした。そのうえ、自分の話がたいした内容ではないと感じることが多く、話しているうちに自信がなくなってきて、「早く終わればいいのに」といつもネガティブになりがちだったそうです。

そんな彼が、私のセミナーを受講。そこで習った発声法や日々のワークを継続することで、自然と声が出るようになっていきました。そうなってみてはじめて、「これまでの自分は思った以上に声が出ていなかった」と気づいたそうです。

次第に声が出るようになると、話すことにも抵抗がなくなってきて、セミナーの際に人前で声を出すことへの苦手意識も薄くなっていったといいます。さらに、声が出るようになると、聞き手が自然と耳を傾けてくれるようになってきたことから、自分の話す内容に関してもだんだん自信がもてるようになってきたそうです。

後日、Kさんは仕事で50人もの顧客の前で製品のプレゼンをしました。セミナーで学んだことを生かして「本来の声」で挑戦したところ、顧客から「製品を使いたくなった」「熱い思いを感じた」といった、うれしい感想をもらえたそうです。さらに上司からは、「ユーザーが使いたくなるようなプレゼンだった」「ほかでもプレゼンしてほしい」と言われ、予想以上の結果が出たことに、自分自身とてもビックリしたそうです。

「声で場の空気をつかむ」重要性

私のセミナーでは、いつも「声で場の空気をつかみましょう」とお伝えしていますが、以来、Kさんは打ち合わせなど普段の仕事でも「場をつかめている/つかめていない」という視点から、自分の話し方を観察するようになったとか。そうすることで、「人をひきつける力がグッと増した」と感じているそうです。今では話すことへのストレスがなくなり、嫌いだったプレゼンを楽しめるようになりました。

私がお伝えする、本来の声を出すための「ヴォイササイズ(声のエクササイズ)」は、

①筋肉をゆるませる

②姿勢を整える

③呼吸を整えて声を出す

という3ステップが基本で、そのためにさまざまなエクササイズを行います。どれも、いつでもどこでもできる簡単なものです。

今回は、③の「呼吸を整えて声を出す」ステップの中から、「基本の呼吸トレーニング」エクササイズをご紹介しましょう。

基本の呼吸トレーニング

まずはゆったりと息を吸い込む方法です。バイブレーションの源は、豊かな呼吸にあります。深い呼吸を体感するために、次の呼吸をやってみてください。

(画像:『話し方に自信がもてる声の磨き方』より)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/459181?page=4

(画像:『話し方に自信がもてる声の磨き方』より)

口を縦に大きく開けながら、目も大きく見開いて吸うと、たくさんの空気を吸い込めます。手もゆったり動かすことで、より豊かな呼吸ができます。

まずは、吸って吐いての呼吸を通常どおりしたまま、徐々に口を大きく開けていきます。そして、これ以上開かないなというところまで開けたら、今度は徐々に口を元に戻していきます。2〜3回これを繰り返し、次のことを確認してみてください。

・口を徐々に開けていったとき、呼吸はどうなっていますか。吸っていますか? 吐いていますか?
・では、口を徐々に元に戻していったときはどうでしょうか。吸っていますか? 吐いていますか?

今度は、先ほどと同じく、吸って吐いての呼吸を通常どおりしたまま、徐々に目を大きく見開いていきます(口は閉じたままでかまいません)。

そして、これ以上開かないというところまで開けたら、今度は徐々に目を元の状態に戻していきます。2〜3回これを繰り返し、同じく、目を徐々に見開いていったとき、目を徐々に元に戻していったとき、それぞれの呼吸は吸っているか吐いているかを観察してみてください。

どうでしょうか、私たちは口を大きく開けていくときに空気を吸い、口を元に戻すときには吐いていますね。

目も同じで、目を大きく見開いていくときには空気を吸い、目を元に戻すときには吐いています。

開けるときに吐いて、閉じるときに吸う、というような逆の呼吸は難しいのです。

なぜこのような呼吸になるのかというと、顔の筋肉の動きと横隔膜がつながって連動しているからです。

声の豊かさと表情の豊かさはつながっている

横隔膜は肺のすぐ下にある筋肉です。

肺は自分で大きくなったり小さくなったりできません。周りの筋肉が動かしています。その周りの筋肉のひとつが横隔膜です。


『話し方に自信がもてる声の磨き方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

顔の筋肉が動くと、横隔膜は下がります。口を大きく開けたり、目を見開いたりすると、横隔膜が下がるということです。

横隔膜が下がると、肺は大きく膨らまないといけません。中に空気を取り込まないと膨らむことができないため、空気を吸うことになります。

顔の筋肉が元に戻ると、横隔膜も元に戻り、上がります。

横隔膜が上がると、肺は小さくしぼむことになります。中に空気が入っていると小さくなることができないので、中にある空気を吐き出すことになります。

つまり、表情が豊かな人は、呼吸が深いということです。

声の豊かさと呼吸はつながっているので、表情が豊かな人はよく響く声が出やすいのです。

つまり、声を整えることによって、声自体のうそ偽りの響きがなくなると共に、表情が豊かになるという相乗効果で、相手に好印象を与えることができ、いいコミュニケーションをとることができるようになるのです。自己肯定感とともにコミュニケーション力もアップさせたい人は、ぜひ「声」の改善に取り組んでみてください。

記事画像

村松 由美子:一般社団法人感動ヴォイス協会代表理事

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します