2021.07.07
よみがえりの葉、赤紫蘇の逸話。干すだけ簡単「紫蘇茶」の作り方【ちょっと茶話#10】
梅雨の訪れとともにスーパーに並ぶ「赤紫蘇(赤しそ)」。
青じそを料理に使うことは多いですが、赤紫蘇は梅仕事をする人でなければあまり買う機会がないのではないでしょうか。
人を蘇らせる葉
紫蘇は中国原産の1年草で、みなさんがよく食べる青じそは赤しその変種になります。
中国には「魚介を食べ過ぎて腹痛をおこし死にかけていた少年に、紫蘇の葉を煎じて飲ませたら生き返った」という言い伝えがあり、ここから「人を蘇らせる紫の葉」ということで、「紫蘇」という名前になったといわれています。
日本には中国から古代に伝わり、当初は紫蘇の種子から取れる油を灯油として利用していました。
その後、灯油としてなたね油が使われるようになると、紫蘇を食用、薬用として利用するようになりました。紫蘇には赤色と緑色の2種類ありますが、どちらも薬用として使われていたようです。
平安時代になると紫蘇の栽培が始まります。この頃もやはり薬としても用いられていましたが、漬物にして薬味として用いられるようにもなったようです。
赤紫蘇の栄養
赤紫蘇は古くから薬として用いられてきましたが、現代でも胃腸の機能改善や食あたりで処方される漢方薬に含まれていることもあります。
魚を食べた時に、顔が赤くなり、じんましんが出る場合があるのですが、これは特に赤身魚に含まれるヒスタミンという化学物質を一定量以上摂取したことによる食中毒の可能性があります。ヒスタミンは赤身魚やその加工品で発生し、多くの場合、食べた直後から1時間以内に、顔面、特に口の周りや耳たぶが赤くなったり、じんましん、頭痛、おう吐、下痢などの症状が出ます。
赤紫蘇には、このヒスタミンと戦うシアニジンやテオリンなどのポリフェノール類や、ロズマリン酸などが豊富に含まれています。
また、紫蘇を乾燥させた紫蘇茶は中国でも薬用として使われていて、抗酸化物質のβ-カロテンや、アレルギー反応を抑えるといわれるオメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸も含んでいます。
紫蘇茶の作り方
紫蘇ジュースを作るという方は多いかと思いますが、大量の砂糖を使うのでカロリーが気になりますし、甘いので飲みすぎに注意が必要です。
そこで、今回は紫蘇の葉をそのまま乾燥させて煮だす、紫蘇茶の作り方をご紹介します。
紫蘇の葉を並べたり、吊るしたりして干すだけででき、小分けにして冷凍庫で保存すれば長期保存可能なので便利ですよ。
材料
赤紫蘇 1袋(300g程度)
だしパック袋 20~25袋程度
<お好みで>
レモンやカボスなどの柑橘類のしぼり汁 数滴(なければ酢小さじ1程度でもOK)
砂糖 少々
作り方
1.赤紫蘇は太い茎を切り落とさずに、そのままさっと洗ってペーパーやふきんで水気をふき取り、束のまま太い茎をひもなどで縛り、逆さにして風通しの良いところに吊るして2~3日おいておく。葉がカラカラに乾燥したら出来上がり。
または、葉を摘み取って洗い、ペーパーやふきんで水気をふき取り、ザルや新聞紙などに並べて(葉が2枚程度重なっていても大丈夫です)風通しの良いところに2~3日おいて、カラカラになったら出来上がり。
2.1回分(軽く一つかみ)をだしパック袋に入れて小分けにする。長期保存する場合は、さらにジッパー付き袋に入れて冷凍庫で保管すると6ヵ月~1年保存可能。
3.鍋に水と2の赤紫蘇のパックを入れて煮だす。沸騰してから3~5分煮だす。
4.煮だしただけだと、くすんだ茶色いお茶ですが、ここにレモンやカボス、りんご酢などの酸味のあるものを数滴加えて、砂糖かはちみつ少々を加えると、アントシアニンの性質で朱色に近い綺麗な赤になり、風味もより豊かになります。
※そのままホットでも、冷蔵庫で冷やしてアイスにしてもおいしいですよ。
りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター
京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。